むか~しむかし、あるところで、
それはそれは、た~くさんのお伽草紙の絵を集めた美術展が開催されましたとさ。
・・・と、後世で語り継がれるかもしれない美術展が、サントリー美術館で開催されています。
その名も、 “お伽草子 この国は物語にあふれている” 。
会期は、来週の11月4日までだそうな。
展示されているのは、 《浦嶋明神縁起絵巻》(『浦島太郎』 のもととなったお話) のように、
メジャーな (?) お伽草紙の物語が描かれているものから、
人間のお姫様と結婚した鼠を主人公とした 《鼠草子絵巻》 のように、
マイナーな (?) お伽草紙の物語が描かれているものまで。
日本全国津々浦々から、集めに集めたお伽草紙作品が、会場を賑わせていました。
『この国は物語にあふれている』 というサブタイトルを、実感させられる美術展だったと言えましょう。
また、ただ集めたお伽草紙作品を、並べるだけの美術展ではなく。
お伽草紙の物語の背景に隠された当時の社会状況を浮き彫りにしてみせるなど、
知的好奇心も十分に満たす内容になっていましたし。
そういう難しいことは脇に置いておいても、
キャプションが巻物風になっていたり、百鬼夜行の影絵があったり、
と、ワクワク感を演出する仕掛けが、たくさんありました。
そういう意味で、 『この美術展自体も物語にあふれている』 と言えましょう。
さてさて、1つだけ、この素敵な美術展にクレームをつけるとするならば。
本当に、たくさんのお伽草紙作品が展示されているので、観賞時間が1時間では、全然足りないということ (笑)
最低でも、2時間くらいは欲しいところです。
楽しい作品ばかりだったので、すべてをじっくりと楽しんでいたら、3時間以上は欲しいところです。
このブログでも、あれもこれも紹介したいのですが、
紙面の関係上、泣く泣く絞って、オススメ作品を紹介していきたいと思います。
まずは、ちょっぴりドジっ娘な姫君が主人公の 《掃墨物語絵巻》
急に男性が、家にやってくることになって、大慌てで化粧をする姫君。
ところが・・・
眉墨を白粉と間違えて、顔に塗ってしまった姫君 (←シャネルズ!)
男性はビックリして、逃げて行ってしまうは、
母親には、鬼と勘違いされてしまうは、ドタバタな展開が待ち受けていました。
ちなみに、ラストは、いきなり姫君は出家してしまいます。
何てシュールな展開なんだ・・・。
続いて、南北朝時代のとある芸人を主人公にした 《福富草紙》
ひょんなことから妙音のおならを鳴らすという芸を会得した秀武という男がおりました。
(↑妙音のおならって何だよw)
彼は、ある日、中将の家に招かれます。
そこで、そのおなら芸を披露したところ、
バカウケし、褒美をたくさん貰い、お金持ちになりました。
それを羨んだ隣人の福富さんは、秀武に放屁芸を習います。
秀武に、さりげなく下剤を飲まされたことに気づかずに福富さんは、中将の家へ。
そして、満を持して、おなら芸を披露するのですが、下剤を飲まされていたために・・・
って、この後の展開は、お下劣なので自粛しますw
物語の内容よりも、絵として印象に残っているのが、 《是害坊絵巻》
“是害坊” とは、唐の天狗なのですが。
泉屋博古館が所蔵する 《是害坊絵巻》 に登場する是害坊は、天狗というよりも・・・
鳥人です。
中国と日本の文化の違いは、こんなところにも。
また、お伽草紙は、その性格ゆえ、
基本的に、絵としては、ゆるいものが多かったのですが (ヘタクソすぎるのも多数!)
美術品としても十分に素晴らしかったのは、狩野元信の手による 《酒伝童子絵巻》 でした。
色彩の鮮やかさも、酒呑童子vs武士の手に汗握るバトルの迫力も、申し分ない逸品です。
ただ、若干気になったのは、首を切り落とされたのち、
酒呑童子は源頼光に噛み付いているのですが、その噛み方が、なぜか甘噛みっぽいこと (笑)
ちょっとカワイイです。
最後に紹介したいのは、 《ささやき竹物語》
とある、とってもエラ~いお坊さんが、
美しい娘に一目惚れしてしまい、なんとか自分のものにしたいと考えたそうな。
そこで、そのお坊さんが考え抜いた末に取った行動が、コチラ↓
長い竹筒を使って、寝ている娘の両親の耳元へ、
「娘を毘沙門堂に預けよ。」 と、天の声風にささやいたのです。
おバカですね (笑)
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お伽草子 この国は物語にあふれている
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