本日12月8日より、代官山ヒルサイドフォーラムにて、
“長岡秀星回顧展 SPACE FANTASY ―透明な宇宙を求めて―” が開幕しました!
こちらは、今年2020年に没後5年を迎えた、
日本を代表するイラストレーター・長岡秀星さんの大規模な回顧展です。
“・・・・・・・・・長岡秀星??”
と、その名前にピンと来ていない方もいらっしゃるかもしれませんが。
ある世代から上の方であれば、
彼が描いた絵を必ず一度とならず二度三度と目にしているはずです。
例えば、Earth, Wind & Fireのレコードジャケットデザインの数々を手がけたのが、長岡秀星さん。
また例えば、喜多郎さんのレコードジャケットデザインの数々を手がけたのが、長岡秀星さん。
他にも、カーペンターズの 『ナウ・アンド・ゼン』 をはじめ、
数多くのアーティストのレコードジャケットのデザインを手がけています。
さらに、1985年のつくば万博では、
公式ポスターのデザインや政府出展館の展示物の制作も担当。
他にも、世界的な科学雑誌の表紙絵や、
世界的な大企業の広告デザインなど、多方面で活躍しました。
長岡秀星さんの魅力は何と言っても、その類稀なるイマジネーション力です。
彼がもっとも活躍したのが、70年代80年代。
まだ誰も見たことがない宇宙や未来の光景を、
想像力を駆使して、次々にビジュアル化しました。
ファンタジーの世界ながらも、荒唐無稽に映らないのは、ディティールの細かさ。
細部の細部までイマジネーションが行き届いているため、真実味が感じられるのです。
個人的には、初めて目にする作品が多かったのですが、
どれも初めて観た気が全くせず、むしろ、どこか懐かしさすら感じました。
それはおそらく、長岡さんが生み出した宇宙や未来の光景が、
その後のクリエイターたちに、大きな影響を与えているからでしょう。
そして、それらのビジュアルイメージが、僕らに共有されているのでしょう。
もし、長岡秀星がいなかったら、宇宙や未来の光景は、
今僕らがイメージするものとは違っていたかもしれません。
また、長岡秀星さんの作品を目の当たりにして、
イマジネーション力と同じくらいに驚かされるのが、圧倒的な描写力です。
こちらは、NASAからの依頼で描かれたというスペースシャトルの構造図。
写真のように見えますが、もちろん写真ではありません。
写真でなければ、CG?
いいえ、CGはなく、絵なのです。
デジタルではなく、アナログ。
ちゃんと手で描かれているのです。
絵だとわかった上で、近づいてジーッと観てみたのですが。
やはりCGにしか思えません・・・(汗)
長岡さんの正体は、コンピューターやロボットだったのでは??
もはやそう考えないと納得できないほどの描写力です。
あの伊藤若冲と肩を並べられるのは、長岡秀星くらいではないでしょうか。
ちなみに、まだCGが生まれる前、
NHKのドキュメンタリー番組が使用していたのが、長岡さんのイラストだったそう。
長岡さんの作品がCGみたいなのではなく、
むしろ、CGが長岡さんの作品に近づいたのでしょう。
もし、長岡秀星がいなかったら、
CGも誕生していなかったのかもしれませんね。
さて、今回の展覧会では、そんな長岡秀星作品が、
初公開のものも含めて、70点ほど紹介されています!
会場のラストには、彼がデザインを手がけたレコードも展示。
70年代80年代に青春を過ごした人には特にささる展覧会となっています。
なお、スペース感溢れる会場をデザインしたのは、気鋭の展覧会デザイナー・おおうちおさむ氏。
また、嬉しいことに、会場はすべて写真撮影可能です。
これまでほぼ一般公開される機会が無かった貴重な作品ばかりですが。
やはり展覧会の目玉は、Earth, Wind & Fireの 『太陽神』 のレコードジャケットの原画。
もちろん本物です。
この1枚の画面の中に、宇宙や歴史、思想など、
壮大な世界観がギュギュギュッと凝縮していました。
是非、隅から隅まで、まばたき厳禁で観て頂きたい1枚。
この1枚だけで、1本の映画を観たかのような充足感、
いや、3部作の映画を観たくらいの充足感がありますよ。
今年も残すところあとわずか。
この展覧会を観ずして、年は越せません!