アートテラー・とに~が信じる美術に関する説を検証していく企画。
それが、『水曜日のアートテラー』 です。
まずは、こちらの写真をご覧ください。
杉本博司さんの 《海景》 シリーズをイメージして、
僕が以前、海に行った際に撮影したモノクロ写真です。
さて、この写真を、AIによる自動色付けのwebサービスを利用して、色付けしてみます。
すると・・・・・・・
ご覧の通り、カラー化されました。
AIはモノクロ写真の空と海の青を認識&再現できるようです。
AIはここまで進化していたのですね。
と、そんなAIの技術を使って、
今回検証してみたい説がこちらです。
まずは、こちらの水墨画で検証してみましょう。
国宝である雪舟の 《天橋立図》 です。
この水墨画に、AIによる自動色付けをしてみると・・・・・
カラフルというほどではないですが。
海面がほんのり青く、木々がほんのり緑色になりました。
続いて、雪舟の他の絵でも検証してみます。
こちらも国宝に認定されている 《秋冬山水図》 です。
自動色付けしてみると・・・・・・・
なぜかターナーのような色調になりました!
東洋ではなく、イギリスを舞台にした絵のようにも感じれますね。
お次は、宮本武蔵が描いた 《枯木鳴鵙図》 をカラー化。
ちゃんとモズにモズの色が彩色されています。
これはしっくりくるカラー化です。
ところが、同じ鳥をモチーフにした水墨画でも、
伊藤若冲の 《鶏図》 は、上手くはカラー化されませんでした。
とさかは赤くならないし。
ひよこは黄色くならないし。
では、若冲の 《果蔬涅槃図》 の場合は、どうなるのでしょう。
自動色付けしてみると、こんな感じになりました。
色味的には、どれも美味しくなさそう。。。
どの野菜も、鮮度は完全に失われていますね。
涅槃図のパロディなので、中央の大根の死を、
周囲の野菜たちが嘆き悲しんでいるというイメージなのでしょうが。
この色味では、ほぼ全員が死にかけです (←?)。
それでは、“水墨画の最高傑作” の一つと称されるこちらの作品でも検証してみましょう。
長谷川等伯による国宝 《松林図屛風》 です。
こちらを自動色付けしてみたところ・・・・・・・
なぜか、さらにモノクロになってしまいました!
さすが水墨画の最高傑作。
AIの力をもってしてでも、
色を付けるのは不可能ということなのでしょうか。
せっかくなので、水墨画ではないですが、
モノクロの西洋美術でも検証してみることに。
まずは、レンブラントの自画像を。
自動色付けすると、こんな感じになりました。
個人的には、屋内で描かれた絵なのかと思っていましたが。
AIの判断によると、どうやら屋外だったようです。
なんか急にグラビア感が増したような。
お次は、エッシャーの 《昼と夜》 です。
昼と夜とが混在とした不思議な光景を描いた一枚。
果たして、AIが色を付けるとどうなるのでしょうか。
昼と夜に、まさかの夕景 (もしくは朝焼け) が加わりました。
でも、これはこれで意外としっくりきています。
最後に検証するのは、こちらの作品。
ご存じ、ピカソの代表作 《ゲルニカ》 です。
20世紀を代表するこの1枚が色付けされると、こうなります。
《ゲルニカ》 に描かれた照明がオンになった。