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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ルーブル彫刻美術館

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かねてより気になっていた三重県のとある美術館に行ってきました。
近鉄 「榊原温泉口駅」 から徒歩5分の位置にありますが、今回は車で。
伊勢自動車道久居I.Cから約20分。
ナビに従って運転していると、次第に田舎道に。
その景色が10分くらいは続いたでしょうか。
 
“本当にこんなところに美術館があるのだろうか…??” 
 
と、さすがに不安になりましたが、
無事にお目当ての美術館に到着しました。
 
 
 
見た目は、廃れたパチンコ屋のようですが。
れっきとした美術館です。
その名も、ルーブル彫刻美術館。
 
 
 
“ルーブル美術館なのに、何で自由の女神??”
 
外観からして、ツッコミどころが満載です。
ということは、内部はもっといろいろあるはず。
これは心して構えねばなりません。
 
 
 
入館料は、一般1500円。
受付を済まし、中に入ると、まず出迎えてくれたのは・・・・・
 
 
 
ツタンカーメンの黄金マスクでした。
・・・・・・って、あれ?ルーブル美術館の所蔵品でしたっけ?
確か、カイロのエジプト考古博物館の所蔵だったはず。
 
戸惑いながら先に進むと、今度は、
外にあったのとは違って実寸サイズの 《サモトラケのニケ》 がありました。
 
 
 
いや、そんなことより!
背後の巨大な千手観音が気になって、
《サモトラケのニケ》 が全然頭に入ってきません。
~からの 《ミロのヴィーナス》
 
 
 
~からの彫刻群。
 
 
 
もちろんすべて本物・・・・・のわけはありません。
と、ここまでのカオスな光景を目にして、
「なんだただのB級美術館か」 と思われた方も少なくないことでしょう。
しかし、驚くなかれ。
実は、このルーブル彫刻美術館は、
あのルーヴル美術館の正式な姉妹館なのです。
ルーヴル美術館の分館といえば、
2012年にランスにオープンしたランス別館や、
2017年にアラヴ首長国連邦に誕生したルーヴル・アブダビがありますが。
それよりずっと遡って、1987年に開館したのが、このルーブル彫刻美術館です。
 
“いやいや、そんなバカな!!” と信じられないかもしれませんが。
館内にはちゃんと当時のフランス博物館協会会長、
ピエール・コニャムがオープンセレモニーに列席した際の写真が飾られています。
 
 
 
これらの写真が確たる証拠。
ルーヴル美術館が公認しているのは、
どうやら疑いのない事実であるようです。
 
では、なぜ三重県の山奥 (?) に、
ルーヴル美術館の姉妹館が開館することになったのでしょうか。
そこには、こんな経緯がありました。
 
真言宗の大僧正であった竹川勇次郎氏は、
ルーヴル美術館を訪れた際に、特に 《ミロのヴィーナス》 に大きな感銘を受けます。
当時は1ドル360円の時代。
気軽に海外旅行には行けませんでした。
《ミロのヴィーナス》 を含め、
 ルーヴル美術館の彫刻作品を日本でも公開したい!」
そう考えた竹川氏は、ルーヴル美術館に、
彫刻作品の型を直接取らせてほしい、と交渉します。
それに対し、ルーヴル美術館からの返答は、
「実物から型を取るなんてとても無理!」 というものでした。
しかし、諦めがつかなかった竹川氏は、
「そこを何とか!」 と何度もフランスに渡って直談判。
そして、交渉すること10数回目にして、
ルーヴル美術館は熱意に押される形で、ついに許可を与えました。
かくして、ルーヴル美術館の当時の美術部長指揮のもと、
彫刻作品から直接型を取り、精巧なレプリカが作られることとなったのです。
その数、実に約1300点。
 
さらに、その後、ルーヴル美術館を通じて、
エジプト考古博物館や大英博物館、メトロポリタン美術館など、
世界の名だたる美術館博物館の複製を作ることも許可されたのだとか。
現在では、ルーブル彫刻美術館には、約3500点の作品が所蔵されているそうです。
 
 
B級どころか、超A級。
それが、ルーブル彫刻美術館。
 
ちなみに。
館内には、“熱意の人” 竹川勇次郎氏が、
当時のルーヴル美術館ユベール・ランデ館長と握手をしている写真も飾られていました。
 
 
 
・・・・・・・・・・なぜ、目を合わせないし。
 
 
ユベール・ランデ館長との2ショットはもう1枚。
 
 
 
こちらでも、竹川氏はテンション低め。
一体何があったのか気になるところです。
 
 
と、ルーブル彫刻美術館のあらましをお伝えしたところで、
残念ながら、ブログの紙面がいっぱいになってしまいました。
というわけで、続きはまた明日!




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