先日、約1年ぶりに埼玉県立近代美術館を訪れたところ・・・・・
見たことのない新キャラが誕生していました!!
名前は、MOMASうさぎとのこと。
全然関係ないですが、そういえば、昔、NOVAうさぎってのもいましたよね。
閑話休題。
北浦和にある埼玉県近美に行ったその足で、
数年ぶりに、うらわ美術館にも足を伸ばしてみることに
すると、こちらにも新キャラが誕生していました。
特にお互いの館で示し合わせて、制作したわけではないとのこと。
ともあれ、いつの間にやら、
浦和に2体のミュージアムキャラが同時発生していたようです。
さてさて、現在、うらわ美術館で開催されているのは、
“芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師” という展覧会。
こちらは、江戸から明治にかけて活躍し、
「最後の浮世絵師」 とも称された月岡芳年の大規模な回顧展。
世界屈指の芳年コレクターとされる、
日本画家の西井正氣氏ご自慢の芳年コレクションから、
初期から晩年まで、選りすぐりの作品を紹介するものです。
出展作は、実に250点以上!
今の時代に逆行するかのように (?)、
芳年の浮世絵が密密に展示されていました。
それらの中には、縦型の構図が斬新な 《芳涼閣両雄動》 や、
『月』 にまつわる場面を題材とした最晩年の傑作 《月百姿》 シリーズ、
残虐な絵も得意とした芳年の 《奥州安達がはらひとつ家の図》 といった、
代表作の数々も含まれています。
まさに、月岡芳年展の決定版ともいうべき展覧会。
「(今年) 最後の浮世絵展」 は、これで決まりです!
月岡芳年といえば、血みどろ絵。
血みどろ絵といえば、月岡芳年。
今展でももちろん、血みどろ絵は紹介されています。
(ただし、苦手な方のために、仕切りが設けられていました)
しかし、展覧会の公式見解は、以下のような感じでした。
芳年が血みどろ絵を描いていたのは、30代の短い期間で、
それも、時代の要請に応えたからに過ぎなかったとのこと。
ゆえに、血みどろ絵の浮世絵師というイメージを、
今回の展覧会を機に、払拭したいというものでした。
なるほど。
確かに、時系列に沿って紹介された展覧会を見るに、
血みどろ絵を描いていたのは、一定の時期だけでした。
・・・・・と一瞬信じかけたのですが。
後半生でも、表現はややマイルドながらも、
血が噴き出るような残虐な絵を描いていました。
そんなに簡単に、血のイメージは拭えないようです。
さてさて、今展に出展されていた作品の中で、
特に印象に残っているものを、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、《東京名勝高輪 蒸気車鉄道之全図》 から。
こちらは、明治4年に発表された浮世絵です。
新橋―横浜間に日本初の鉄道が開通するのは、その翌年。
つまり、想像で描かれた電車ということです。
って、想像にもほどがあるだろ!
人がギュウギュウにつまった車両はまだ理解できますが、
そのあとに続く、小さな車両らしきものは何なのでしょう??
というか、運転席わい!
続いては、《芳年漫画 浦島之子帰国従竜宮城之図》 です。
昔話の 『浦島太郎』 を題材にした作品ですが、
僕らが知ってるものと違って、竜宮城は海底にはないようです。
それにしても、浦島太郎の亀の乗り方の雑さたるや!
亀の頭にぞんざいに足を乗っける浦島太郎。
苦しそうな表情を浮かべる亀。
いじめっ子たちより、この浦島太郎のほうが酷いような。
お次に紹介したいのは、《西郷隆盛霊幽冥奉書》 です。
描かれているのは、西郷どんですが、
僕らがイメージするあの角刈りの西郷どんとは全然違います。
毛量多すぎ。
実は、こちらは西郷隆盛が亡くなった翌年に発表された浮世絵とのこと。
つまり、描かれているのは、西郷隆盛の幽霊です。
・・・・・・・ただ、その表情は、幽霊というよりも、ゾンビに近いものがあります。
噛まれたり、引っ掻かれたりしないように要注意。
危険を感じたら、躊躇せず頭部を破壊しましょう (←?)。
その他、特に印象的だったのが、
《於御浜御殿徳川大樹御船手西瓜合戦上覧之図》 です。
浜離宮の一角で、男たちがスイカを奪い合っている。
なんともシュールな光景が描かれています。
実はこれは、軍事演習の一種なのだとか。
その様子を木陰から見学しているのは、徳川将軍ご一行。
さて、よく見ると、ビーチボールやダルマが空に舞っています。
おそらく、これらはトラップなのでしょう。
スイカと間違えて取ってしまったら減点なのでしょうか?
だんだんバラエティ番組のワンシーンに見てきました。
そうそう。トラップといえば、こんな作品も。
《芳年武者旡類 八幡太郎義家》 です。
サッと宙を舞い、スパッと碁盤の角を切り落とす。
アクションそのものは、カッコいいのですが。
いまいち何がしたいのかよくわからないシーンが描かれています。
この男性の正体は、「八幡太郎」 こと源義家。
源頼朝のひいひいおじいちゃんに当たる人物です。
そんな義家は、ある人妻のもとに毎晩強引に通っていたそうな。
困り果てた女性は、夫に相談したそうです。
すると、夫は義家を捕まえるべく、ある計画を立てました。
それは、女の部屋の入り口に碁盤を置き、
義家が碁盤につまづいたところを捕まえようというもの。
いや、どんなトラップだよ!ショボすぎんだろ!!
その夜、何も知らない義家が、いつものように家にやってきました。
しかし、異変を察知した義家は、すぐさま碁盤の存在に気づきます。
そして、サッスパッと、その角を斬り落とすと、
何事もなかったかのように女の部屋へ入っていったのだとか。
一部始終を見ていた夫は、「只者ではない!」 と恐れをなしたそうです。
お前も、そこそこ只者じゃねーぞ!!
碁盤の角を斬られちゃった、じゃねーよ!戦えよ!