「一番好きなクッキーは?」 と問われたなら、
僕はきっと食い気味で、こう答えることでしょう。
「シガール!」 と。
(あ、いや、カントリーマアムも捨てがたいですね・・・)
そのシガールでお馴染みの洋菓子メーカー・ヨックモックの青山本店から・・・・・
歩いて5分ほどの距離にある住宅地の真ん中に、
つい先日10月25日に、ヨックモックの会長が精選し、
ヨックモックグループとして運営するミュージアムが誕生しました。
その名もずばり、ヨックモックミュージアムです。
コレクションの核となるのは、ヨックモックの会長でもあり、
美術館の館長でもある藤縄利康氏が長年収集してきたピカソのセラミック (陶器) 作品。
その数、実に約500点!
質、量ともに世界有数のピカソのセラミックコレクションとして知られています。
そんなピカソのセラミック作品を紹介するミュージアムだけに。
館内の随所に、セラミックがデザインとして取り入れられています。
ロッカーやトイレなどのサインも、セラミック製。
さらに、案内板や外壁の一部にもセラミックが使用されています。
ちなみに。
外壁には、本店と同じ色のセラミック製のタイルが使われていますが、
本店のタイルが角ばった山型形状なのに対して、ミュージアムのは丸みをおびています。
これは、ピカソのセラミック作品の多くが、丸みをおびているからとのこと。
なるほど。
それで、ヨックモックミュージアムのロゴも、
『Y』 や 『M』 が丸みをおびているのですね!
さてさて、現在、ヨックモックミュージアムの地下展示室では、
“ピカソ:コート・ダジュールの生活” という展覧会が開催されています。
1946年に南フランスのコート・ダジュール地方にある陶器の街ヴァローリスを訪れたピカソ。
そこで、陶芸家のラミエ夫妻と出会ったのをきっかけに、
職人たちと二人三脚で、本格的にセラミック作品を制作するようになりました。
今回の展覧会では、ピカソがヴァローリスで制作した作品を中心に、
写真などの資料を交えながら、ピカソのセラミック作品の魅力や背景が紹介されています。
ピカソ=画家。
そのイメージがあまりにも強すぎるため、セラミック作品は、
なんとなくピカソが片手間に作っていたような印象がありましたが。
実は、ピカソがヴァローリスで制作するようになって特に初めの2年ほどは、
絵画や版画はほぼ制作することなく、セラミックの制作に専念していたのだそうです。
その一番の理由は、自分の作品を比較的安価に、多くの人に手にして欲しかったから。
そして、生活の一部に取り入れて欲しかったから。
この時すでに、すっかり大人気画家となっていたピカソ。
絵画作品を描けば、すぐに売れるため、
画商たちに絵をたくさん描ける環境を用意されていたようです。
そうして生み出された絵画作品は、どんどん値段が高騰していくという・・・。
そんな状況に、おそらくピカソ自身はうんざりしていたのでしょう。
そして、そのタイミングで、セラミックという新しいジャンルに出逢い、
さらに、信頼できるセラミック職人との共同作業に新鮮味を感じたのでしょう。
ピカソが制作したセラミック作品は、とにもかくにも明るさに満ちていました。
制作するって楽しい!
作品からは、そんな喜びがヒシヒシと伝わってきます。
(注:作品を紹介したいものの、大人の事情で紹介できません。あしからず)
ピカソがもっともピカソらしさを発揮できたジャンル。
それは絵画でも版画でもなく、セラミック作品だったのかも。
そう実感させられる展覧会でした。
ちなみに。
自然光が差し込む2階の常設展示室でも、
ピカソのセラミック作品の数々が紹介されています。
特に圧巻だったのが、壁一面にピカソのお皿が飾られた展示コーナーです。
(注:くどいようですが、作品を紹介したいものの、大人の事情で紹介できません。あしからず)
人の顔や魚、花など、さまざまなモチーフがありましたが。
とりわけ多かったのが、闘牛をモチーフにしたお皿です。
なんでもピカソは、闘牛が大好きだったのだそう。
それも、赤いマントを使い牛と闘うマタドールではなく、
馬に乗り、槍で牛を刺し弱らせる役目のランクの低い闘牛士ピカドールを好んで描いたのだそう。
ピカソというと、目立ちたがり屋で、派手な絵ばかりを描いていたイメージがありましたが。
意外にも、目立たない存在の人々を、
あえてフィーチャーして描いていたのですね。
・・・・・・そりゃ、モテるわなぁ。
なお、ヨックモックミュージアムは、
カフェだけの利用も可能となっています。
名前は、カフェ ヴァローリス。
こちらでは、ヨックモックグループの人気パティスリー、
アン グランのミニャルディーズ (※) を味わうことができます。
(※フランス語で「上品さ、可憐さ」という意味を持つ、ひとつまみサイズのお菓子)
さらには、こんな珍しいメニューも。
気軽にクリエイティブワークが楽しめるアートキットと、
ドリンク、そして、プティ シガールがセットになった 「art for café(アート フォー カフェ)」 。
誰でもピカソになれるメニューです。