現在、三軒茶屋にある世田谷文化生活情報センター 生活工房では、
“アメリカン・トイズ since 1920s 暮らしと時代を映す玩具展” が開催されています。
日本におけるキッズデザイン研究の先駆者にして、
日本屈指の玩具コレクターでもある春日明夫さんのコレクションの中から、
アメリカ製のものを中心に、約150点の玩具を紹介する展覧会です。
今展で特にフィーチャーされていたのは、
フィッシャー・プライス トイズ (現・フィッシャープライス®️)。
昨年、創業90周年を迎えたアメリカを代表する玩具メーカーです。
フィッシャー・プライス トイズの代名詞ともいえるのが、プルトイなのだそう。
紐が付いていて、引っ張って動かして遊ぶタイプの玩具です。
なお、ニワトリだとか、クマだとか、
ミッキーだとか、ドナルドダックだとか。
さまざまなキャラクターのプルトイがありましたが。
もっとも人気のプルトイだったというのが、
意外や意外、ミツバチをモチーフにしたものなのだそう、
ミツバチを引っ張って歩く。
その発想はありませんでした。
さすが自由の国アメリカ。
ちなみに。
アメリカの玩具と聞いて、
映画 『トイ・ストーリー』 シリーズを連想した人も少なくないはず。
実は、『トイ・ストーリー3』 にもフィッシャー・プライス トイズのおもちゃが登場しています。
それが、こちらのチャターテレフォン。
ダイヤル式の電話が普及した際に、
その方法を子どもに教えるために作られた玩具なのだそうです。
さてさて。
展覧会では、アメリカの玩具だけでなく、
同時期に作られた日本の玩具も紹介されていました。
例えば、こちら↓
右が、フィッシャー・プライス トイズ製で、
左が、おそらくそれに似せて作られた日本製の玩具です。
また例えば、こちら↓
左が、フィッシャー・プライス トイズ製で、
右が、おそらくそれに似せて作られた日本製の玩具です。
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数年前、中国で作られたバッタもんを見て、
クオリティが低いだのなんだのと、子馬鹿にしていましたが。
戦後の日本も似たようなもんだったことを痛感させられました。
とりわけ酷かったのが、アイロンをモチーフにしたこちらの玩具。
奥がフィッシャー・プライス トイズ製で、手前が日本製。
ツッコミどころが多すぎて、どこから処理すればよいものやら。
何で目が飛び出ているのか。
何て持つところが、ちょんまげみたいなのか。
そもそもこれはアイロンなのか。
アイロンというよりも、さかなクンが被っている帽子に近い気がします。
ちなみに。
玩具の展覧会なので、基本的には終始楽しかったのですが。
一部、テイストの違う玩具も紹介されていました。
それは、戦時下の日本で作られていた玩具の数々です。
時代的に、何でもかんでも作れた時わけではなく、
検閲に合格したものだけが販売を許されていたのだそう。
兵士や戦車などをモチーフにした玩具が多くを占めていたとのこと。
また、兵器の模型を作るための本も売られていたそう。
その冒頭には、こんな一文が記されていました。
「この兵器模型工作によって、皆さん自身の眼を練り、
手を養い、頭を作って、皇国の発展の為に、尊い身命を捧げて下さい。」
戦争の恐ろしさを伝えるドラマや映画は多々ありますが。
こんなとんでもない文章が、子ども向けの本にさらっと書かれている。
その事実が何よりも恐ろしかったです。