■MINAMATA―ミナマタ―
監督:アンドリュー・レビタス
出演:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波
2020年製作/115分/G/アメリカ
1971年、ニューヨーク。
かつてアメリカを代表する写真家と称えられたユージン・スミスは現在、酒に溺れる日々を送っていた。
そんなある日、アイリーンと名乗る女性から、
熊本県水俣市のチッソ工場が海に流す有害物質により苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。
そこで彼が見たのは、水銀に冒され歩くことも話すこともできない子どもたちの姿や、
激化する抗議運動、そしてそれを力で押さえ込もうとする工場側という信じられない光景だった。
衝撃を受けながらも冷静にカメラを向け続けるユージンだが、やがて自らも危険にさらされてしまう。
追い詰められた彼は水俣病と共に生きる人々に、あることを提案。
ユージンが撮影した写真は、彼自身の人生と世界を変えることになる。
(映画.comより)
「まず率直に、映画として素直に面白かったです!
一切、退屈なシーンがなく、
2時間があっという間に感じられました。
個人的にジョニー・デップが好きなので、
ジョニデがユージン・スミスを演じているというだけでも、胸アツでしたが。
日本人キャストも、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信と超豪華。
日本を舞台にしたお話だけに、日本語でのセリフも多く、
洋画というよりは、NHKのドラマにジョニデも出演しているような印象を受けました。
特に印象的だったのは、ジョニデ演じるユージン・スミスに対し、
國村隼さん演じるチッソ工場社長が、この件から手を引くよう取引を持ち掛けるシーン。
國村さんの悪役がハマりすぎていて、
『パイレーツ・オブ・カリビアン』 のキャプテン・バルボッサに見えてきました。
実際のユージン・スミスが、そうだったのかはわかりませんが。
個人的には、『ギャラクシー・クエスト』 や、
國村隼さんも出演していた三谷幸喜ドラマ 『合言葉は勇気』 のように、
かつて活躍していた人が落ちぶれたのちに再起する展開の物語が好きなので。
今作はまさにどストライクでした!
人を失望させる男だと自ら称し、たびたびダメ人間と化しては、
とろサーモンの久保田さんにしか見えなくなるジョニデ演じるユージン・スミス。
そんな彼が、写真史に残る傑作 《入浴する智子と母》 を、
生み出した瞬間は、思わず涙と鳥肌が同時に出ました (´;ω;`)ブワッ
映画化するにあたり、脚色している部分はそこそこあるようです。
映画としては本当に面白く、一個人としては楽しめましたが。
真実を伝えることに人生を賭けたユージン・スミスが、
もし、この映画を観たらどう思うのだろうか、というのは若干気になりました。
水俣病。
小学校の社会の授業で習いましたが、その限りでした。
この映画を通じて、今さらながら、その一端を知ることができました。
そして、アメリカから来た写真家の写真が、
水俣病に対する世論を変えたということも知れました。
もし、この映画に出会わなかったら、
きっと水俣病について知らないまま人生を終えていたことでしょう。
そういう意味では、本当、この映画には感謝しかありません。
1970年代に、世の中の人が水俣病に関心を持ったのは、
ユージン・スミスという一人のアメリカ人の写真がきっかけでした。
そして、現在、このアメリカで作られた映画によって、水俣病に再び注目が集まっています。
いや、日本のジャーナリストも頑張れよ。
(星4.5つ)」
~映画に登場する写真集~
『水俣』