現在、サントリー美術館では、
リニューアル・オープン記念展の第3弾として、
“美を結ぶ。美をひらく。 美の交流が生んだ6つの物語” が開催されています。
この展覧会では、サントリー美術館のコレクションの中から、
古伊万里、鍋島、琉球の紅型、和ガラス、江戸・明治の浮世絵、
そして、エミール・ガレ作品の6つのジャンルをフィーチャー。
それらの作品が、作品にまつわるストーリーと併せて展示されています。
それぞれの作品に使われている技法や、
その見どころ、鑑賞ポイントが的確に紹介されていました。
このおかげで、グッと鑑賞しやくなっています。
NHKの 『美の壺』 に近いテイストの展覧会。
鑑賞中、僕の脳内ではずっと 『モーニン』 が鳴り響いていました。
さてさて、今回の展覧会で特に印象的だったのは、
現代の眼で見ても新鮮に感じる江戸の工芸品が多々あったこと。
こちらの鍋島 (《薄瑠璃地染付花文皿》) も、
こちらの和ガラス (《緑色葡萄唐草文鉢》、《青色菊形向付》 など) も、
普通に北欧のデザインショップで売ってそうなレベル。
江戸時代にも、こんなポップな雑貨があったのですね。
ポップと言えば、重要文化財の 《色絵五艘船文独楽形大鉢》 も。
オランダ船とオランダ人をモチーフにした古伊万里です。
オランダ人が4頭身くらいに描かれているため・・・・・
どことなく、さくらももこ感を醸し出していました。
『「まる子、オランダに行きたい」 の巻』 みたいな回で出てくるかも。
他にも、《染付雲雷文大皿》 や、
ガラス製の文房具など、
目を奪われるやきものや和ガラスが多々ありましたが。
今回紹介されていた6つのジャンルの中で、
個人的に一番惹かれたのは、琉球の紅型です。
もちろん染め上がった紅型そのものも素晴らしかったのですが。
それ以上に目を奪われたのが、染めに使った型紙。
精巧に彫られた模様もさることながら、
それらが落ちたり、ズレたりしないように施された 「糸掛け」 という技術に驚愕しました。
極細の糸で外枠と模様を固定しています。
その結び目は、肉眼ではまったく見えないほどに小さかったです。
この 「糸掛け」 という高度な技術は、
現在はほとんど失われてしまっているのだとか。
時間にルーズだとか、細かいことを気にしないだとか、
“テーゲー” な一面ばかりが取りあげられがちな沖縄人。
いやいや、こんなキッチリした作品も生み出していたのですね。
ちなみに。
展覧会のラストを飾るのは、フランスの工芸家ガレの作品群。
ガラス作品をメインに、彼が手掛けた家具ややきものも紹介されています。
さらには、昨年コレクションに加わったばかりの新収蔵品も初お披露目。
数あるガレ作品の中で、
とりわけインパクトが強かったのは、《花器 「おたまじゃくし」》 です。
せいぜいおたじゃまくしが2、3匹いるくらいかと思ったら・・・・・
想像以上に、うじょうじょいました (汗)
しかも、足が生えてるバージョンの。
花を生けてなくても、このインパクト。
生けたなら、もっとリアリティーが増すことでしょう。。。