現在、東京富士美術館では、
神戸ファッション美術館とコラボした展覧会が開催されています。
その名も、“絵画のドレス|ドレスの絵画”。
こちらは、美術品の登場人物の衣装に注目した展覧会で、
東京富士美術館が所蔵する18世紀から20世紀にかけての絵画&写真作品と、
神戸ファッション美術館が所蔵する同時代の服飾作品を合わせて展示するものです。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
ドレスが描かれた絵画と、絵画に描かれているドレスが並べてある。
それだけ聞くと、「1+1=2」 くらいにしか感じられないかもしれません。
ところがどっこい、実際にその光景を目にしてみると、
「1+1」 が3にも4にも感じられること請け合いの展覧会でした。
例えば、東京富士美術館を代表するコレクションの一つ、
ジュール・ジェーム・ルージュロンによる 《鏡の前の装い》。
この隣には、画中の女性と同じタイプの、
バッスルスタイルのドレスを着たマネキンが展示されています。
平面で描かれたものを、立体的に再現。
まさに、絵画の実写化です!
それだけでも新鮮な感動がありましたが、
実写化されたものを、さまざまな角度から観たあとで、
改めて、絵画を鑑賞してみれば、さらなる感動を覚えるはず。
まぁ、なんということでしょう!
これまでは平面にしか感じられなかった絵画に奥行きが感じられるようになるのです!
また例えば、マネの 《散歩(ガンビー夫人)》 。
これまで何度も目にした作品でしたが、
正直、一度も散歩らしさを感じたことはありませんでした。
しかし、その再現したものと併せて観てみたところ、
初めてガビー夫人が散歩しているように感じられたのです。
さてさて、“絵画のドレス|ドレスの絵画” と題されているだけに。
どうしても絵画やドレスに目を奪われてしまいがちですが。
この展覧会では、他にも注目したいものが2つあります。
1つは、同時代の家具。
東京富士美術館のコレクションながらも、
長い間、収蔵庫の中で眠っていたとのこと。
今回、久しぶりに日の目を見ているのだそうです。
そして、もう1つはマネキン。
アンティークなドレスを身に付けているマネキンはすべて、
それらのドレスに合わせて採寸された特注のマネキンなのだとか。
1体あたり、ウン百万するそうです!
そんなマネキンをただ設置するのではなく、
まるで映画や舞台のワンシーンのように配置しているのも、今展のこだわりポイント。
担当学芸員さん曰く、
「マネキンや家具で、立体的な絵を描いてみた」 とのこと。
確かに、マネキンが俳優や女優のように感じられました。
皆、いい演技をしています。
ちなみに。
今展で、個人的に特に印象に残ったのは、
やはり18世紀に流行したという女性の髪形でしょうか。
なんだかマーズアタックみたいなことになっていました。
馬車に乗る時とか、どうしていたのでしょう??
このやりすぎな髪型を見た後だと、
ブランド王ロイヤルの社長のあのリーゼントが、ショボく感じられるほどです。
なお、髪の色が白いのは、小麦粉を振っているからなのだそう。
それが原因で、パン用の小麦粉が不足する事態になったのだとか。
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」
あの発言が炎上した背景には、
「まず髪に付けるのをやめれ!」 という庶民の怒りもあったのでしょう。
それから、もう一つ印象的だったのが、
戴冠式の際にナポレオンが着用していた衣装です。
実は、この衣装に使われているのは、
イタチの仲間のオコジョの毛皮なのだとか。
ところどころに黒い斑点が見えますが、これはオコジョの尻尾の部分。
つまりは、それだけの数のオコジョが犠牲になったということです。
ちなみに、ナポレオンの衣装のほうで、約1900匹。
ジョゼフィーヌの衣装のほうで、1000弱のオコジョが使われているとのこと。
オコジョ最大の天敵は、ナポレオンなのかもしれません (←?)
そうそう。
展覧会の冒頭には、こんな絵画も紹介されていました。
先日ブログで取り上げた襟がどうかしてる絵画です。
完全なる円形ではなく、一か所欠けている部分 (?) がありました。
プラークコントロールを薦める歯医者さんの円グラフか!