現在、渋谷区立松濤美術館では、
“舟越 桂 私の中にある泉” が開催中。
現代日本を代表する彫刻家・舟越桂さんの、
東京の美術館では、実に12年ぶりとなる大々的な個展です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
会場には、約20体の木彫作品が大集結!
その中には、まだ大理石製の玉眼が嵌め込まれていない初期の貴重な作品や、
2000年代より本格化した 「異形化」 のターニングポイントになった作品も。
どこか遠くを見つめ、思慮深さを感じる舟越作品。
その唯一無二の独創的なテイストと、
白井晟一によって設計された美術館の建築が絶妙にマッチしています。
まるで、出展されているすべての作品が、
この空間のために作られたかのような印象を受けました。
ちなみに、今年2020年に制作された新作が、こちら↓
タイトルは、《スフィンクスには何を問うか?》。
2004年より制作されている、
半人半獣で両性具有の身体と長い耳をもつ 「スフィンクス・シリーズ」 の最新作で、
世界三大珍獣の一つ、オカピのイメージも取り入れられているそうです。
なお。
その隣に展示されていた 《戦争をみるスフィンクスⅡ》 は、
2003年に制作された 「スフィンクス・シリーズ」 の初期のもの。
イラク戦争に対する怒りと嘆きにより作られたのだそうで、
基本的に無表情な舟越作品には珍しく、感情をあらわにしています。
怒っているようにも見えれば、泣いているようにも見えます。
しばらく眺めていたら、元関ジャニ∞の錦戸亮にも見えてきました。
見えてきた、といえば、
こちらの 《冬の本》 という作品も。
しばらく眺めていたら・・・・・
新木優子に見えてきました。
それも、チョコラBBを飲む前の。
さてさて、今展には、木彫作品の他にも、
デッサンやドローイングの作品が多数出展されています。
その多くは、舟越桂さんの作品ですが。
父で彫刻家の舟越保武や、
母で俳人の舟越道子ら、家族による作品も紹介されていました。
中でも、特に印象深かったのが、
弟で彫刻家の舟越直木さんによるドローイング作品です (画面下)。
青色の髪といい、目元の感じといい、
アマビエを描いたものなのかと思いきや、
2013年に制作された作品で、タイトルは 《マグダラのマリア》 でした。
なお、その上に飾られた青色の髪の女性を描いた作品は、舟越桂さんによるもの。
髪の色、顔の大きさや向き、
さらには、女性が纏っている雰囲気まで、
何から何までそっくりですが、特に同じモデルではないとのこと。
たまたま似通ったものを描いただけだそうで、
舟越桂さん自身も、弟が描いたこちらの作品を目にした時は驚いたそうです。
また、今展では、舟越桂さんが、
自分の家族のために制作したおもちゃも展示されていました。
舟越さんの木彫作品は、
どちらかといえば、親しみやすくはない作風です。
(↑そこが魅力なのですが!)
しかし、これらのおもちゃから受けるイメージは、その真逆!
ハートフルでチャーミングな印象を受けました。
舟越桂さんの意外な一面が垣間見える展覧会です。