こちらは、幼少期の僕に、とんでもないトラウマを植え付けた曲。
NHKのみんなのうたで放映されていた 『メトロポリタン美術館』 です。
「大好きな絵の中に とじこめられた~♪」 というバッドエンディングのこの曲のせいで、
“美術館=怖い場所” というイメージが植え付けられてしまい、大人になるまで美術館に行けませんでした (笑)
そんな僕が、今では、アートテラーを名乗って美術に携わり、
東京都美術館での “メトロポリタン美術館展 大地、海、空4000年の美への旅” の開催を、
心から楽しみにしていたのですから、人間とはわからないものです。
さてさて、先日、そのメトロポリタン美術館展に、早速足を運んできました。
まだ始まったばかり&平日の夕方ということもあって、
覚悟していたよりも、遥かに空いていたのには、多少肩すかしを喰らいましたが。
(前回の “マウリッツハイス美術館展” ほど混雑していません)
ミレーの 《麦穂の山:秋》 や、
アンリ・ルソーの 《ピエーヴル川の堤、ビセートル付近》 などの絵画作品から、
アルフレッド・スティーグリッツの 《切妻とリンゴ》 といった写真作品、
《ライオンの頭の兜》 のような考古作品まで、
メトロポリタン美術館の17学芸部門のうち、実に12部門から、
『自然』 というキーワードで選ばれた133点の美術品が紹介されており、高い満足感を得ることが出来ました。
・・・・・が。
今年の芸術の秋の注目度を2分する美術展 “リヒテンシュタイン展” と比べてしまうと、
満足度は、やや劣るかというのが、僕の率直な感想です。
リヒテンシュタイン展は、美術展全体として満足度が高い感じで、
メトロポリタン美術館展は、個々の作品は素晴らしいものの、全体的にはボンヤリしている感じ。
『自然』 という幅の広いテーマが設けられたことで、
集められた作品それぞれの結びつきが感じられず、漠然とした印象でした。
むしろ、テーマなんか設けずに、メトロポリタン美術館展の作品を紹介した方が、
人物画や抽象画なども展示出来て、よりメトロポリタン美術館のコレクションの魅力が伝わったのでは?
ともあれ、リヒテンシュタイン展は、誰か他の人に感動を伝えたくなる美術展で、
メトロポリタン美術館は、自分の中で満足して終わりという美術展だった気がします。
満足することには変わりはないのですが…。
さてさて、133点の展示品の中で、ひときわ印象に残っているのは、
やはり今回が日本初公開となるゴッホの傑作 《糸杉》
この絵に渦巻いているパワーは、それはそれは強烈で。
絵をじっと見ていることが出来なかったほどです (こんな観賞体験は初めて…)
絵のあちらこちらから絶えずパワーが噴出しているかのようで、
その都度、あちらに目を動かしたり、こちらに目を動かしたり、とにかく目線が定まりませんでした。
僕以外にも、そういう方は何人もいらっしゃったようで、
《糸杉》 を観賞中のお客さんを、さりげな~く観察すると、皆、激しく眼球を移動させていました (笑)
そういう意味でも、この作品は、一度観賞してみる価値あり!
先日紹介したゴッホ展に展示されていたすべてのゴッホの作品が束になっても、
この 《糸杉》 には、敵わない気がします。
それくらいにスゴい逸品。
あまりにも 《糸杉》 が強烈過ぎて、他の作品が霞んでしまった気もしますが (笑)
その他に印象に残っている作品を、いくつかご紹介して参りましょう。
まず、個人的に一番好きだったのは、ホッパーの 《トゥーライツの灯台》
こちらは、 《糸杉》 とは反対に、
一目見た瞬間に、スーッと絵の世界に入ってしまい、目が絵から離せなくなってしまいました。
まさに、 「大好きな絵の中に とじこめられた~♪」 状態です (笑)
その隣に展示されていたのが、ジョージア・オキーフの 《骨盤Ⅱ》
骨盤の骨ごしに、大空を見上げる…って、なかなか無い光景ですよね。
おそらく、この絵に出会わなければ、一生縁のなかった光景だと思います。
続いて、メソポタミア文明の 《カエルの分銅》
特に語ることはないです。
単純に、カワイイ一品。
《カエルの分銅》 を筆頭に、今回の美術展は、文明系 (?) の作品に見どころが多かったような。
さすがに、コレクションの層が厚いメトロポリタン美術館だけあります。
その中で一番心を奪われたのが、こちら↓
エジプト文明の 《実った大麦のレリーフ》 です。
シンプルながら大麦が実った様子が、きちんと表現されていて、その素朴な表現にグッと来ました。
また、こちらもある意味心を奪われました↓
ギリシャのミュケナイ文明より出土した 《蛸のあぶみ壺》 です。
何故に、蛸がタツノコプロ風 (笑) ??
最後に、工芸品の部門から、ベルナール・バリッシーの 《水の生物の大皿》 を。
「何で、こんなにリアルに作った (怒) ?!」
僕の中での 『食欲の失せるお皿No.1』 に決定いたしました。
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メトロポリタン美術館展 大地、海、空4000年の美への旅
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