昨日ご紹介した “日本のたてもの―自然素材を活かす伝統の技と知恵” という展覧会。
実は、東京国立博物館の表慶館で開催されていたのは、その一部。
こちらは、東京国立博物館、国立近現代建築資料館、国立科学博物館、
上野エリアにある3つの国立ミュージアムで同時開催されている展覧会なのです。
東京国立博物館でのテーマが、「古代から近世、日本建築の成り立ち」。
国立近現代建築資料館でのテーマが、「工匠と近代化―大工技術の継承と展開―」。
そして、国立科学博物館でのテーマは、
「近代の日本、様式と技術の多様化」 となっています。
そんな科博の展示では、トーハクとはガラッと変わって、
明治時代以降に建てられた日本の建造物の模型が展示されていました。
それらの中には、国宝にも指定されている迎賓館赤坂離宮や、
20世紀を代表する建築家フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテル本館、
日本初の超高層ビル、霞が関ビルディングの模型も含まれています。
また、国立科学博物館での展示なので、
旧国立科学博物館本館が竣工された頃の模型もありました。
現在は、赤丸で囲んだ部分が・・・・・
地下の入り口へスペースとなっていますが、
当時はこの正面玄関から出入りできたのだそう。
入り口に入ってすぐに大空間。
そして、上を見上げたら、このドームとステンドグラス。
絶対にこっちの入り口のほうが、来場者は感動するはず。
なんとか元に戻して欲しいものです。
と、それはさておき。
“様式と技術の多様化” がテーマだけに、
会場には、他にも、丹下健三による東京都庁舎や、
安藤忠雄さんによる 〈光の教会〉 など、
幅広いジャンルの建造物が紹介されていました。
とはいえ、模型を使って紹介していた建造物は、たった10件だけ。
あとはパネルが数件。
正直なところ、物足りなさは、否めませんでした。
近年、建築の展覧会が増えているだけに、
その差が目立ってしまっていたような気がします。
また、3館同時開催ではあるものの、
特に3館チケットのようなものはありません。
それぞれ別料金がかかりました。
それも、物足りなさを感じた一つの要因でしょうか。
ちなみに、今回紹介されていた中で、
個人的に印象に残ったのは、高島屋日本橋店の模型です。
実は、高島屋日本橋店は、
百貨店建築として初の重要文化財指定を受けています。
改めて、観てみると随所にこだわり抜かれた意匠が。
確かに立派な建造物です。
PA●COやOI●Iの建物とは全然違います。
ちなみに、当時の屋上はこんな感じだったそう。
その一部をよく見ると・・・・・
トナカイ的なものが飼われていた様子。
数ある動物の中から、なにゆえ、トナカイを??
また、もう一つ印象的だったのが、
明治5年竣工の第一国立銀行の模型です。
日本の近代建築の先駆けといわれる、
今は無き、和洋折衷様式の擬洋風建築。
その上には、こんな旗がはためいていました。
この旗を見たカップルが、このような会話をしていました。
「ねぇねぇ、クンバって何?」
「何だろう?燻製の 『燻』 に、場所の 『場』 とかかな?
もしくは、軍隊の 『軍』 に 『馬』 とか?」
「なるほど!」
お二人さん、バンクですよ。たぶん。
そう、心の中で呟きました。