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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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イサム・ノグチ 発見の道

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現在、東京都美術館では、

“イサム・ノグチ 発見の道” が開催されています。

(注:緊急事態宣言の発令を受け、4月25日から臨時休室しています。再開時期は未定)

 

 

 

こちらは、20世紀を代表する彫刻家の一人で、

「地球を彫刻した男」 とも称されるイサム・ノグチの大規模な展覧会です。

イサム・ノグチの展覧会といえば、

2018年に東京オペラシティアートギャラリーで大規模な個展が、

さらに、その後、立て続けに川崎市岡本太郎美術館と横浜美術館で、

それぞれ岡本太郎と長谷川三郎との二人展が開催されました。

 

と、それだけに。

正直なところ、「またイサム・ノグチ展やるんだ。ふーん。」 くらいの感覚で、

今回の都美でのイサム・ノグチ展には、そこまでの期待をしてはいませんでした。

 

 

 

 

 

ところが!!

 

会場に足を一歩踏み入れた瞬間、

秒で関係各社の皆様に土下座をしたくなりました。

そこには、いい意味で予想を裏切る光景が広がっていたのです。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

 

 

なんと展示フロアをまるまる使って、

全体が一つのインスタレーションのように展示されていたのです。

イサム・ノグチの作品だからこそ活きる展示スタイル。

これまでのイサム・ノグチ展では、

当たり前のように、展示壁があって、

順番に作品が並べられていましたが。

(↑そして、それを当たり前に受け入れていましたが)

今回の都美での展示スタイルこそが、

間違いなく、イサム・ノグチ展の絶対解。

まさに 「コロンブスの卵」 でした。

星星星

 

 

中でも特に圧巻だったのが、イサム・ノグチの代表作の一つで、

岐阜提灯との出会いから誕生したという 《あかり》 を使ったインスタレーションです。

これまでのイサム・ノグチ展でも、 《あかり》 はもれなく紹介されていましたが。

今展では、150灯 (!) もの 《あかり》 を展示室の中央に大胆に配置。

 

 

 

その圧倒的な迫力だけでなく、

《あかり》 が明滅するさまも楽しむことができます。

また、これらの 《あかり》 の間を通り抜けることも可能となっています。

 

 

 

イサム・ノグチの 《あかり》、

下から見るか?横から見るか?

 

ちなみに。

 

 

 

《あかり》 の下に敷き詰められている砂利は、

香川県の牟礼にあるイサム・ノグチ庭園美術館から運んできたものなのだそう。

ということは、今、イサム・ノグチ庭園美術館は、

この分だけ、砂利が少なくなっているわけですね。

 

さてさて、もちろんイサム・ノグチ庭園美術館からは、砂利だけでなく、

晩年にイサム・ノグチが手掛けた大型の石彫群も運ばれてきています。

 

©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

 

 

それらが展示されているのは、

最後の展示フロア、第3章 「石の庭」 です。

何気なく展示されていましたが、

これらの作品は、普段は屋外にあるわけで。

その重みで展示室の床が抜けてしまわないかと、若干心配になりました。

(絶妙な計算で配置しているそうです)

 

 

ちなみに。

石の彫刻以外にも、ブロンズや陶など、

さまざまな素材で作品を制作していたイサム・ノグチ。

折り紙や切り紙からインスピレーションを得た作品も数多く制作しています。

 

©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

 

 

それらの中には、こんなカワイイ作品も。

 

 

 

その名もずばり、《リス》

たれぱんだやぐでたまのように、

ぐでぐでしている姿が、たまらなくキュートでした。

哲学的なその作風から、イサム・ノグチに対して、

なんとなく人間味のない人という印象を抱いていましたが、

この 《リス》 のおかげで、いい意味で彼の印象がガラッと変わりました。

 

なお、《リス》 をはじめ、イサム・ノグチの作品はどれも、

思わず手を触れてみたくなる見た目、質感をしています。

もちろん美術品なので、お手振れ厳禁ですが、

会場の一角に置かれていたイサム・ノグチデザインによる、

フリーフォームソファとフリーフォームオットマンは・・・・・

 

 

 

実際に座ることが可能となっていました。

その大きさに対して、背もたれは少なめ。

背もたれのある部分が取り合いとなること必至です。

 

 

 ┃会期:2021年4月24日(土)~8月29日(日) 

 ┃会場:東京都美術館
 ┃https://isamunoguchi.exhibit.jp/

 ┃※今後の状況により会期・開館時間等は変更する場合がございます。

 



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