11月14日。
アーティゾン美術館にて新たな展覧会が開幕しました。
その会場に入ると、
まず目に飛び込んできたのが・・・・・・・
(注:展示中の一部の作品は写真撮影可能です。撮影禁止の作品に関しては、特別な許可を得て撮影しています。)
《洛中洛外図屛風》 でした。
もちろん本物。
17世紀に制作されたものです。
続いて目に飛び込んできたのは・・・・・・・・
掛け軸や扇面図、そして、巻物。
こちらも、もちろん本物です。
「えっ?ここって、アーティゾン美術館??」
そう疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが。
本当の本当にアーティゾン美術館です。
現在、アーティゾン美術館で開催されているのは、
“琳派と印象派 東⻄都市文化が生んだ美術” という展覧会。
アーティゾン美術館のコレクションの核となる印象派の名画と、
日本の琳派の名画を比較しつつ展示する開館以来初の試みとなる展覧会です。
ちなみに、冒頭に展示されている 《洛中洛外図屛風》 は、実はアーティゾン美術館の所蔵品。
他にも、今回初公開となる尾形光琳 《孔雀立葵図屛風》 を含む・・・・・
10数点のアーティゾン美術館の琳派コレクションが一挙公開されています。
さらに、東京藝術大学大学美術館や根津美術館、醍醐寺など、
日本各地のミュージアムや寺院から、貴重な琳派作品が大集結!
それらの中には、俵屋宗達による国宝の 《蓮池水禽図》 (展示は11/29まで) や、
京都国立博物館の公式ゆるキャラ・トラりんの元ネタとなった尾形光琳の 《竹虎図》 も。
しかも、12月22日から始まる後期には、
あの国宝 《風神雷神図屛風》 も出展されるそうです。
まさに、琳派の名品揃い踏みの展覧会!
それだけでも十分に訪れる価値がありますが。
さらに見逃せないのが、今展のハイライトともいうべき第2章の 『印象派×琳派』 です。
こちらでは、アーティゾン美術館が誇る印象派の名品と琳派の名品が競演!
贅沢かつ新鮮な展示空間が広がっています。
このような展覧会を実現させることができる美術館は、
世界中広しといえど、アーティゾン美術館だけなのでは?
いいものを見せて頂きました。
ちなみに。
特に印象に残っているのは、モネの睡蓮と、
尾形光琳、乾山兄弟が描いた水紋とを対比した展示コーナーです。
「西洋美術=動」。「日本美術=静」。
なんとなく、そんなイメージがありましたが。
こちらに関しては、モネの作品のほうが静的で、
緒方兄弟の作品のほうが動的な印象を受けました。
印象派の絵画は、意外とゆったりした時間が流れており、
琳派の絵画には、意外とダイナミックな動きが感じられる。
見比べることで、新たな発見がありました。
なお、こちらの展覧会は5階と6階の2フロアで開催されていますが、
4階の展示室では、アーティゾン美術館の名品の数々が紹介されています。
さらに、4階の一角では、特集コーナー展示として、
“青木繁、坂本繁二郎、古賀春江とその時代 久留米をめぐる画家たち” が同時開催中です。
ブリヂストン美術館の創設者・石橋正二郎の故郷である久留米。
藤井フミヤさんや松田聖子さんといった一流アーティストを生んだこの街は、
青木繁や坂本繁二郎、古賀春江ら日本美術史に名を残す一流芸術家も数多く輩出しています。
こちらでは、そんな久留米にゆかりのある画家の作品を厳選して紹介。
意外なところでは、ろうそくの画家として知られる高島野十郎の作品も紹介されていました。
実は、野十郎の兄で詩人の高野宇朗と青木繁は仲が良かったのだそう。
野十郎は、兄を通して青木繁を知り、
触発されたことで画家を目指したのだそうです。
また、青木繁の代表作 《海の幸》。
千葉県の布良海岸を舞台にした作品ですが、
青木繁に布良海岸を紹介したのが、高野宇朗だったとのこと。
久留米ゆかりの画家の意外な交友関係が明らかになる特集展示でした。
もし、この時代に 『アメトーーク』 があったら (?)、
「久留米芸術家」 のくくりで、メンバーにトークを繰り広げて欲しいものです。