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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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アイヌの装いとハレの日の着物

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2020年7月。

北海道白老町に、国立アイヌ民族博物館が開館しました。

そのオープン1周年を記念して、現在、渋谷区立松濤美術館では、

“アイヌの装いとハレの日の着物―国立アイヌ民族博物館の開館によせて が開催されています。

 

 

 

・・・・・なぜ、渋谷で??

という疑問は、ひとまず置いておきまして。

こちらは、アイヌ文化の中でも、

特にファッションにスポットを当てた展覧会です。

 

展覧会は、2章仕立て。

まず第1章では、「アイヌの装い」 と題し、

さまざまなアイヌの服装が紹介されていました。

 

 

 

パッと見は、涼しげな印象で、

生地の素材は、麻のように見えましたが。

 

《樹皮衣(アットゥシ)》 19世紀 東京国立博物館蔵

 

 

実は、オヒョウなどの樹皮から繊維を取り出し、

それを撚り合わせた糸から作られているのだそうです。

その名も、樹皮衣。

アイヌ語では、「アットゥㇱ」 と呼ばれているのだとか。

なお、「シ」 は小文字 (?) の 「シ」 です。

本展は、国立アイヌ民族博物館の特別協力のもと、

アイヌ語の表記が日本語のネームに併記されています。

 

 

 

 

・・・・・和人の僕は、どのように発音していいか見当もつきませんでしたが。

と、話をアイヌのファッションに戻しまして。

樹皮衣や草皮衣だけでなく、木綿製のものもあるそうですが、

どの服装にも共通しているのが、全面に施されたアイヌ紋様です。

 

 

 

切伏 (きりぶせ) や刺繍によって、

アイヌ文様は形作られています。

切伏とは、布をテープ状に切り、

それをアップリケのように縫い付けたものです。

 

 

 

特にコレという決まった形はないそうですが、

基本的には、左右対称になっているのだとか

それと、魔除けのため、角の部分を尖らせているものが多いそうです。

 

目を惹かれた衣装は多々ありましたが、

特に印象に残っているのが、こちらの木綿衣 (ルウンペ) です。

 

《木綿衣(ルウンペ)》(複製作品) 山崎シマ子作 国立アイヌ民族博物館蔵

 

 

カラーリングといい、その配置といい。

おばあちゃん家の入口にあった、

たわしみたいなマットを、なんとなく思い出してしまいました。

 

なんとなく、といえば、

こちらの木綿衣 (チウカウカプ) も。

 

《木綿衣(チウカプカプ)》 19世紀 東京国立博物館蔵

 

 

カラーリングといい、切伏の雰囲気といい。

レトルトの銀座カリーのパッケージを、なんとなく思い出してしまいました。

 

 

さてさて。

続く第2章では、さらに深掘りして、

ハレの日のアイヌの衣装が紹介されています。

 

 

 

ハレの日用の衣装だけあって、

アイヌ文様は、より華やかなものに。

使われている素材も絹や更紗、日本の小袖の一部など多彩です。

 

《色裂置紋木綿衣(ルウンペ)》 20世紀 早稲田大学會津八一記念博物館蔵

 

《色裂置紋木綿衣(ルウンペ)》(部分) 20世紀 早稲田大学會津八一記念博物館蔵

 

 

なお、ハレの日の衣装として紹介されていた中で、

もっとも印象に残っているのが、こちらの木綿衣 (ルウンペ)。

 

《色裂置紋木綿衣(ルウンペ)》 20世紀 早稲田大学會津八一記念博物館蔵

 

 

赤、青、白の3色の対比が実に力強いです。

マーベルコミックのヒーローのコスチュームのような印象を受けました。

キャプテンアイヌとかなんとか。

 

 

この展覧会を通じて、アイヌの服飾文化について、いろいろ学ぶことができました。

というか、この展覧会を訪れなかったら、

おそらく一生、アイヌの服飾文化に触れることはなかったでしょう。

非常に興味深かったので、今ではすっかり、

服飾文化以外のアイヌの文化も知りたくなっています。

世の中が落ち着いたら、国立アイヌ民族博物館にも行かねば。

星

 

 

ちなみに。

最後の最後まで、北海道やアイヌと、

渋谷区立松濤美術館の関係性が謎でしたが。

何気なく、ロゴをじーっと観ていたら・・・・・

 

だんだんと、切伏のアイヌ文様のようにも思えてきました。

関係性がまったく無いわけでないのかもしれません。

 

 

 

 

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