Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?

$
0
0

現在、ポーラ美術館では大型企画展として開館以来初となる現代アーティスト展、

“ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる? が開催されています。

 

 

 

展覧会の主役は、ロニ・ホーン (1955~)

アメリカの現代美術を代表する女性アーティストです。

初期から一貫して、「自然」 をテーマに制作してきたというロニ・ホーン。

そんな彼女が特に愛してやまないのが、アイスランドの荒々しい風土。

アイスランドへの旅をライフワークとし、

65歳を超えた今も定期的に足を運んでいるといいます。

若い頃は独力でのテント泊もよく行っていたのだとか。

ワイルドだろぉ?

 

 

さてさて、会場の冒頭に展示されていたのは、巨大なガラス製の彫刻群。


 

 

それらを上から覗き込んでみると・・・・・

 

 

 

そこには、たっぷりの水が入っていました。

いや、正しくは、入っているように見えただけでした。

実は、これはすべてガラスの塊。

気の長くなるような時間をかけて、

ゆっくりゆっくりと鋳流すことで、これほどの透明度が生まれるのだそうです。

ちなみに、その重さは数百㎏にもなるのだとか。

 

 

 

それらのガラスの表面に、窓の外に広がる仙石原の森の景色が映り込む。

その光景は、控えめに言って最高でした。

とても素敵な空間だったのですが、

残念なことに、その素敵さが写真では伝わりません。

写真には写らない美しさがあるということを、

ロニ・ホーンとTHE BLUE HEARTSから学びました。

 

そうそう、ロニのガラス彫刻シリーズには、

さまざまなカラーバリエーション (?) がありましたが。
個人的に一番印象に残ったのは、この色のガラス彫刻です。

 

 

 

その色味といい、水を湛えた感じといい。

ケロリンの桶にしか見えなくなってきました (笑)

 

 

続く展示室で紹介されていたのは、

床置きされた巨大な金箔と、壁に立てかけられた銀の棒。

 

 

 

銀の棒の表面をよく見てみると、

何やらアルファベットが書かれていました。

 

 

 

こちらは、《エミリのブーケ》 と名付けられた作品シリーズで、

アメリカを代表する詩人エミリ・ディキンスンが書いた手紙にある言葉を、

プラスティックで鋳造し、アルミニウム製の棒の表面に付けているのだとか、

ロニはこの作品のように、文学や思想などを引用することも多いのだそうです。

ワイルドな一面と、哲学的な一面とを併せ持つ。

それが、ロニ・ホーンです。

星星

 

 

展覧会には、これらの作品の他にも、

アイスランドで野生の鴨の羽毛を集め生計を立てる夫妻の写真を中心としたシリーズや、

 

 

 

水彩で描いたテキストを細かく裁断し、再び繋ぎ合わせたコラージュ作品など、

 

 

 

ロニの初期作から近作まで、多数の作品群が紹介されています。

なお、それらの中には、彼女の代表作とされる 《あなたは天気 パート2》 も。

 

 

 

こちらは、アイスランドの温泉を舞台に、

とある女性の表情を記録し続けた写真シリーズです。

撮影期間は、なんと6週間!

 

 

 

そのあまりの長さに、モデルもうんざり気味だったのでしょう。

表情は晴れるどころか、大半が曇りがちです。

中には、今にも雷が落ちそうなものもありました。

 

 

ちなみに。

今展の開催に合わせて、ポーラ美術館屋外の森に、

ロニ・ホーンのガラス彫刻作品が常設されることになったそう。

 

 

 

タイトルは、《鳥葬》

展覧会で紹介されていたものと比べて、大きさも重さも段違いです。

 

 

 

こちらの作品も室内に設置されたものと同様、

水が入っているように見えているのかと思いきや。

表面がわずかに凹んでいるそうで、そこに前日の雨水が溜まっているだけでした。

 

 

 

表面の汚れや水に浮いた葉っぱが気になるところですが、

ロニさんからの厳命で、この作品にはメンテナンスなど一切手を触れてはいけないのだとか。

鳥葬のように、ゆっくりゆっくりと自然に還っていく。

そういう作品なのだそうです。

今後、ポーラ美術館を訪れるたびに、

森にあるこの作品を定点観測したいと思います。

 

 

 ┃会期:2021年9月18日(土)~2022年3月30日(水)

 ┃会場:ポーラ美術館

 ┃https://www.polamuseum.or.jp/sp/roni-horn/

 





1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles