太田記念美術館で開催中の “没後120年記念 月岡芳年” に行ってきました。
こちらは、前後期に分けて約200点以上の月岡芳年作品を紹介する大回顧展。
ちなみに、月岡芳年の回顧展が、都内で開催されるのは、実に17年ぶりのことなのだとか。
浮世絵好きの方にはお馴染みの月岡芳年ですが。
浮世絵にあまり興味のない方にとっては、
「月岡芳年?誰??」
という人物でしょう。
そこで、まずは簡単に、月岡芳年についてご紹介。
月岡芳年 (1839~1892) は、幕末から明治期に大活躍し、 『最後の浮世絵師』 と称される人物です。
芳年の師匠に当たるのが、
近年人気急上昇中の浮世絵師・歌川国芳。
芳年の “芳” の字は、国芳から一字を頂いたものなのです。
(ちなみに、上の肖像画を描いたのは、月岡芳年です)
さてさて、月岡芳年と言えば、 「血みどろ絵」 で人気を博した浮世絵師。
「血みどろ絵」 とは、なかなか聞き慣れない美術用語ですが、
読んで字のごとく、血みどろで凄惨な絵を描くジャンルのことです。
例えば、芳年が描いた 「血みどろ絵」 を、いくつか紹介しますと・・・
(注:心臓の弱い方はご注意ください)
《英名二十八衆句 稲田九蔵新助》
《魁題百撰相 冷泉判官隆豊》
いやぁ、怖いですね。。。(iДi)
画像でも十分怖いですが、実物はもっと怖い。
というのも、血のりが、まるで本物のように見えるのです。
何でも、芳年は、わざわざ赤い顔料に膠をブレンドして、血のりのべったりとした感じを再現したのだとか。
いや、そこまでしなくて、いいですって (泣)
ただ、怖いことは、怖いのですが。
不思議と、厭な気持にはなりません。
残虐なシーンが登場するドキュメンタリーを観ているというよりは、
『キル・ビル』 や 『バトル・ロワイヤル』 のようなスプラッターアクションを観ている感じ。
あくまで、娯楽としての 「血みどろ絵」 という気がしました。
今回の月岡芳年展には、もちろん、そんな彼の 「血みどろ絵」 も展示されていましたが。
展覧会全体としては、 「血みどろ絵」 は2割程度で、
むしろ月岡芳年の風景画 (《東海道 名所之内 由比ヶ浜》)や、
武者絵 (《正清三韓胎児晋州城合戦之図》) 、
美人画 (《吾襦絵姿烈女競 和貴妹》) に、
妖怪画 (《和漢百物語 不破伴作》) などなど、
多彩なジャンルの芳年作品を展示することで、
月岡芳年のマルチプレーヤーぶりにスポットを当てていたように思えました。
さらに、今回の展覧会では、新発見されたという 《袴垂保輔鬼童丸術競図》 の下絵を紹介したり、
月岡芳年の戦争カメラマン的な一面を紹介するなど、
(描かれているのは、なんと西郷隆盛の切腹の場面!)
「血みどろ絵」 というイメージで凝り固まった月岡芳年の正しい姿を、
余すことなく紹介しようという意欲的な展覧会だったように思います。
ちなみに、僕のイチオシは、 《東名所隅田川梅若之古事》 。
水面に揺れる月の表現が、抜群に素晴らしい一枚です。
月岡芳年は、こういう風情のある絵も描けたんですね (←超上から目線!)
そして、もう一つ推したいのが、八百屋お七を題材にした 《松竹梅湯嶋掛額》
上下2枚でワンセットな浮世絵です。
まるで映画を観ているかのような臨場感。
なんともドラマチックな場面です。
映画ならば、確実にクライマックスシーンでしょう。
その最高の見せ場でのお七のこの表情。
セリフはなくても、すべてを表情が語っている気がします。
こんな表情を出来る女優さんは、そうそういないのでは?
浮世絵とは頭では分かっていても、名演技だなァと思ってしまいました。
さて、ここまで紹介した絵は、前期のものばかりですが。(前期は、10月28日まで)
後期は、11月1日から11月25日までの会期で開催されるそうです。
後期には、芳年の代表作にして、
あの夏目漱石が購入したけれど怖くなって処分したという逸話の残る・・・
《奥州安達がはらひとつ家の図》 が展示されるそうです。
怖いもの見たさで、後期も行かなくては!
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こちらは、前後期に分けて約200点以上の月岡芳年作品を紹介する大回顧展。
ちなみに、月岡芳年の回顧展が、都内で開催されるのは、実に17年ぶりのことなのだとか。
浮世絵好きの方にはお馴染みの月岡芳年ですが。
浮世絵にあまり興味のない方にとっては、
「月岡芳年?誰??」
という人物でしょう。
そこで、まずは簡単に、月岡芳年についてご紹介。
月岡芳年 (1839~1892) は、幕末から明治期に大活躍し、 『最後の浮世絵師』 と称される人物です。
芳年の師匠に当たるのが、
近年人気急上昇中の浮世絵師・歌川国芳。
芳年の “芳” の字は、国芳から一字を頂いたものなのです。
(ちなみに、上の肖像画を描いたのは、月岡芳年です)
さてさて、月岡芳年と言えば、 「血みどろ絵」 で人気を博した浮世絵師。
「血みどろ絵」 とは、なかなか聞き慣れない美術用語ですが、
読んで字のごとく、血みどろで凄惨な絵を描くジャンルのことです。
例えば、芳年が描いた 「血みどろ絵」 を、いくつか紹介しますと・・・
(注:心臓の弱い方はご注意ください)
《英名二十八衆句 稲田九蔵新助》
《魁題百撰相 冷泉判官隆豊》
いやぁ、怖いですね。。。(iДi)
画像でも十分怖いですが、実物はもっと怖い。
というのも、血のりが、まるで本物のように見えるのです。
何でも、芳年は、わざわざ赤い顔料に膠をブレンドして、血のりのべったりとした感じを再現したのだとか。
いや、そこまでしなくて、いいですって (泣)
ただ、怖いことは、怖いのですが。
不思議と、厭な気持にはなりません。
残虐なシーンが登場するドキュメンタリーを観ているというよりは、
『キル・ビル』 や 『バトル・ロワイヤル』 のようなスプラッターアクションを観ている感じ。
あくまで、娯楽としての 「血みどろ絵」 という気がしました。
今回の月岡芳年展には、もちろん、そんな彼の 「血みどろ絵」 も展示されていましたが。
展覧会全体としては、 「血みどろ絵」 は2割程度で、
むしろ月岡芳年の風景画 (《東海道 名所之内 由比ヶ浜》)や、
武者絵 (《正清三韓胎児晋州城合戦之図》) 、
美人画 (《吾襦絵姿烈女競 和貴妹》) に、
妖怪画 (《和漢百物語 不破伴作》) などなど、
多彩なジャンルの芳年作品を展示することで、
月岡芳年のマルチプレーヤーぶりにスポットを当てていたように思えました。
さらに、今回の展覧会では、新発見されたという 《袴垂保輔鬼童丸術競図》 の下絵を紹介したり、
月岡芳年の戦争カメラマン的な一面を紹介するなど、
(描かれているのは、なんと西郷隆盛の切腹の場面!)
「血みどろ絵」 というイメージで凝り固まった月岡芳年の正しい姿を、
余すことなく紹介しようという意欲的な展覧会だったように思います。
ちなみに、僕のイチオシは、 《東名所隅田川梅若之古事》 。
水面に揺れる月の表現が、抜群に素晴らしい一枚です。
月岡芳年は、こういう風情のある絵も描けたんですね (←超上から目線!)
そして、もう一つ推したいのが、八百屋お七を題材にした 《松竹梅湯嶋掛額》
上下2枚でワンセットな浮世絵です。
まるで映画を観ているかのような臨場感。
なんともドラマチックな場面です。
映画ならば、確実にクライマックスシーンでしょう。
その最高の見せ場でのお七のこの表情。
セリフはなくても、すべてを表情が語っている気がします。
こんな表情を出来る女優さんは、そうそういないのでは?
浮世絵とは頭では分かっていても、名演技だなァと思ってしまいました。
さて、ここまで紹介した絵は、前期のものばかりですが。(前期は、10月28日まで)
後期は、11月1日から11月25日までの会期で開催されるそうです。
後期には、芳年の代表作にして、
あの夏目漱石が購入したけれど怖くなって処分したという逸話の残る・・・
《奥州安達がはらひとつ家の図》 が展示されるそうです。
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