先日、1年ぶり以上に、神奈川県立近代美術館 葉山に行ってきました。
こちらの葉山館にて、1月9日より開幕したのが、
“フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる” という展覧会です。
が、しかし!!
非常に残念ながら、開幕の3日後、1月12日より、
緊急事態宣言が発出されたため、休館となってしまいました。
再開時期については、追って美術館のHPと公式ツイッターでお知らせするそうです。
ということで、本日は、いち早い再開が望まれるこの展覧会の見どころをご紹介!
皆さまに少しでも展覧会を訪れた気分を味わって頂けましたら幸いです。
さてさて、改めまして、こちらは、
2013年に東京国立近代美術館で開催された “フランシス・ベーコン展” 以来となる・・・・・
日本での大規模なフランシス・ベーコンの展覧会で、
生前のベーコンと深い交流があったという、
バリー・ジュール氏のコレクションを日本初披露する貴重な機会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
ちなみに、このバリー・ジュール氏が所蔵するベーコンコレクションは、
ベーコンの祖国であるアイルランド国立近代美術館でお披露目されたのを皮切りに、
ロンドンのバービカン・センターやパリのピカソ美術館で公開され、大きな話題となりました。
その一番の特徴は、それらのものが、
ベーコンの死の直前まで、アトリエに置かれていたということ。
調理される前のベーコン、つまり、生のベーコンということです (←?)。
展示室の冒頭で紹介されていたのは、
今展の目玉と言っても過言ではない『Xファイル』、もとい 『Xアルバム』 です。
『Xアルバム』 とは、写真用のアルバムに綴じられていたというドローイング作品群。
その表紙と裏表紙に 『X』 と書かれていたことから、『Xアルバム』 と呼ばれています。
実は長い間、ベーコンはドローイングを制作していなかったと考えられていたのだそう。
それだけに、この 『Xアルバム』 の存在は、
UFOが見つかったくらいの大発見だったのだとか。
ちなみに、綴じられていたドローイングは、全部で68枚。
そのうちの57枚と表紙は、現在、イギリスのテート・ギャラリーに寄贈されています。
バリー・コレクションに残されているのは、残りの11枚。
今展では、そのすべてが来日しています!
しかも、ドローイングの表と裏がどちらも鑑賞できるように展示されていました。
ゴッホやベラスケスからインスパイアされた作品は、
ベーコンファン、20世紀美術ファンならば必見も必見!
これを観るためだけに、葉山を訪れる価値は大いにあります。
さて、続いての展示室で紹介されていたのは・・・・・
ベーコンがその上から思いつくままに、
ペインティングを施した雑誌や新聞に掲載された肖像写真の数々です。
自分も、小学生や中学生の時に、
教科書に載っている写真の上にペインティングをしましたが。
当たり前ですが、それは単なる落書きです。
行為自体は同じなはずなのですが、
ベーコンがペインティングを施すと、ちゃんとアート作品に見えるから不思議なものです。
なお、ベーコンの餌食となった写真の中には、
ミックス・ジャガーやエルビス・プレスリー、ヒトラーやニクソンを被写体としたものも。
さらに、ベーコン自身が映った写真も、
容赦なく、その上からペインティングが施されていました。
もはや原形をとどめてないほどに。
さらに、ベーコンの魔の手 (?) は、写真だけでなく画集にも。
ベーコンのアトリエにあるものは、
すべからくこのような運命を辿ったのかもしれません。
ベーコンに本を貸す際は、要注意です。
さてさて、展覧会のラストを飾るのは、
キュビスムやシュルレアリスムに影響を受けたとされる初期の油彩画です。
実はこれらは長い間、破棄されたと考えられていたのだそう。
おそらく、ベーコン自身は公表するつもりがなかったであろう作品です。
咆哮するかのような表情、奇妙に歪んだ人体といった、
僕らがよく知るベーコンの画風とは、まったく違いますが。
その独特な色遣いは、すでに片鱗を感じさせるものがありました。
ちなみに。
展示品の中には、レアアイテムとして。
ベーコンのデスマスクならぬライフマスクも展示されていました。
型を取っている時は、ベーコン曰く、とても息苦しかったのだそうです。
ベーコンが描く人物像に比べたら、
穏やかすぎるくらいに穏やかな表情ですが。