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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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輝板膜タペータム:落合多武展

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銀座メゾンエルメス フォーラムで開催中の展覧会、

“輝板膜タペータム:落合多武展” に行ってきました。

 

 

 

輝板膜?タペータム??

 

展覧会巡り歴十数年の経験からすると、

こういう意味不明なタイトルの展覧会は、

ホームランか三振か、そのどちらかになる可能性が非常に高いです。

果たして、この展覧会はどちらに振り切れるのでしょうか。

 

なお、“輝板膜タペータム” というワードについて、

展覧会HPには、以下のように説明されていました。

 

 「輝板膜タペータム(Tapetum Lucidum)」 は、

 夜行性動物の眼球内にある輝板(タペタム)という構造物を参照しています。

 これは、網膜の外側に存在し、

 暗闇の中のわずかな光を捉えて反射する機能を持ち、

 猫の目が暗闇で光る現象として理解されているものです。

 人間の視覚にはないこの輝板は、

 日ごろ、特段意識をしていないものから光を集め、

 一瞬の反射光を放つ、軽快でウィットに富んだ落合の表現のようです。

 それらは断片のようでありながら、

 断片から全体像を常に揺り動かしてゆくように作用し、

 ひとつのナラティブに収束することがありません。

 「暗い場所で光を反射し続ける眼球は、見られるものに対して中間地点にいる」 と落合は語ります。

 その眼球の中をこの展覧会とするならば、

 その世界は見るものと見られるものが自由に交差する永遠の中間地点を象徴しているのかもしれません。

 

 

・・・・・ずっと何を言ってるんじゃ! (千鳥ノブ風)

 

 

この時点で、すでに頭はパンク寸前でしたが。

あきらめたらそこで展覧会は終了です。

頑張って、落合多武さんの作品世界に食らいつくことにします。

エレベーターの扉が開いて、まず目に飛び込んできたのは、たくさんの写真。

 

 

 

迷路のように設置された展示壁に、

ヨーロッパのどこかを映したと思われる写真が掛けられていました。

なお、通常は8階のみが展示スペースですが、

今回の落合多武展に関しては、9階にも展示が続いています。

 

 

 

どうやら、写真だけでなく、これらのオブジェも込みで、

《Chopin ,Op.97(ショパン、97分間)》 という作品シリーズとのこと。

なお、会場で手渡されたハンドアウトには、

落合さん本人が作品シリーズについて語った言葉が紹介されていました。

 

 ショパンの遺言通り、死後、彼の心臓はパリから故郷のワルシャワに運ばれた、

 それがどのような方法、行程で執行されたのかは知らない。

 その道筋を憧憬しパリからワルシャワまで移動することにした(心臓の旅)、

 構造だけは決定した、その後はすべてインプロビゼーション(即興として)に進んでいった。

 

 

おいおい!一つもわからんぞ(涙) (千鳥ノブ風)

 

 

他にも。

 

 3分間の彫刻、everyone has two placesの続編と考える。

 何かが死んでいく過程を見ながら、手でそれを作品に押し付けるとは何事だろう?

 

と説明がある 《灰皿彫刻》 シリーズや、

 

 

 

 Covid-19渦中の夏、ニューメキシコのタオスにいた。

 メサ地帯での隔離生活が続き1か月が過ぎた頃、突然石を拾い始めた、

 それはメサのような砂漠である程度の時間を過ごしていたら、ごく普通の成り行きに思える、 

 しばらくは純粋な楽しみでただ石を拾っていた。

 銀色のセージブラシの間を走り抜けるウサギやコヨーテに会うのも楽しみであった。

 

と説明のある 《オセロ》 など、

 

 

 

四半世紀にわたるアーティスト活動の中で、

落合さんが制作した代表的なシリーズや最新作が紹介されていました。

 

 

 

説明を理解するのが激ムズすぎて、

何一つとして頭に入ってきませんでしたが (笑)

不思議と、嫌な感じがしなかったのは、

おそらく、メゾンエルメスのこの建物によるところが大きいかと。

外から光が優しく降り注ぐ開放的な空間のおかげで、

“まぁ、作品について難しく考えなくていっか” と楽な気持ちになりました。

 

 

 

無理して理解しようとしない。
 

 

 

電子キーボードの上で寝ころんでいたこの猫のように。

そう肩の力を抜いたら、何だか心地よさすら感じてきました。

星

 

 

ところで、この猫。

よく見ると、瞳がありませんでした。

 

 

 

 

タペータムわい!

 




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