現在、東京ドームシティ内のGallery AaMoでは、
“中村佑介展 BEST of YUSUKE NAKAMURA” が開催されています。
こちらは、大人気イラストレーター・中村佑介氏の過去最大規模となる展覧会で、
代表作から新作まで、中村氏によるイラストやその原画が434点ほど展示されています。
もし、中村佑介という名前に聞き覚えがなかったとしても。
音楽好きな方であれば、彼が手がけたアジカンのCDジャケットは目にしたことがあるはず。
また、読書好きな方であれば、彼が手がけた森見登美彦作品の装丁は目にしたことがあるはず。
もしくは、東川篤哉作品の装丁は目にしたことがあるはず。
展覧会では、中村氏が手がけたASIAN KUNG-FU GENERATIONの全ワークスはもちろん、
『夜は短し歩けよ乙女』 『謎解きはディナーのあとで』 の原画も出展されています。
さらに。
スピッツや坂本冬美ら、他のアーティストとのお仕事や、
期間限定で販売されていたロッテのチョコパイのパッケージデザインの原画や、
『高校生の音楽』 の表紙の原画なども紹介されていました。
あまりの多岐にわたっての活動ぶりに、ただただ驚かされました。
とても一人の人間の仕事量とは思えません。。。
また、パッパッとイラストのアイディアが思い付く天才肌なのかと思いきや。
さだまさしのベスト盤ジャケットデザインを例に、
作品完成までのプロセス紹介されていましたが・・・・・
アイデア出しから完成までに、約1ヶ月かかっているのだそう。
いつ休んでいるのか。いつ寝ているのか。
スゴさを通り越して、心配になってしまうレベルでした。
さてさて、実は何を隠そう (?) 、
僕はかねてより、中村祐介氏のイラストのファンでして。
彼が想定を手がけた本は、思わずジャケ買いしてしまうほど。
今展で中村祐介氏のイラストの数々を目にして、
彼のイラストのどこに惹かれているのかを改めて考えてみました。
まず何と言っても一番の魅力は、絵の細部に込められた小ネタの多さにある気がします。
例えば、こちらの 『菓子フェスの庭』 という小説の表紙絵。
物語の舞台や主要人物たちが、
ミュシャ風のイラストの中に違和感なく、散りばめられています。
注目すべきは、女性が泡立てるクリームの形。
さりげなく、葛飾北斎のあの波の形となっています。
見れば見るほど、いろんな発見がある。
それが中村祐介ワールドです。
そして、もう一つ惹かれるのが、彼が描く太い輪郭線。
この独特な輪郭線を観るたびに、
妙にノスタルジックな気持ちにさせられるのです。
一体、なぜ?
長年それがずっと謎だったのですが、
今回の展覧会で、ようやくその答えが見つかりました。
展覧会では、中村祐介氏が手がけたさまざまなコラボが紹介されていましたが。
その中の一つに・・・・・
『ビックリマンシール』 の原画展に寄稿したイラストがあったのです。
どうやら中村祐介氏は、ビックリマンのイラストに大きな影響を受けている模様。
かくいう自分も、ビックリマンが好きすぎて、
『はじめまして、かみたまです。』 シリーズをはじめ、
ちょいちょいビックリマン風のイラストをお願いすることが多いのです。
無意識のうちに、中村祐介氏のイラストにビックリマンを見い出していたのですね。
ちなみに。
展覧会は、全面的に写真撮影が可能となっています。
ファンならずとも、いろいろと発見のある展覧会です。
じっくり見始めると、時間がいくら合っても足りないので、
くれぐれも時間には余裕を持って来場されることをオススメいたします。