本日6月30日に、正式に、
拙著 『名画たちのホンネ』 が発売されました。
アートテラー人生の集大成といいましょうか、
代表作というべき一冊になったと自負しています。
今回こそはマジで売れて欲しいっ!
アートを広めるアートテラーであって、
普段はほとんど自分自身をアピールすることはないのですが。
この本に限っては、全力でアピールさせてください。
自分で言うのもなんですが、面白い本になったと思います。
しかも、最初から最後まで、全部面白くなったかと。
ホンネを言ってしまうと、これまで出版した本も、
それから、担当した連載も、後で読み返してみると、
まぁまぁ面白いくらいのパートや回があるものです (苦笑)
「まぁ、これくらいの笑いでもいっか」 と妥協してしまった感は否めません。
アフターコロナによって、次のチャンスがあるとは限らないと痛感させられた今回は、
集大成を作るつもりで挑んだので、絶対に1か所も妥協しないと、心に決めていました。
その目標のせいで、執筆期間には、
何度も生みの苦しみを味わうことになるのですが、
その苦労を乗り越えただけあって、それだけのモノが出来上がりました。
さて、この本は全部で3章で構成されています。
まず1章は、西洋美術パート。
ボッティチェリの 《ヴィーナスの誕生》 から、バンクシーの 《風船と少女》 まで。
西洋美術史に残る30点の名品を取り上げています。
2章は、「日本絵画のホンネ」。
狩野永徳の 《唐獅子図屏風》 や黒田清輝の 《湖畔》 など、
誰もが知っている日本の有名な絵画の数々を紹介しています。
そして、3章では、《ミロのヴィーナス》 を筆頭に、
《三日月宗近》、デュシャンの 《泉》 といった立体作品を取り上げました。
どの回も本当にオススメなのですが、
本日は、特に個人的に思い入れの強いトップ5をご紹介いたしましょう。
その1 フラゴナール 《ぶらんこ》
~夫も愛人も皆仲良くすればいいのに?~
この回を執筆していた頃は、
ちょうど 『鬼滅の刃』 にドはまりしていました。
それゆえに、ぶらんこに乗ってふわふわ宙を舞う彼女が、
だんだんと、蟲柱・胡蝶しのぶのように思えてきたのです。
なので、全編にわたって、胡蝶しのぶの名台詞をしのばせてみました。
その2 ムンク 《叫び》
~橋の中心で、主張を叫ぶ~
僕の世代で叫ぶといったら、
やはり 『学校へ行こう!』 の人気コーナー 「未成年の主張」 だろうと。
そんな安易な思い付きで書き進めたところ、
途中から、その設定が想いもしない方向に進んでいき、
そして、最終的には巧い具合にオチにまで繋がって。
自分が書いたというよりは、
何かに書かされたかのような不思議な感覚がありました。
その3 雪舟 《秋冬山水図 秋》
~色彩を持たない山水図と、彼の留学の話~
設定を考えるのに、だいぶ頭を悩ませました。
数日悩んでようやく出てきたのが、
ハードボイルド小説の文体にしてみるというアイディア。
で、最終的には、村上春樹風に落ち着きました。
サブタイトルが特にお気に入り。
その4 俵屋宗達 《風神雷神図屛風》
~好感度No.1(?)の神々~
風神と雷神に漫才させようというのは、
最初から何となく頭に浮かんでいました。
しかし、風神雷神の漫才ネタは、
実は、過去に1度やってしまっているんですよね・・・。
その焼き直しでもいいかとも思ったのですが。
それでは、妥協になってしまいます。
うーん。何かもう1捻りないものか。
がたいがイイ風神と雷神の姿を、
しばらく眺めていて、パッと思いつきました。
「あっ、サンドイッチマンだ!」
そこからサンドイッチマンの漫才ネタを研究しまくって、
サンドイッチマン風の風神雷神漫才を完成させました。
その5 ロダン 《考える人》
~考えすぎちゃう人~
《考える人》 が考えていそうなことを考える、というのは、
大喜利ではベタなお題なので、わりといろいろと思い付きました。
逆に、いろいろ設定が浮かんでしまって、
それをどうにかと活かせないかと考えた末に生まれたのが、
自分のキャラ設定を考えすぎちゃう 《考える人》 でした。
変化球みたいな回でお気に入りです。
他にもまだまだオススメの回はあるのですが、
全てを挙げていたら、キリがないのでこの辺で。
もし皆様のお気に入りがあったら、教えて頂けると嬉しいです。