現在、千葉市美術館では、田中一村展と併せて、
“ブラチスラバ世界絵本原画展” も開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
チケットは共有となっています。
1粒で2度おいしい。
まるでグリコのような千葉市美術館です。
と、それはさておき。
まずは、ブラチスラバ世界絵本原画展 (略して、BIB) について、簡単に説明を。
ブラチスラバ世界絵本原画展は、スロバキアの首都ブラチスラバで、
2年に1度開催される世界最古にして世界最大規模の絵本原画コンクールです。
ところで、絵本原画コンクールといえば、
このブログでも何度も紹介しているボローニャ国際絵本原画展というのもありますよね。
実は、この2つの絵本原画展は、性格が大きく異なります。
ボローニャ国際絵本原画展は、プロ・アマ問わず、
しかも、未発表のイラストレーションを対象とするのに対して。
ブラチスラバ世界絵本原画展は、プロ限定、
かつ、すでに刊行されている絵本が対象となっています
ボローニャが、若手の登竜門的なM-1グランプリであるなら、
ブラチスラバは、THE MANZAI 年間最強漫才師決定トーナメントのようなものでしょうか。
格で言えば、「ブラチスラバ世界絵本原画展>ボローニャ国際絵本原画展」 となるようです。
ちなみに。
1967年に開催された第一回BIBのグランプリを受賞したのは、
『いないいないばあ』 シリーズなどで知られる絵本作家・瀬川康男だったそう。
さらに、これまでにグランプリ受賞の他、多数の受賞者が日本から出ているとのこと。
意外にも、日本は絵本の世界では強豪国の一つだったのですね。
そんな2年に1度開催されるBIBに合わせて、
千葉市美術館では、2005年より日本巡回展が開催されています。
今回の展覧会の大きな変化は、やはり何といっても、
名称が “ブラティスラヴァ” から “ブラチスラバ” に変わったこと。
表記がスッキリしましたね。
さてさて、展覧会は全部で3章から構成されていました。
まずは、BIBの聖地であるスロバキアと
元相方 (?) であるチェコの作家の絵本原画を紹介するコーナーから。
どっちがスロバキアで、どっちがチェコなのか。
やはり元々一つの国だったこともあり、
正直なところ、その国民性の違いのようなものはわかりませんでした。
あえて違いを挙げるとすれば、
チェコの方が、製本をこだわっているような印象を受けました。
ちなみに。
過去のBIB展では、絵本は手に取って読むことができたそうですが。
今回はコロナのせいで、絵本を手に取ることはできません。。。
2年後は、そうなっていませんように!
続く第2章では、2019年に開催された第27回展の中から、
各国の作家による受賞作品がパネル展示で紹介されていました。
こちらは、本家の展示スタイルをイメージしたものとのこと。
決して、パネル展示でお茶を濁したわけではないようですよ。
そして、展覧会のラストを飾る第3章で紹介されているのは、
第27回展に出展した15人 (組) の日本人作家の原画の数々です。
その中には、見事、金牌を受賞されたきくちちきさんの 『もみじのてがみ』 の原画も。
さらに、15人 (組) の絵本作家の中から、
荒井良二さんやザ・キャビンカンパニーら4人がフィーチャーされており、
彼らの創作現場をモチーフにしたインスタレーション作品も展示されていました。
絵本そのもののや、絵本の原画の魅力だけでなく
絵本作家のイマジネーションの世界も楽しめる展覧会です。
さて、併せて楽しみたいのが、
千葉市美術館の大々的なリニューアルを機に4階に爆誕した 「つくりかけラボ」 。
「つくりかけラボ」 とは、五感・素材・コミュニケーションという3つのテーマを軸に、
アーティストが、訪れた人びとと関わりながらインスタレーションを制作してゆく施設です。
その第2弾として開催されているのが、“つくりかけラボ02 志村信裕|影を投げる” 。
映像作品に定評のある美術家、志村信裕さんによるラボスペースです。
実は志村君とは、かれこれ10年以上の知り合い。
訪れた際に、 「せっかくなので、とに~さんも」 と、
志村君に勧められたので、チャレンジしてみることにました。
ラボのテーブルに乗っていたのは、羽根や糸、
色のついたセロファンに玉ねぎの皮など、さまざまな素材です。
これらをスライドに自由に組み合わせて、
それをダイレクトプロジェクションしてみようというのが、今回の体験企画。
“参ったなァ。こういうセンスないんだよな・・・”と固まっていると、
「富山県美での展示観ましたよ。切り絵してたじゃないですか」 と志村君が一言。
覚悟を決めて、スライドを作りました。
それをダイレクトプロジェクションしたものが、こちらです↓
これを観た志村君が本心から、
「さすがとに~さん!やっぱり違いますね!」
と絶賛してくれました。
どこがどう??
自分ではいまひとつピンと来ていませんが、
どうやら僕にはダイレクトプロジェクションの才能があるようです。
これから履歴書の特技の欄には、
ダイレクトプロジェクションと書いてみようと思います。