おもむろに自分の髪の毛を噛んでいる女性の絵に、
上村松園 《焰》 大正7(1918)年 東京国立博物館
(注:出展は東京展のみ。展示期間は、3月23日~4月4日)
胸元をはだけさせ、こちらを見つめる女性の絵に、
青木繁 《大穴牟知命》 明治38(1905)年 石橋財団 アーティゾン美術館
(注:東京展のみ通期展示)
一体どこを見ているのか、感情を失ってしまったような女性の絵に。
藤島武二 《婦人と朝顔》 明治37(1904)年 個人蔵 通期展示
誰がどう見ても怪しげな、
あるいは、妖しげな美術作品ばかりを集めた展覧会が、
この春、東京国立近代美術館で開催されています。
その名も、“あやしい絵展”。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
右を見ても、あやしい絵。
左を見ても、あやしい絵。
あまりにあやしげな雰囲気ゆえ、
展示室内にいる時は、常に頭の中で、
あのBGMがリピート再生されていたような気がします。
なんなら会場内にタモさんらしき人がいたような気もします。
・・・・・いや、さすがにそれはウソですが。
会場のいたるところに、黒猫はいました。
そして、謎の都都逸も。
と、それだけに。
見ごたえもあり、純粋に面白い展覧会ではあったのですが、
出口に辿り着いた際には、無事に元の世界に戻れたのだと、心底ホッとしました (笑)
さてさて、東京国立近代美術館で開催されている展覧会だけに、
展示の中心となるのは、明治から昭和初期にかけての近代日本画や洋画でしたが。
それ以外にも、近美での展覧会には珍しく浮世絵や、
ミュシャやロセッティといった西洋美術も展示されていました。
と、古今東西の画家が紹介されていましたが、
その中でも 『king of あやしい』 とでもいうべき画家が、こちらの甲斐庄楠音。
甲斐庄楠音 《横櫛》 大正5(1916)年頃 京都国立近代美術館 通期展示
彼に関しては、何をどう描いても、あやしげになるのです。
図録に掲載されていた後期出展予定の 《母》 は、
他の絵と比べると、そこまであやしげではなかったですが。
むしろ、あやしくないので、
逆に何かあったのかなと、心配になってしまったほどです。
そんな甲斐庄楠音の真骨頂ともいえるのが、
秀吉の命で切腹させられる女性たちをモチーフにした未完の大作 《畜生塚》。
インパクトが強烈も強烈でした。
未完でこれほどまでのインパクトなら、
完成品のインパクトはいかほどだったのでしょう?
また、島成園による 《無題》 もインパクトのある一枚。
目元に痣のある女性が、
何かを訴えかけるようにこちらを見つめています。
もしかしたら、配偶者からのDVに思い詰めているのかも。
思わず2時間サスペンスドラマの回想シーンを連想させる絵でした。
絵画以外で印象的だったあやしい作品が、こちら。
江戸末期から明治にかけて活躍した人形師、
安本亀八による精巧な生人形、《白瀧姫》 です。
何で、若干しゃくれ気味?
笑顔じゃないのに、えくぼができているのも怖いです。
じーっと見ていたら、ちょっとだけ勝地涼に見えてきました。
また、あやしい挿絵も多く紹介されていた今回の展覧会。
その中でも断トツであやしかったのが、
谷崎潤一郎の 『刺青』 を題材とした橘小夢による挿絵です。
ある日、一人の少女に出会った刺青師。
その少女の中に魔性を見出した彼は、
どうしても少女に刺青を施したくなります。
そこで少女を薬で眠らせて、その全身に女郎蜘蛛の刺青を施したのだとか。
刺青のサイズでかすぎね??
ちなみに。
男性作家が多かったからか、
ファムファタルのイメージなのか。
全体的には、ほぼ女性像ばかりでした。
妖しげな美少年とか、怪しい生き物、
あやしいオッサンの絵 (←これは特に見たくないけど) もあるでしょうに。
みなさまが純粋にこの展覧会を楽しんでくれることを祈るのみ。
ジェンダー的な意見が寄せられて、
雲行きがあやしいことになりませんように!
┃会期:2021年3月23日(火)~5月16日(日)
┃会場:国立近代美術館
┃https://ayashiie2021.jp/
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https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、3月31日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
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