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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ミネアポリス美術館 日本絵画の名品

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現在、サントリー美術館では、開館60周年を記念して、

“ミネアポリス美術館 日本絵画の名品” という展覧会が開催されています。

 

 

 

ミネソタ州最大の都市ミネアポリスに設立されたミネアポリス美術館。

Minneapolis Institute of Art。通称Mia。

 

 

 

そのコレクションの数は、9万点以上。

うち約9500点が、日本美術作品なのだそうです。

今展では、その中から選りすぐられた約90点が来日!

初里帰りとなる作品も多数含まれています。

 

琳派の作品もあれば、

 

 

 

浮世絵もあり、

 

 

 

他にも、水墨画ややまと絵、狩野派、近代日本画など、

江戸時代を中心に、室町から大正までの日本美術の優品が勢ぞろいしていました。

 

昨年秋に開催された “日本美術の裏の裏” を筆頭に、

 

 

 

ここ最近、立て続けに意欲的で、

攻めた展覧会を開催しているサントリー美術館。

ちなみに、次回展にいたっては、チラシからしてだいぶ攻めています (笑)

 

 

 

それらの展覧会と比べると、今回のものは、

久しぶりにオーソドックスな展覧会だったように思えます。

王道も王道。ド直球な日本美術の展覧会です。

星星

 

 

と、それだけに。

 

 

 

吹き抜け空間にプロジェクションされていた・・・・・・

 

 

 

落ちゲーみたいな謎の演出は、

蛇足も蛇足に感じられました (笑)

なぜ、やったし?!

なぜ、やりたかったし?!

 

 

さてさて、今回出展されていた作品の中で、

特に印象に残っているものをいくつかご紹介いたしましょう。

まずは、伊藤若冲の 《叭々鳥図》 から。

 

 

 

岡田美術館が所蔵する若冲の絵では、

叭々鳥がまるで一直線に落下するような姿で描かれていますが。

ミネアポリス美術館所蔵のものは、

橋の欄干の下に止まる姿で描かれていました。

何か追手のようなものから逃げていて、

危機的状況が去るまで、身を潜めているのかもしれません。

まるで、『逃走中』 のワンシーンのよう。

このあと、自首してネットで炎上するかも。

 

 

お次も、鳥が描かれた作品をご紹介。

曾我蕭白による 《群鶴図屏風》 です。

 

 

 

鶴をモチーフにした日本美術作品は数多くあれど。

これほどまでに鶴に人間味を感じた作品には、初めて出会いました。

 

 

 

おそらく母と子の鶴が、楽しげに何かを話しているようです。

「ねぇねぇ、ママ、今度の人間の男もやっぱり部屋を開けたの?」

「開けた開けた!しかも、2日で!」

「早い!新記録だね!」

「だから、反物もこれくらいしか織れなくてwww」

とかなんとか。

 

 

若冲や蕭白以外にも、北斎や写楽、

最近人気急上昇中の河鍋暁斎、渡辺省亭の作品もありましたが。

まだまだ日本でも知名度の低い作家の作品も、意外と多く紹介されていました。

今展を機に、それらの画家が逆輸入の形でブレイクするかもしれません。

そんなネクストブレイク候補の一人が、

江戸時代後期に大阪で活動したという三畠上龍です。

 

 

 

足元をチラ見せする女性と、

それをガン見する男性が描かれています。

その名も、《舞子覗き見図》

昭和のギャグ漫画か!

江戸時代にも永井豪的な笑いがあったのですね。

 

 

続いてのネクストブレイク候補は、青木年雄。

 

 


 

横浜出身で、1880年にアメリカに渡り、

カリフォルニアなど西海岸を舞台に活躍したのだそう。

そのため、日本ではほぼ知名度がないそうですが、

セレブ相手に日本風パーティーを主催するなど、アメリカではかなり著名な人物だったようです。

まさに、世界の青木。

絵のタッチも、実に個性的ですが、

それ以上に、表装も個性的でした。

 

 

 

ウエスタンな掛け軸です。

 

 

最後に紹介したいブレイク候補は、細川林谷。

今展では彼の作品が4点も出展されています。

讃岐生まれの篆刻家だそうで、

その腕前は、江戸で一番と評されたほどだったそう。

生涯を旅に捧げたとのことで、

その様子を描いたものが数多く残されているのだとか。

 

 

 

ただ、絵師が本業ではないので、

絵のタッチが、ゆるいのなんのって。

こちらの 《戸隠連峰図》 は・・・・・

 

 

 

戸隠連峰の中でももっとも険しいとされる、

高妻山の山頂に登った場面を描いたものなのだそう。

赤い服を着ている方が、林谷本人なのだとか。

 

 

 

「なぜ、山に登るのか」 と、

心の底から彼らに質問したくなりました。

リポビタンDのCMくらいに険しすぎる山に。

 




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