現在、東洋文庫ミュージアムでは、
“岩崎文庫の名品―東洋の叡智と美” が開催中です。
約100万冊 (!) という驚異の蔵書数を誇る東洋文庫。
その柱ともいうべき重要なコレクションが、
三菱財閥3代社長・岩崎久彌が個人的に収集した古典籍のコレクションです。
通称、岩崎文庫。
その総数は、実に約3万8千点です。
今展では、そんな岩崎文庫をフィーチャーし、
岩崎文庫でも特に貴重な書籍を一挙大放出!
それらの中には、国宝の 『古文尚書』 や、
歴史の教科書でお馴染みの 『万葉集』 や 『古今 (和歌) 集』、
杉田玄白の著書 『解体新書』 とその元ネタ (?) 『ターヘル・アナトミア』 も。
この他にも、一度は耳にしたことがある本が多々含まれています。
岩崎文庫、恐るべし。
本好き、活字好きにはたまらない展覧会でしょう。
さて、文字通り、活字好きの方にオススメしたいのが、古活字本を紹介するコーナーです。
岩崎久彌は、古活字本がお気に入りだったようで、
とりわけ力を入れて収集していたのが、近世の古活字本でした。
今では、すっかり当たり前の活字という技術ですが、
よく考えてみれば、この当時は画期的な技術だったわけです。
手書きからワープロになったくらいのイノベーション。
そういう視点で見てみると、ただの古本 (←おいっ) が、なんだか新鮮に見えてきました。
そんな古活字本の中でも、特に驚異的なのが、
本阿弥光悦とその門下である角倉素庵らによって刊行されたもの。
通称、嵯峨本です。
挿絵を担当したのは、あの俵屋宗達。
紙そのものも豪華で、キラキラと光り輝いています。
そして、流れるような筆運びで書かれたこの文字は、
直筆ではなく、崩し字の活字を組み合わせたものなのだとか。
一冊の本にどれだけの労力と財力を注ぎ込んでいるのでしょうか!?
ちなみに、上の画像は、嵯峨本版の 『徒然草』。
質素な生き方を推奨する本を、こんなにゴージャスに作らなくても。。。
さて、岩崎文庫には、貴重な本以外にも、
浮世絵のコレクションも多数含まれています。
まだ一色刷りだった初期の浮世絵から、
多色化した浮世絵 (=錦絵) が誕生した頃のエポックメーキングな浮世絵、
さらには、幕末に活躍した歌川広重の浮世絵まで。
浮世絵の歴史をざっと辿れるようなコレクションとなっています。
特に歌川広重の晩年の傑作 《名所江戸百景》 を筆頭に、
岩崎文庫の浮世絵コレクションの多くは、
これまで公開される機会がなかったそうで。
それゆえ、コンディションが抜群です!
150年以上も前に摺られたものとは思えないほど、色が鮮やかなままでした。
そうそう、色が鮮やかと言えば、
喜多川歌麿の 《錦織歌麿形新模様 うちかけ》 も。
こちらは、輪郭線を用いずに着物を表現するというとても珍しい作品です。
その表現や女性の表情にも思わずうっとりしてしまいましたが、
現在まで褪せることなく残っている色そのものに、うっとりさせられました。
また、浮世絵以外では、《浦島太郎絵巻》 をはじめ・・・・・
物語絵も充実していました。
いわば、漫画のルーツです。
展覧会ではさまざまな物語絵が紹介されていましたが、
個人的にもっとも印象に残ったのが、こちらの 『虚言八百根元記』。
右のページには、浦島太郎が、
左のページには、桃太郎が描かれています。
『桃太郎電鉄』 やauのCMよりも前に、この2人は共演していたのですね。
ちなみに、キャプションで紹介されていたそのあらすじは、ツッコミどころが満載でした。
「川で拾った桃を食べて若返った夫婦が子どもをもうけ、浦島太郎と名付けます。」
いや、そこは桃太郎だろ!
てか、浦島が名字で、太郎が名前じゃないのかよ!
「浦島は竜宮の乙姫の依頼でムカデを退治します。」
えっ?浦島太郎って、そんなキャラだったっけ??
それとも、普通に台所に出たムカデを退治するレベルの話?!
「一方、桃太郎は箱根権現に浦島太郎に会うよう告げられます。」
桃太郎って、箱根に住んでいたの!
岡山じゃなくて?
「展示ページは、対面した二人が再び現れた百足の怨念を退治する場面です。」
ほら、やっぱり!こんな化け物、浦島太郎が退治できるわけないんだよ。
浦島太郎の服には、『浦に〇』 のマークがありますね。
で、桃太郎の服のほうは・・・・・・・・『太に〇』 って!
いや、そこは、『桃に〇』 だろ!
全部読んだら、体力が消耗しそうな本でした。
ちなみに。
クリスマスシーズンということで。
館内には、クリスマスツリーが飾られていました。
・・・・・・・・何このオーナメント?!