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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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大林コレクション展

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『倉庫を開放、普段見られないアートを覗き見する』

 

そんな唯一無二のユニークなコンセプトを掲げるWHAT MUSEUM。

美術品の保管に定評のある寺田倉庫に預けられた、

作家やコレクターの美術コレクションを広く一般に開放し、

多くの人に観てもらおうと、昨年末天王洲に誕生したミュージアムです。

 

そんなWHAT MUSEUMの全フロアを使って、

現在開催されているのが、“大林コレクション展” という展覧会です。

 

 

 

今展の主役は、こちらの人物↓

 

 

 

大林組代表取締役会長・大林剛郎さんです。

あいちトリエンナーレ改め、国際芸術祭「あいち2022」。

その組織委員会会長を務めることで、アート界注目の人物です。

ちなみに、こちらの肖像画は、佐藤充さんによって描かれた最新作。

だいぶ顔色悪く描かれていますが、

本人はいたって血色が良いので、どうぞご安心のほどを (←?)。

 

さてさて、そんな大林さんが長年かけて、

築き上げた一大コレクションを初公開する今回の “大林コレクション展”。

全部で3つの展覧会によって構成されています。

 

1つ目は、「Self-History」

大林さんが蒐集した約850点の現代アート作品の中から、

その中核をなすアート作品を中心に紹介する展覧会です。

 

 

 

出展作家は、約40人。

ドナルド・ジャッドや吉原治良といった物故作家もあれば、

杉本博司さん、村上隆さん、ダニエル・ビュランといった現代美術界の大御所の作品も。

さらに、五木田智央さん、ミヒャエル・ボレマンスといった・・・・・

 

 

 

近年人気急上昇中のアーティストの作品もありました。

大林さん自身は特に、コンセプチュアルな作品がお好きな様子。

会場の一角には、コンセプチュアル・アートだけで構成された空間もありました。

 

 

 

個人的にもっとも印象に残ったコンセプチュアル・アートは、

ライアン・ガンダーの 《The danger in visualising your own end》 という作品。

 

 

 

ネオン管で作られた文字らしきものが、

無残にも、バラバラに壊されてしまっています。

その壊す作業にはライアンだけでなく、大林さんも参加したのだそう。

 

 

 

かけら一つ一つも、作品の一部とのことで、

これらも含めて、きちんと梱包され、運ばれてきたのだとか。

壊すのは一瞬の出来事で、簡単なことですが、

二度と元に戻ることなく、大きな支障をきたし続ける。

それは、人間の心も同じなのでしょう。

ライアンが伝えたいコンセプトとは違うかもしれませんが、深い作品でした。

 

ちなみに。

こちらの展示室には、意外なアーティストの作品も。

大林さんがまだ現代美術のコレクションを、

積極的に始める前に購入したという立体作品です。

 

 

 

作者は、ヤマガタヒロミチさん。

 

 

 

ヤマガタヒロミチという名前にピンときませんでしたが。

どうやら、あのヒロ・ヤマガタさんのことだそうです。

ラッセンと合わせて、バブル期に版画作品がたくさん出回ったでお馴染み (?) の。

こうしたブロンズの立体作品も作っていたのですね。

おかげさまで、意外な一面を知ることができました。

 

 

さてさて、2つ目の展覧会は、「安藤忠雄 描く」

 

 

 

今でこそ現代アートに軸足が置かれている大林コレクションですが、

その出発は、大林一族らしく、建築家のスケッチやドローイングを蒐集していたそうです。

中でも個人的にも交流の深いという安藤忠雄さんのものは、特に充実しているのだとか。

展覧会では、安藤さんの出世作 「住吉の長屋」 のアイディアスケッチや、

 

 

 

2000年の上海ビエンナーレで制作され、話題となった、

長さ10m (!) の 《ベネッセハウス-直島コンテンポラリーアートミュージアム》 のドローイングも。

 

 

 

元ボクサーで、闘う建築家というイメージが強いため、

スケッチやドローイングもすべて殴り書きなのかと思いきや。

 

 

 

どこか白井晟一を彷彿とさせる内向的で、

哲学性をたたえたドローイングも数多くありました。

ヒロ・ヤマガタさんに引き続き、

安藤忠雄さんの意外な一面を知ることができました。

 

 

さてさて、最後に訪れたのは、「都市と私のあいだ」

「Self-History」 と 「安藤忠雄 描く」 の2つを繋ぐ展覧会です。

 

 

 

こちらの展覧会で紹介されているのは、

国内外9名のアーティストによる14点の写真作品。

すべての作品に共通しているのは、建築が被写体であること。

 

 

 

工事現場や室内などスケールこそ違えど、

野口里佳さんや畠山直哉さん、アンドレアス・グルスキーといった、

世界的に活躍する面々が、それぞれの眼で捉えた 「建築」 の写真が紹介されていました。

それらの中には、トーマス・デマンドによる 《Museum H 64》 という作品も。

 

 

 

こちらは、妹島和世さんの事務所にて、

彼女が設計したすみだ北斎美術館の建築模型を撮影したもの。

会場には、そのすみだ北斎美術館の建築模型も併せて展示されていました。

さすが、元・建築倉庫ミュージアム (現・WHAT MUSEUM)。

 

 

建築家のドローイングやデッサンを集めるようになり、

建築をモチーフにした現代アート作品に関心を持つようになり、

そして、現代アートを中心にコレクションする今に至る。

一人の男性の “コレクターヒストリー” が浮かび上がるような構成の展覧会でした。

星星

 

 

 

 

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