現在、渋谷区立松濤美術館で開催されているのは、
“― リース・ミューズ7番地、アトリエからのドローイング、ドキュメント ―フランシス・ベーコン” という展覧会。
新型コロナ感染拡大防止という理由で、
ほぼ会期の大部分を休館せざるを得なかった・・・・・
神奈川県立近代美術館 葉山 (通称:葉山館) からの巡回展です。
(注:緊急事態宣言の発令を受け、4月25日から5月11日の予定で臨時休館しています。延長の可能性あり)
これはあくまで個人的な好みなのですが、
展覧会場として、ベーコンと相性が良かったのは、松濤美術館かと。
葉山館は、展示室が白く開放的で、
かつ目の前にオーシャンビューが広がっています。
その葉山館の爽やかさと、ベーコンの鬱々とした作風が、
良くも悪くも、打ち消し合って、プラマイゼロになっていたような (笑)。
それに比べて、松濤美術館の建物は、
爽やかさとは真逆で (←?)、重厚で内省的。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
ベーコンを飾るに、これほどしっくりくる展示室は他にないのでは?
展示室の雰囲気とベーコンの作品が、あまりにもマッチしていたので、
ここが、松濤美術館 (松濤2丁目14番地) なのか、
ベーコンのアトリエ (リース・ミューズ7番地) なのか、一瞬本気で悩んでしまったほど。
葉山館の展覧会を見逃してしまった方だけでなく、
葉山館の展覧会をすでに見た方にもオススメです。
ちなみに。
バリー・ジュール氏が所蔵するコレクションの中でも、
特一級のベーコン作品とされる 『Xアルバム』 ももちろん展示されていました。
葉山館と同様、表裏どちらも観られるようにディスプレイされています。
松濤美術館の静謐でどこか張り詰めた空気感と、
黒く武骨なその展示台から、思わず死刑台を連想してしまいました。
《Xアルバム9裏―叫ぶ教皇》 1950年代後半~60年代前半 油彩・コンテ・鉛筆・紙
叫ぶ教皇を描いたドローイングは、
もはや電気椅子に座らされているようにしか見えません。
耳をすませば、断末魔の悲鳴が聞こえてくるようです。
また、展覧会では他にも、
ベーコンの作と思われる初期の油彩画や、
ベーコンが思いつくままに、その表面に落書き・・・もとい、
ペインティングを施したと思われる肖像写真の数々も紹介されています。
もし、自分の肖像写真が、画家によって勝手に、
こんなグチャグチャな状態にされていたら、わりとショックかも。
こういうことをしでかしそうな芸術家には、
肖像写真を渡さないようにしたいと思います (←?)。
最後に、たいしたことではないのですが、
個人的にどうしても気になってしまったものを紹介させてください。
それは、こちらの 《フランシス・ベーコンの写真上のドローイング》 の・・・・・
《フランシス・ベーコンの写真上のドローイング》 1970~80年代頃 モノクロ写真掲載誌へのペイント
裏側の面に添えられたキャプションです。
そこには、こう書かれてありました。
ナチュラルに、 「でしょーね!!」 が飛び出しました。