現在、横浜美術館で開催されているのは、“トライアローグ” という展覧会です。
横浜美術館、愛知県美術館、そして、富山県美術館。
ともに1980年代に開館した3つの公立美術館のコレクションを紹介する展覧会です。
なお、展覧会タイトルの 『トライアローグ』 とは、
“3” 者による話し合い、つまり 「鼎談」 という意味なのだとか。
それにちなんで、展覧会のキーワードを “3” に設定。
3館の20世紀西洋美術コレクションを、
30年区切りの3章立てで紹介しています。
ちなみに。
この展覧会が、2021年の3月1日に終了するとともに、横浜美術館は長期休館へ。
リニューアルオープンは、2023年予定。
今展を最後に、約3年間の見納めとなります。
そういう意味では、ピカソの 《肘掛け椅子で眠る女》 や、
ベーコンの 《座像》 などなど、
横浜美術館の20世紀美術コレクションの中でも、
特に選抜メンバーが観れるのは純粋にありがたかったです。
が、しかし。
これは、完全に個人的な理由なのですが、
つい先日まで富山県美術館での展覧会にガッツリと関わっていたので。。。
富山県美術館が誇るミロの 《パイプを吸う男》 や、
ゲルハルト・リヒターの 《オランジュリー》 を目にしたところで・・・・・
まったく有難みを感じませんでした (笑)
この前、会ったばかりじゃん!
しかも、それらの中には、ウォーホルの 《マリリン》 や、
デルヴォーの 《夜の汽車》 など、自分がキュレーションしたコーナーに展示した作品も。
シャガールの 《山羊を抱く男》 にいたっては、
『TAD OOGIRIグランプリ』 のお題にしていただけに。
「へへへ。こいつに乗って、横浜まで来ちゃいましたぜ」
そんな吹き出しが見えたような気がしました。
軽くホラーです。
横浜美術館コレクションは、これまでに何度も鑑賞済み。
富山県美術館コレクションは、先日鑑賞したばかり。
そういうわけで、個人的に印象に残った作品は、
愛知県美術館コレクションのものが多かったです。
パウル・クレーの 《蛾の踊り》 とか。
モディリアーニの 《カリアティード》 とか。
意外なところでは、ムンクの作品も所蔵していました。
それが、こちらの 《イプセン『幽霊』からの一場面》 。
タイトルに 『幽霊』 とありますが、
結局のところ、どの人が幽霊なのでしょう?
なお、画面中央の人物はマスクをしているようにも見えます。
描かれている人物たちも、適度に距離を取っていますし。
アフターコロナを予見しているかのような一枚です。
ちなみに。
愛知県美術館コレクションの中で、もっとも気になったのが、
エミール・ノルデの 《静物L (アマゾーン、能面等)》 という作品。
タイトルには、“能面” とありますが、
日本人の僕らからすると、これは能面ではないような・・・。
能面というよりも、見知らぬ男女を密室に閉じ込めデスゲームさせるヤツが被るお面です。