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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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素晴らしきミュージアムショップの世界 商品番号129

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昨日の記事でお伝えした通り、

約2年ぶりに訪れた刀剣博物館は、

内部が少しだけアップデートされていました。

刀剣博物館のミュージアムショップもまたしかり。

 

刀剣ストラップに、

刀剣マスキングテープに、

刀剣を模したお菓子切りに。

オープン当初と比べて、格段に取り扱われるグッズが増えていました。

 

しかし、それらの刀剣グッズを差し置いて、

売上人気No.1のポップが付けられていたのは、

刀剣ではなく、刀剣の材料である玉鋼をモチーフにしたまさかの商品でした。

 

 

 

その名は、玉鋼ビスコッティ (税込850円)。

刀剣を作るには欠かせない高純度の鋼鉄 “玉鋼”。

そのビジュアルに限りなく近づけたビスコッティです。

 

 

 

ちなみに。

こちらが、本物の玉鋼です。

 

 

 

両者を並べてみると、ご覧の通り。

 

 

 

どっちが玉鋼で、どっちが玉鋼ビスコッティなのか。

パッと見では、まったくわからないレベルです。

一つ確実に言えるのは、

どちらも食べられる気が、いや、食べる気がしないということ。

一体どんな人間が、この玉鋼のビジュアルを見て、

「そうだ!ビスコッティにしよう!」 と思い付いたのでしょう?

そして、これほどまでにそっくりに作りあげたモチベーションとは、いかに??

 

なお、何気なくパッケージに目をやると・・・・・

 

 

 

監修者のお名前が記載されていました。

二十六代・藤原兼房氏。

室町時代より600年以上続く、

関の刀匠の家系に生まれたお方のようです。

なぜ、引き受けたし!?

・・・・・・・二十二、三代あたりが、

もしかしたら、泣いているかもしれません。

 

 

いくら眺めても、食欲は湧きませんが、

レポートのために、口に運んでみることに。

ポップでオススメされていた紅茶と併せて、食べてみましょう。

 

 

 

まずは、そのまま一口。

 

 

 

「ガリッ!」 とか。

 「ゴリッ!」 とか。

そんな擬音を覚悟していましたが、

普通のビスコッティ同様、「ザクッ!」 とした食感でした。

 

見た目こそゴツゴツとしていますが、

それとは裏腹に、口当たりと味わいは優しげ。

どこか懐かしさのようなものさえ感じました。

その理由はおそらく、原材料にあるのかもしれません。

小麦粉ではなく、ハツモトという品種の米粉が使われていました。

 

なお、調べてみると、このハツモトは、

関のある岐阜県でしか栽培されていない “幻の米” とのこと。

どうりで90gの内容量で、税込850円もするはずです。

ただ、正直なところ、そんな貴重なお米であるならば、

まずは、普通に炊いたご飯の形で出逢いたかったです。。。

 

 

ちなみに。

公式ホームページには、紅茶やミルクなどに、

浸して食べるのもオススメとあったので、試してみました。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

これはもうただの濡れビスコッティでした。

おそらく牛乳が正解だったのでしょう。

 

 

しかし、改めて、衝撃的な商品です。

玉鋼を長年見続けてきた刀匠だって、

ビスコッティを発明したイタリア人だって、

絶対にこのアイディアは浮かばないでしょう。

仮に浮かんだところで、作ってみようとは思わないでしょう。

 

そう思うと、急に食べるのが惜しくなってきました。

しばらくは、オブジェとして飾っておこうと思います。

 




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