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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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浅見貴子展 変容のプロセス

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現時点では、聖火リレーが本当に開催されるのか微妙なところですが。

2018年より中村屋サロン美術館でスタートしたリレー、

“中村屋サロン アーティストリレー” は無事に開催されているようです!

 

“中村屋サロン アーティストリレー” とは、

出展作家自身が次の作家を指名し、リレー形式で展覧会を繋いでいく、

「テレフォンショッキング」 形式 (?) の展覧会シリーズです。

日本とインドを拠点に活動する新恵美佐子さんからバトンを受け取ったのは、

湯気や煙といった独特なモチーフの作品で知られる日本画家の及川聡子さん。

そして、その及川さんが指名したのが、

2018年の東山魁夷記念日経日本画大賞で大賞に輝いた浅見貴子さんです。

 

 

 

“浅見貴子展 変容のプロセス” と題されたこの展覧会。

実は、昨年も開催されたのですが、

新型コロナの影響により、たった6日間で閉幕してしまいました。

しかし、そのまま終わってしまうのはもったいない!

ということで、1年越しに再開催される運びとなったのです。

 

 

さてさて、一見すると、浅見さんの巨大な画面の作品は、

ポロックのアクションペインティングのように見えるかもしれません。

 

 

 

しかし、これらは抽象画にはあらず!

浅見さん家の庭にある古い梅の木をモチーフに描いたものなのです。

 

 

 

そう言われて、よく見てみると、

なんとなく梅の木に見えてきませんか?

 

 

 

・・・・・・・・・って、見えませんか。

そうですか。そうですよね。

確かに、すぐには梅の木には見えてこないことでしょう。

絵の前にしばらく立ち続ける必要があります。

 

すると。

 

 

 

↑絵の中のこういう部分が、

風によって揺れ動く梅の花のように見えてくるはずです。

その上、黒一色で描かれているはずなのに、

だんだんと梅の花が色づいてくるような気がするはずです。

さらに、梅の花の匂いや日差しも感じられるかと。

 

昨年描かれたというこちらの新作は、

より、梅の木の動きを感じることができました。

 

 

 

もしかしたら、春一番が吹き荒れているのかも。

梅の花が散りこぼれてしまいませんように。

 

なお、絵に近づいてみると、わかりやすいのですが。

 

 

 

浅見さんの作品の多くには、和紙の裏側から、

水に溶いた墨や胡粉を置くという独自の技法が使われています。

伝統的な水墨画のようでありながらも、

実は革新的なスタイルで描かれた、まさに現在の日本画なのです。

 

 

 

ちなみに。

会場では、浅見さんのスケッチも展示されていました。

 

 

 

スケッチの段階では、ちゃんと梅の木なのですね (←?)。

ちゃんと枝や幹、梅の木を支える添え木も描かれていました。

このスケッチの状態から、何がどうなったら、完成作のあの状態に??

できれば、もう少し具体的に “変容のプロセス” を知りたかったです (笑)

星

 

 

また、展覧会では、梅の木を描いたシリーズ以外に、

近年取り組まれているという 「gray net」 シリーズも紹介されていました。

 

 

 

「gray net」 シリーズとは、網戸越しに見える風景を描いたシリーズ。

目の前にあるのに見えていない、

あるいは、意識していない網戸をあえて描いたものです。

それだけといえば、ただそれだけなのですが、

網戸というフィルターを通すことで、何気ない景色が新鮮に感じられました。

 

 

 

視点を少し変えてみるだけで、

世の中はもっと面白くなるのかもしれません。





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