現在、練馬区立美術館で開催されているのは、
“8つの意表~絵を描く、絵に描く、画家たちのキセキ~” という展覧会です。
「意表をつく」 という言葉には、
“相手の予期しないことをする” という意味だけでなく、
実は、“意 (=こころ) をあらわす” という意味もあるのだそう。
そんな 『意表』 をキーワードに選ばれた、
練馬にゆかりの深い作家の作品を紹介するコレクション展です。
なお、サブタイトルにあるGReeeeN風味の (?) 『キセキ』 には、
出展作家たちが近現代美術にユニークなキセキ [軌跡] を残した、という意味と、
激動の時代の中でいかにキセキ [奇跡] を成してきたか、という意味のダブルミーニングだとか。
ちなみに、紹介されている作家は、
“8つの” とあることからも想像がつくように、全部で8人です。
その中には、“日本のダリ” と呼ばれた古沢岩美や、
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
100歳を超えても現役バリバリで活躍する野見山暁治さん、
さらに、“世界のYAYOIちゃん” こと草間彌生さんも含まれています。
・・・・・・・って、あれ?
草間彌生さんって、練馬にゆかりがありましたっけ??
キャプションを2周くらい読みましたが、
その辺りについては言及されておらず。
というか、それぞれの作家に対してのキャプションも、このペライチのみ。
あとは、ただ作品が並べられているだけ。
それも、時系列というわけではなく。
展覧会説明文にあった軌跡やら奇跡とやらは、
結局のところ、具体的にはよくわかりませんでした。。。
さすがに詐欺とまでは言いませんが。
「お金が溜まる方法を教えます!」 と煽られて、
いざその答えを聴いたら、「お金を使わないことです」 と言われたような気分。
いや、「教えるとか言いましたっけ?」 とハシゴを外されたような気分。
そういう意味では、まさに意表を突かれた感じでした。
ただ、展覧会のフォーマットはともかくも、作品自体に罪は無し。
気になる作家、作品との出会いも多々ありました。
個人的に強く印象に残っているのは、大沢昌助。
今日の東京藝術大学建築科を立ち上げた建築家・大沢三之助を父に持つ人物です。
明らかにピカソ風の作品もあれば、
なんとなくパウル・クレー風の作品も。
さらには、モンドリアン風 (?) や、
ベルナール・ビュフェ風 (?) の作品もありました。
いい意味で、どれもそれっぽく見え、
いい意味で、同一の作家の作品群とは思えません。
いい意味で、モノマネの名人芸を見ているかのようでした。
くどいようですが、いい意味で。
それと、もう一人、中村宏さんの作品群も強く印象に残りました。
中村さんといえば、1950年代に発生した、
ルポルタージュ絵画 (社会的事件を題材にした絵画) の代表的作家として知られていますが。
今展では、1970年代や90年代の作品も紹介されています。
初めてまとまった形で、この時代の中村さんの作品を目にしましたが、
どの作品も、今から30~50年前のものとは思えないほどにクールな印象でした。
『ノイタミナ』 のアニメを彷彿とさせる感じといいましょうか。
サカナクションのPVを彷彿とさせる感じといいましょうか。
現代的でスタイリッシュな作風です。
意表を突かれました。