これまで、数々の建築展が開催されてきましたが、
現在、GALLERY A4 (エー クワッド) では、一味違った建築展が開催されています。
その名も、“オリガミ・アーキテクチャー 一枚の紙から世界の近現代建築を折る” という展覧会。
建築家の故・茶谷正洋が考案した 「折り紙建築」 にスポットを当てた展覧会です。
(注:緊急事態宣言の発令を受けた政府・東京都からの要請をふまえ、
2021年4月25日から5月11日の予定で臨時休館しています。その後の予定については、美術館ウェブサイトで改めて)
「折り紙建築」 とは、一枚の紙に切り込みを入れ、
それを折っていくことで、建築物を精緻に表現したもの。
ピサの斜塔やオペラハウスといった世界各国の名建築が1枚の紙で表現されています。
“え?それって、ただのペーパークラフトじゃないの??”
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「折り紙建築」 にはもう一つ重要な条件があります。
それは、『必ず2つ折りに畳める (しかも、畳んだ時に飛び出てはいけない)』 というもの。
つまり、これが・・・・・
こうなるのです。
さてさて、はじめは建築ではなく、
こちらの顔からスタートしたという茶谷氏の 「折り紙建築」。
その後、研究に研究を重ね、
折り紙一枚で、球体を表現できるほどになったそうです。
さらに、茶谷氏亡き今も、「折り紙建築」 は、
弟子や娘さんに受け継がれており、今なお進化をし続けています。
例えば、こちらは現役の折り紙建築作家・五十嵐暁浩さんによる代々木体育館。
丹下健三が設計した本物の代々木体育館も、構造が美しいですが、
この折り紙建築の代々木体育館にも、本家とは違った構造美が感じられます。
今展のメインとなるのは、五十嵐暁浩さんをはじめとする、
現代の折り紙建築作家が作った世界の名建築をモチーフにした作品の数々です。
フランク・ロイド・ライトによる名建築・自由学園明日館や、
ポストモダン建築を代表するヤマトインターナショナル (設計:原広司) 、
いろんな意味でレガシーとなりそうな新国立競技場 (設計:隈研吾) など、
約80点の折り紙建築が展示されています。
また、日本の名建築だけでなく、
アメリカやヨーロッパの名建築の数々も。
海外旅行はもちろんのこと、
越県して東武ワールドスクウェアにも行きづらい今、
GALLERY A4で建築ツアー気分を味わってみるのはいかがでしょうか?
今展のために制作された世界の近現代建築を紹介する年表も見ごたえあり。
建築史の勉強もできてしまいますよ。
ちなみに。
どの折り紙建築にも感動と驚きがありましたが、
もっとも衝撃的だったのは、シンガポールにあるという、
ゴールデン・マイル・コンプレックス(通称:タイムライタービル) の折り紙建築です。
どれだけ眺めても、これが1枚の紙から出来ているとは思えず。。。
何をどうやったら、この形になるのか。
何がどうなったら、この発想が生まれるのか。
もはや本物の建築よりも、感動を覚えました。
なお、展覧会のラストでは、
実際に、折り紙建築が作れるコーナーがあります。
スタッフさんに 「良かったらぜひ」 と勧められましたが、
折り鶴すらまともに折れない不器用人間なため、丁重に辞退させて頂きました。
手先が器用な方は、是非チャレンジのほどを。