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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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写真家ドアノー/音楽/パリ

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現在、Bunkamura ザ・ミュージアムでは、

“写真家ドアノー/音楽/パリ” が開催されています。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

こちらは、パリの景色とパリに生きる人々を撮り続けた、

フランスの国民的写真家ロベール・ドアノーの展覧会です。

もし、ドアノーの名前にピンと来なくとも、彼の代表作ともいうべき、

男性が女性の肩に手を回し、道端で思いっきりキスしてる写真は目にしたことがあるはず。

残念ながら、今回の展覧会には、

その 《市役所前のキス》 こそ、出展されていませんが。

多くの日本初公開作品含む 「音楽」 をテーマとした写真約200点が紹介されています。

 

 

 

実は、ドアノーは、その写真家人生の中で、

たくさんの音楽家と出会い、そして、大きな影響を受けていたのだそう。

その証拠に、会場には、イヴ・モンタンやマリア・カラスをはじめ、

 

 

 

そうそうたる音楽家を被写体にした写真が多数展示されていました。

不思議なことに、写真が目にした瞬間、

シャンソンやオペラの音楽が聴こえてきたような。

目だけでなく、耳でも楽しめる展覧会でした。

星星

 

 

さて、さまざまな音楽家の写真が紹介されていましたが。

特にフィーチャーされていたのは、

ドアノーの生涯の友人であったモーリス・バケの写真です。

ドアノーもユーモアのある人物だったようですが、

チェリストのモーリス・バケも、かなりユーモアのある人物だったそう。

そんな二人の化学反応から生まれたのが、『チェロと暗室のバラード』 という写真集です。

 

 

 

だいぶ、モーリス・バケがふざけてます。

どれくらいふざけていたのかというと、若手芸人くらいふざけています。

特にふざけていたのが、手前の写真。

 

 

 

タイトルは、《裸のチェリスト》 です。

キャプションには、こんな一文が添えられていました。

「チェロは、全裸で演奏できる稀有な楽器だ」

まさか60年以上も前に、

アキラ100%を先取りしていた人がいただなんて。

しかも、チェリストで。

 

 

他に印象的だった人物が、映画 『天井桟敷の人々』の脚本や、

シャンソンの名曲 『枯葉』 の作詞でも知られるジャック・プレヴェールです。

彼もドアノーの友人だったそうで、多くの写真の被写体となっています。

 

 

 
 

そのうちの1枚に、ギタリストのアンリ・クロラと歩く場面を映したものが (写真右)

 

 

 

 

仲良く歩く2人を、なぜかお店の人物たちが、ガン睨み。

ジャック・プレヴェールは、あえて目線を逸らしているようにも見えます。

もしかしたら、ツケを支払ってないとか?

もしくは、酔っ払って店の物を壊したとか?

《市役所前のキス》 とはまた違ったドラマが、

一枚の写真の中に込められているようでした。

 

 

また、音楽家を映した写真以外では、

キャバレーの様子を写した写真も多く紹介されていました。

 

 

 

パリの人々は、昔からこのように夜にワイワイと集まるのが好きだったようです。

そりゃ、あんなに早々に緊急事態宣言を発動させたわけですね。

夜間外出禁止令が出された背景には、

こうした文化があったのだなァと、妙に納得してしまいました。

 

 

最後に。

今回もっとも印象に残った写真をご紹介いたしましょう。

《パタシュー、モンマルトルで自身が経営するキャバレーで》 です (写真右)

 

 

 

店内にたくさんぶら下がっているのは、ネクタイ。

なんでも、解説によれば、彼女のキャバレーでは、

客のネクタイを切り取り、それを飾るというパフォーマンスが名物だったのそう。

マジかよ。。。

何も知らないで、この店に入って、

ネクタイを切られたら、それはもうショックですよ。

やってることは、ほぼシリアルキラーと一緒。

観れば観るほど、この女性が、ジョーカーのようにも見えてきました。

 

 



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