今年2021年は、絵本 『11ぴきのねこ』 シリーズの作者、
馬場のぼる (1927~2001) の没後20年となる節目の年です。
それを記念して、馬場が亡くなるまでの約50年間居住した練馬区の練馬区立美術館では、
現在、“没後20年 まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!” が開催されています。
まず最初の展示室で紹介されていたのは・・・
もちろん代表作の 『11ぴきのねこ』 シリーズです。
ファン垂涎!
その貴重な原画の数々が、
惜しげもなく、展示されています。
『11ぴきのねこ』 の原画を初めて目にしてみて、
特に驚かされたのが、そのカラーリングのセンスです。
今から4,50年の前の絵本とは思えないビビッドな色合い。
『アドベンチャー・タイム』 を彷彿とさせるような、
アメリカのカートゥーンを思わせるカラーセンスです。
ちなみに、これらの原画は、
多色刷りのリトグラフで制作されているのだそう。
つまり1色につき、1版必要となります。
あのほのぼのとした絵の裏には、
こんな大変な作業が隠されていたのですね。
続いての展示室の冒頭では、馬場のぼるが、
その生涯で描き続けた膨大なスケッチが紹介されていました。
さらに、子ども時代や学生時代に描いた絵の数々も。
その中で思わず二度見してしまったのが、紙風船を描いたこちらの1枚。
なんと小学5年生の時に描いたものだそうです。
「あなたは小学5年生より絵が巧いの?」
この画力には、まったく太刀打ちできる気がしません。
そんな幼き時から絵の才能をいかんなく発揮していた馬場のぼる。
その学生時代のノートも展示されていましたが、
レタリングやイラストが多用されており、
およそ授業用のノートとは思えないクオリティ。
進研ゼミのテキストかと思いました。
さてさて。
『11ぴきのねこ』 シリーズの印象が強すぎて、
「馬場のぼる=絵本作家」 と思い込んでいましたが。
実は、もともとは漫画家だったそうです。
当時は、手塚治虫や福井英一と並んで、
「児童漫画界の三羽ガラス」 と呼ばれるほどの人気ぶりだったそう。
“まるごと馬場のぼる展” と題された今展だけに、
会場では、そんな馬場の漫画の原画も数多く紹介されていました。
ちなみに、馬場と手塚治虫は無二の親友だったそうで、
手塚治虫の漫画には、馬場をモデルにしたキャラクターが多数登場していているとのこと。
手塚治虫が亡くなった時、葬儀で弔辞を読んだのも馬場だったそうです。
そんな2人の関係性があったからこそ生まれた絵も展示されていました。
鉄腕アトムと11ぴきのねこの夢のコラボです。
左の絵では、ねこが徐々にアトムに変わっていってます
ユーモアセンスに溢れていますしほっこりとする絵柄ではあるのですが。
よくよく冷静に観てみると、アトムの2、3体前のネコは、なかなか気持ち悪かったです (笑)
文明堂のCMのみたい。