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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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冨安由真展|漂泊する幻影

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2018年に資生堂ギャラリーで開催され、

大きな反響があった “冨安由真展 くりかえしみるゆめ” から、約2年―。

冨安由真さんの待望の新作展、

“冨安由真展|漂泊する幻影” が開幕しました!

 

 

 

舞台となるのは、KAAT神奈川芸術劇場です。

冨安由真×劇場。

一体どんな化学反応が起こっているのか。

楽しみなあまり、早速、初日に訪れてきました。

 

注:ここから先はネタバレを含みます。

  予備知識なしで訪れた方が確実に楽しめますので、

  展覧会に行かれる方は、この先は読み進めない方がよいでしょう。

 

 

会場入り口の扉を開けると・・・・・

 

 

 

そこにあったのは、再び扉。

それも、冨安さんの作品で、よく見かけるタイプの扉です。

 

 

 

“なるほどなるほど。

 ということは、この先にポルターガイストが起こりそうな室内があるってわけね”

 

ポルターガイスト現象をモチーフにした過去の作品から、そのように推測。

恐る恐る、扉を開けました。

 

 

 

・・・・・・・・・あれ?部屋じゃない。

 

扉の先にあったのは、古びた印象の廊下。

脇にさりげなく置かれた灰皿が、古びた印象を強調していました。

こういう灰皿、すっかり見かけなくなりましたよね。

 

 

 

それはさておき。

廊下を進んでいくと、また新たな扉が。

そして、その扉を開けると・・・・・

 

 

 

真っ暗な空間が一面に広がっていました。

ややあって、目が慣れてくると、

 

 

 

そこが廃墟のような空間であることに気づかされます。

なお、空間の中には、僕よりも先に入っていた鑑賞者が数名ほどいました。

廃墟のような空間に集められた見知らぬ老若男女。

これから 『ライアーゲーム』 でも始まるのか?!

と思いましたが、そうではありませんでした。

 

 

 

突如として、空間の一部にスポットライトが浴びせられたのです。

そして、しばらくすると、また別の場所にスポットライトが当たります。

こうして、空間にさまざまなアイテムが、浮かび上がっては、再び消えていくのです。

 

面白かったのは、それに合わせて、

鑑賞者たちが光のもとへとゾロゾロと移動していたこと。

特に示し合わせたわけでもなく、

指示されているわけでもないのに、無意識に。

 

 

 

その一連の光景は、まるで演劇を見ているかのようでした。

これまでの冨安作品が体験型インスタレーションとするならば、

今回の新作は、劇場型インスタレーションといったところでしょうか。

 

 

 

なお、映像を含め、照明以外の演出もあるので、

少なくとも数十分は滞在されることをお勧めいたします。

 

 

さて、この劇場型の空間を後にすると、

その先には、絵画作品が展示された空間が待ち構えていました。

 

 

 

こちらの空間でも、照明が刻一刻と変化していきます。

浮かび上がっては、また消えていく絵画。

ちなみに、それらの絵画に描かれていたのは、

思わずデジャヴを感じる廃墟のような光景の数々でした。

 

 

 

はて、どこかで見たことがあるような?

ん?先ほど体験したことが、絵画に??

ということは、あれは現実の体験ではなかったのか?

いや、そんなわけないよな??

感覚が大いに揺さぶられました。

 

そんな若干の不安に苛まれながら、

しばらく絵を眺めているうちに、あることに気が付きました。

それを確かめるために、再び先ほどの廃墟のような空間へ。

(展覧会はループして鑑賞することが可能となっています)

 

 

 

わゎ、やっぱり!

 

先ほど見た映像の中のいたるところに、絵画作品が登場していたのです。

廃墟のような光景を描いた絵画が、

すでに、廃墟のような場所に掛けられていて・・・

 

つまり、何がどうなっているんだ?? 

(↑思考回路はショート寸前)

 

何が現実で、何が虚構なのか。

そもそも、今自分がいる場所はどこなのか。

まるで、足元がグニャリと歪んだかのような、摩訶不思議な体験をしました。

星星

 

会期は1月31日まで!

このような状況の中で開催できたのは、奇跡。

現実に開催されてはいますが、幻のごとき展覧会です。

 





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