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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ホキ美術館ベストコレクション展

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現在、ホキ美術館で開催されているのは、

開館10周年を記念した展覧会 “ホキ美術館ベストコレクション展” です。

ベストと言いながら、そこまでベストではないベストアルバムは、ままありますが。

この展覧会に関して言えば、ベストの看板に偽りなし!

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

これまでギャラリー8に展示されていた、

「私の代表作」 の数々が惜しげもなく展示されています。

 

 

 

「私の代表作」 とは、ホキ美術館にゆかりある写実画家に、

3年かけて、これぞ私の代表作といえるような大作を描いてもらうというもの。

テーマも大きさも自由。

そうして描かれた作品は、

向こう3年間ずっと、ギャラリー8に展示され続けます。

 

さてさて。

そんな 「私の代表作」 がギャラリー8以外で展示されているということは、

そう、ギャラリー8を飾る 「私の代表作」  がすべて一新したということです。

 

 

 

今回お声がけされたのは、15人の写実画家。

上は80代から、下は30代まで。

開館以来4回連続で選ばれているベテランもいれば、

今回が初選出となる写実絵画界の期待のニューカマーも。

さまざまなタイプの写実画家が、現時点における 「私の代表作」 を発表しています。

 

 

五味文彦さんの新作 《坂東散策》 は、さすがのクオリティ!

 

 

 

塩谷亮さんの 《青昏》 は、安定の美しさ!

 

 

 

石黒賢一郎さんは、相変わらずの独自路線 (笑)!

 

 

 

15者15様の個性が発揮されています。

写実絵画界の生きるレジェンド・野田弘志さんは、

ホキ美術館10周年のお祝いも兼ねて、ホキ美術館の創立者・保木将夫氏を描きあげました。

 

野田弘志 《保木将夫氏の肖像》  2020年 ホキ美術館

 

 

見た目はもちろんですが、

雰囲気や佇まいも、本人そっくり!

冗談抜きで、一瞬、絵ではなく、

巨大なモニターなのかと思ってしまったほどです。

ちなみに、これだけ精緻に描かれているにも関わらず、

野田さん曰く、この絵は、まだまだ完成していないとのこと。

3年間展示したら、一度引き取って、再び描き進めたいとのことでした。

これが完成でなくて、何というのか。

どれだけ絵をマジマジ観ても、凡人には理解できませんでした (汗)

 


三重野慶さんの 《僕が見ているあなたをあなたは見れない》 や、

 

 

 

原雅幸さんの 《冬のアンジェリカ》 にもグッと惹きつけられましたが。

 

 

 

今回の 「私の代表作」 の中で、個人的にもっとも惹かれたのは・・・・・

 

 

 

島村信之さんによる 《晄》 です。

モデルさんが取っているこのポーズは、

島村さんが20年近く研究し、ブラッシュアップし続けてきたものなのだとか。

手のあげ方や位置、角度、すべてにこだわりが詰まっているそうです。

また、モデルさんの上に掛かっている布は、片翼の天使をイメージしているそう。

ちなみに、島村さん曰く、女性がほんの少しだけ浮かび上がっているイメージで描いたとのこと。

確かに、言われてみれば、女性に浮遊感がありました。

空からシータが降ってきたときのような浮遊感がありますね。

 

 

それから、小尾修さんの 《時の肖像》 も印象的な一枚でした。

 

 

 

命の循環を繰り替えす樹木と人。

その時間を主役にしたという意欲的な作品です。

何より印象的なのは、女性の描き方。

異なる時間軸を表現するために、一部がスーッと消えたような姿で描かれています。

いかに存在していないように見せるか。

小尾さんにとって、存在感を出すのではなく、

存在感を消すというのは、これまでにないチャレンジだったそう。

無いものを表現する。

もはや禅の境地のようです。

 

 

それから、大畑稔浩さんの 《気配―鎮魂》 も強く印象に残った一枚でした。

 

大畑稔浩 《気配―鎮魂》  2020年 ホキ美術館

 

 

イチョウの花言葉は、「荘厳」。

当初は、そちらのイメージで描き進めていたそうですが、

制作期間中にコロナ禍となったことで、もう一つの花言葉 「鎮魂」 のほうへとシフトしたそう。

鎮魂の想いを込めて、イチョウの葉を一枚一枚描いたそうです。

ちなみに、大畑さんには、画面の中に、

葉や草、土などの本物を塗り込めるという独自の制作スタイルがあります。

この絵にも、磨り潰したイチョウの葉や草が塗り込められているそう。

さらに、イチョウの幹の部分には、細かくした幹も。

是非、近づいてみてくださいませ。

 

 

 

なお、今回より、それぞれの作品に関しての詳しい解説は、

事前に音声ガイドアプリをダウンロードすれば、端末で聴くことができるようになりました。

 

 

 

解説しているのは、作家自身。

作家の生の声で、解説が聴ける貴重な機会です。

 

 

ちなみに。

ミュージアムショップを覗いたら、

いつの間にか、オリジナルスイーツが充実していました。

 

 

 

その中には、ホキ美術館の作品をモチーフにしたマシュマロも。

 

 

 

森本草介さんの花の絵がプリントされるのはわかりますが。

なぜに、島村さんのカブトムシとクワガタムシの絵をプリントしようと (笑)??

 





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