現在、山種美術館で開催されているのは、
【開館55周年記念特別展】“百花繚乱 ─華麗なる花の世界─” です。
菱田春草による牡丹や、
菱田春草 《白牡丹》 1901(明治34)年頃 絹本・彩色 山種美術館
山口蓬春による紫陽花、
山口蓬春 《梅雨晴》 1966(昭和41)年 紙本・彩色 山種美術館 ©︎公益財団法人 JR東海生涯学習財団
小林古径による蓮などなど、
小林古径 《蓮》 1932(昭和7)年 絹本・彩色 山種美術館
山種美術館が所蔵する四季折々の花の絵が展示室を埋め尽くす。
まさに “百花繚乱” な展覧会です。
会場の壁に並んだ花の絵は、
人それぞれ好みはあるでしょうが、どれもみんなきれいでした。
さてさて、数ある花の絵の中で、
個人的に思い入れの強い特別なOnly oneな作品がこちら↓
田能村直入 《百花》(部分) 1869(明治2)年 絹本・彩色 山種美術館
田能村直入の 《百花》 です。
この絵が目に飛び込んできた瞬間、
反射的に、「わっ、ここ塗ったわ~!」 という感想が飛び出しました。
というのも、昨年ステイホーム中に、こんなチャレンジをしたのでした。
当たり前ですが、自分が塗ったものよりも、
実物の 《百花》 のほうが何十倍も素晴らしかったです。
ところで、《百花》 に添えられたキャプションを、
何気なく読んでいたら、なんとも気になる記述を発見してしまいました。
作者の田能村直入の本名は、「癡」 とのこと。
“痴漢に疑われる” 的な?
漢字そのもののビジュアルもアレですが。
何より驚いたのが、その読み方。
「ち」 と読むのだそうです。
一文字しかない名前なんて、日本人で唯一なのでは??
田能村直入の親はどんなセンスしてるんだ。
他にも印象的だった作品をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、荒木十畝の 《四季花鳥》 という作品から。
荒木十畝 《四季花鳥》 1917(大正6)年 絹本・彩色 山種美術館
どことなく、アールヌーヴォーが感じられる作品です。
花の描写はもちろん、鳥の描写もお見事。
さてさて、実は、この 《四季花鳥》 は、
現在の広尾の地の山種美術館にとって、重要な作品でもあります。
というのは、山種美術館の所蔵品の中で、
この 《四季花鳥》 が、もっとも高さのある作品なのだとか。
それゆえ、この 《四季花鳥》 に合わせて、
展示室の展示ケースの高さが決められたのだそうです。
なるほど、他のどの作品よりも、
おさまりが良く感じられるわけですね。
続いては、速水御舟による 《椿ノ花》。
速水御舟 《椿ノ花》 1933(昭和8)年 紙本・彩色 山種美術館
絵がお上手すぎて、スルーしそうになりましたが。
よくよく観てみたら、ちゃんとツッコミどころがありました (←?)
いや、蕾ばっかりやないか!
ほんで、一輪だけ咲いてるヤツは、左向いているやないか!
《椿ノ花》 と謳いながら、そこまで椿の花が楽しめない。
なんとももどかしい気持ちになる一枚です。
最後に紹介したいのは、川端龍子の 《八ツ橋》 です。
川端龍子 《八ツ橋》 1945(昭和20)年 絹本金地・彩色 山種美術館
国宝の尾形光琳の 《燕子花図屏風》 をオマージュした作品でしょうか。
《燕子花図屏風》 は、あえて八ツ橋は描かれていませんが、
こちらの屏風絵では、その八ツ橋がむしろメインに据えられています。
橋の表面が全体的にウエッティな様子。
油断して歩くと、ツルっとなってしまいそうです。
そう考えると、『風雲!たけし城!』 のアトラクションか何かのように見えてきました。
┃会期:2021年4月10日(土)~6月27日(日)
┃会場:山種美術館
┃https://www.yamatane-museum.jp/exh/2021/flower.html
┃※今後の状況により会期・開館時間等は変更する場合がございます。
~読者の皆様へのプレゼント~
“百花繚乱展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、5月5日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。