緊急事態宣言が発令されているため、
現在、都内の美術館はほぼ休館を余儀なくされていますが。
ワタリウム美術館や日本民藝館といった、
数少ない私立美術館は、通常営業をしているようです。
日本橋にあるミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションも、そのうちの1つ。
予約制という形で、開館を続けています。
そんなミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションで、
この春開催されているのが、“南桂子生誕110年記念 「蝶の行方」展” という展覧会。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
夫である浜口陽三とともに国際的に活躍し、
今年生誕110年を迎える銅版画家・南桂子をフィーチャーした展覧会です。
フランス滞在中の初期の貴重な作品から、
南桂子ワールドを確立した全盛期の作品まで。
前後期で作品の入れ替えはありますが、
約50点の銅版画作品が紹介されています。
さらに、昨年の南桂子展では出展されていませんでしたが、
今年の南桂子展では、浜口陽三の作品も併せて出展されていました。
久しぶりの夫婦競演が楽しめます。
同じ銅版画家でありながら、作風の全く違う2人。
かといって、共通しているところが全然無いかといえば、そんなことはなく。
浜口夫婦の相性の良さが感じられる展覧会です。
なお、今回の展覧会では、南桂子の銅版画とともに、
南桂子が実際に身に付けてたアクセサリーの数々も展示されています。
しかも、かなりの量。
これだけのアクセサリーを持っていただなんて、
さぞかし、儲かっていらっしゃったのかと思いきや、
よく見ると、ダイヤモンドやパールといった高価な宝石はほとんど見当たりませんでした。
その代わりにあったのは、虫やら人の顔やら、奇妙なモチーフの数々。
こちらのネックレスにいたっては・・・・・
髑髏が数珠つなぎされていました。
ファンシーな印象の銅版画とは対照的に、
南桂子のアクセサリーのセンスは、パンクで独創的。
中でも一番衝撃だったのが、こちらのネックレスです。
宝石ではなく、その辺の石 (?) で作られたネックレス。
縄文時代か!
もし、デートの時に、女性がこのネックレスを付けてきたら、ドン引きは確実。
百年の恋も冷める気がします。
また、珍しい展示品といえば、
今展では、南桂子の油彩も展示されていました。
これらは、銅版画を始める前、
画家の森芳雄に習っていた頃の作品なのだそう。
特に右の 《ロータリー風景》 という作品は、
1953年の作品とは思えないくらいに現代的。
改めて、南桂子が若い頃から、
才能に溢れていたことを実感させられました。
ちなみに。
「蝶の行方」 と展覧会名にあるだけに、
蝶々をモチーフとした作品も数点出展されています。
それらの作品ももちろん良かったのですが、
個人的に今回一番惹かれたのは、こちらの一枚。
タイトルは、《網とかもめ》 とのこと。
・・・・・・かもめ、なのか??
そこはかとなく、つげ義春感が醸し出されていました。
そうそう。
昨年の南桂子展の記事の中で、
南桂子が描く少女は川口春奈に似ていると結論付けたのですが。
こちらの 《林と少女》 の少女は、川口春奈ではなく。
高畑充希似でした。
さらに、こちらの 《2人の少女と花》 の少女は・・・・・
工藤静香と長澤まさみ似でした。
一見すると、同じ顔のようですが、
少女の顔はそれぞれ微妙に違うようです。
最後に、5月16日に開催予定のオンラインイベントのお知らせを。
こういうご時世なので、展覧会は開催できても、
美術館でのワークショップは開催しづらいですよね。
そこで、ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、
オンラインでできるワークショップイベントを開催するようです。
まだ席は空いているとのこと。
気になる方は、是非参加してみてはいかがでしょうか?