“ライゾマティクス_マルティプレックス” が絶賛開催中の東京都現代美術館で、
現在、同時開催されているのは、“マーク・マンダース─マーク・マンダースの不在” という展覧会。
「建物としての自画像」 をテーマに制作を行う
オランダ生まれの彫刻家マーク・マンダースの展覧会です。
ミヒャエル・ボレマンスとの2人展は、
昨年、金沢21世紀美術館で開催されていましたが。
個展形式での開催は、国内では今展が初めて。
それゆえ、マーク・マンダース本人も、
気合を入れて臨む予定だったそうですが。
コロナにより来日は叶わず。。。
もちろん彼自身、作品の選定や設置などに大きく関わったそうですが、
まさに “マーク・マンダースの不在” のまま、今展は開幕することとなりました。
・・・・・・・とは言え。
会場は、マーク・マンダースらしさ全開!
不在でも、これだけ存在感があるということは、
もし、不在でなかったら、とんでもないことになっていたのではないでしょうか?
金沢21世紀美術館で、初めて彼の作品を目にした際にも、
まるで白昼夢を見ているような、強烈なインパクトを受けましたが。
展示室によっては外光が差し込む金沢21世紀美術館とは違って、
東京都現代美術館の展示室は完全に外光がシャットアウトされています。
それゆえ、逃げ場がなく、じわじわ追い詰められる感じがありました。
白昼夢というよりも、高熱にうなされている時に見る夢かのよう。
(入館時に検温したら、35.5°でした。念のため)
個人的には、マーク・マンダースの作風は嫌いじゃないのですが、
人によっては、「嫌いじゃないけど生理的に無理!(byヒッキー北川)」 となるかも。
ハマる人は、とことんハマる。
ハマらない人は、まったくハマらない。
ホームランか三振タイプの芸術家です。
ということで、その間を取って、2ツ星。
ちなみに。
今回の展覧会には、2013年のヴェネツィア・ビエンナーレに出品された、
マンダースの代表作 《マインド・スタディ》 が、オランダの美術館から初来日しています。
一本足の奇妙な人物像が、ロープでくくられ、
絶妙なバランスでテーブルの端に固定されていました。
意味深だけど、意味がこれっぽっちも伝わってこない。
それが、マンダース作品です。
また、意味深と言えば、
会場の一角に衣服が畳まれて置かれていました。
ハンドアウトを確認してみたのですが、
特にマンダースの作品というわけではなさそうです。
ということは、会場のどこかに服を着ていない野郎がいるのか??
そんな人物が不在であることを切に願います。
また、今回の展覧会では、立体作品だけでなく、
マンダースが1990年から現在に至るまで制作したドローイングも大量に展示されていました。
廊下の壁一面を埋め尽くすドローイング。
案の定というか、何というか、
どれもやはり不穏な空気を放っていました。
アウトプットするものすべてが不穏なのですね。
そんなドローイングの中にこんな一枚がありました。
自分の中のマーク・マンダースが、叫びたがってるのでしょうか?
もはや自我が崩壊しているのかもしれません。
今展で紹介されている全作品の中で、
このドローイングが一番怖かったです。