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江戸のエナジー 風俗画と浮世絵

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本来の予定では、静嘉堂文庫美術館で、

昨年の春に開催される予定であった “江戸のエナジー 風俗画と浮世絵” 。

一時は開催が危ぶまれましたが、

会期を変更して、無事に開催される運びとなりました。

 

 

 

こちらは、静嘉堂文庫の収蔵品の中から、

江戸時代の風俗画、および浮世絵コレクションにスポットを当てた展覧会です。

 

まず序章で紹介されていたのは、

修理後初公開となる英一蝶の 《朝暾曳馬図》

 

英一蝶 《朝暾曳馬図》 江戸時代(17世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

 

キャプションの解説の冒頭には、こうありました。

 

「朝日が昇る頃、少年が馬を曳いて橋を渡って行く。

 馬のパカパカという足音や、のどかな朝の音とともに少年の鼻歌も聞こえてきそうだ。」

 

確かに、耳を澄ませば。馬の足音や少年の鼻歌が聞こえてくるようです。

もっと耳を澄ますと、『世界名作劇場』 的なオープニング曲も聞こえてくるようでした。

 

また、その隣に展示されていたのは、

京都画壇で活躍した円山応挙の 《江口君図》 です。

 

円山応挙 《江口君図》  寛政6(1794)年 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

 

髪の毛一本一本まで繊細に描かれた江口の君はもちろん美人でしたが。

意外にも、象も美人 (美象?) でした。

目元だけ見れば、水川あさみ、もしくは、栗山千明のようです。

 

 

と、それはさておき。

第一章で紹介されていたのは、近世初期風俗画の数々。

中でも特に必見なのが、重要文化財に指定されている 《四条河原遊楽図屏風》 です。

 

重要文化財 《四条河原遊楽図屏風》  江戸時代(17世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

 

画面の中央に流れているのは、京都の鴨川。

よく見ると、何人もの人が水浴びを楽しんでいます。

他にも、歌舞伎や犬の曲芸を鑑賞する人、

当時は珍しかったヤマアラシを見物する人など、

思い思いに楽しむ人々が描かれています。

江戸のリア充絵画です。

 

 

続く第二章で紹介されていたのが、

静嘉堂文庫秘蔵の浮世絵版画コレクション。

2018年に開催された歌川国貞展を筆頭に、

幕末の浮世絵師、国貞の浮世絵はこれまで何度か公開されているようですが。

今展では、錦絵のパイオニア的存在である鈴木春信や、

 

鈴木春信 《花王》 明和4~6年(1767~69) 静嘉堂文庫美術館蔵
【前期 12/19~1/17】

 

美人画の名手と呼ばれた喜多川歌麿をはじめ、

 

喜多川歌麿 《四美人やつし車引》 寛政5年(1793)頃 静嘉堂文庫美術館蔵
【後期 1/19~2/7】

 

錦絵が誕生する以前の初期の浮世絵師から、

北斎や広重など、黄金期に活躍した浮世絵師の作品も紹介されていました。

もちろん、国貞や国芳といった幕末の浮世絵師の作品も。

このように、静嘉堂文庫の浮世絵コレクションが、

一挙大公開されるのは、なんと平成4年以来初めてとのこと。

さらっと開催されていますが、実は、とっても貴重な機会なのです。

 

それに加えて、さらに貴重なのが、第3章で紹介されている・・・・

 


葛飾北斎 《桜下美人図》 文化2~6年(1805~09)頃 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

 

肉筆浮世絵の数々。

こちらもほとんど公開される機会はなかったそうです。

「公開されない=展示するほどのものではない」 というわけではありません。

むしろ、その逆!

これらの中には、明治末期に海外向けに制作された豪華な画集に、

日本を代表する名品として掲載されたものが多く含まれているのです。

 

また、勝川春章が晩年に描いたとされる 《梅花二美人》 のように・・・・・

 

勝川春章 《梅花二美人》 江戸時代(18世紀半) 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

 

今回が初公開となる肉筆浮世絵も多くありました。

浮世絵ファンならずとも、押さえておきたい展覧会です!

星星

 

 

ちなみに。

出展されていた肉筆浮世絵の中で、

個人的に印象に残ったのは、 《見立蝦蟇鉄拐図》

歌川広重の師である歌川豊広の作品で、こちらも初公開作品となります。

 

歌川豊広 《見立蝦蟇鉄拐図》 江戸時代(19世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

 

右幅に描かれているのは、キセルを吸う遊女。

フッと吐き出した煙草の煙の先に、遊女のシルエットが描かれています。

左幅に描かれているのは、折り紙の蛙を少女から手渡される女性です。

こちらは、画題としてはわりとポピュラーな鉄拐仙人と蝦蟇仙人を、美人図に仕立てもの。

現代でいうところの、美少女化。

日本人は昔からキャラを美少女化するのが得意だったのですね。

 

 

それと、もう一点印象に残ったのが、西川祐信の 《女通玄(張果老)》 です。

 

西川祐信 《女通玄(張果老)》 江戸時代(18世紀半) 静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】

 

こちらも、仙人を美少女化した作品。

「瓢箪から駒」 の語源となった張果老を美少女化してたものです。

しかし、よく見ると、瓢箪から飛び出ているのは、駒 (=馬) でなく、牛。

なぜ、牛なのか?

キャプションにも、その理由は不明とありました。

理由はどうあれ、今年は丑年。

観れば、良い一年を迎えられることでしょう!

 

 

 ┃会期:2020年12月19日(土)~2021年2月7日(日)
 ┃会場:静嘉堂文庫美術館
 ┃http://www.seikado.or.jp/info20200730.html

 

 

 


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