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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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第三十八話 国宝ハンター、怒涛の7日間が続く!

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前回までのあらすじ~

 日本全国の国宝をすべて観るというチャレンジを、かれこれ1年以上続けている国宝ハンター。
 これまでに観た国宝の数は、264。
 少しでもゴールに近づけようと、
 この一週間は、毎日国宝を観に行くというチャレンジを、国宝ハンターは自身に課した。
 かくして、 『国宝を一週間見続ける男』 という黄金伝説のような企画は始まった―



~10月29日 国宝7Days 【2日目】の続き

日光の二荒山神社で開催されているという “宝刀展”

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-宝刀展


なんでも、二荒山神社が所蔵する国宝の刀が公開されるのは、実に半世紀ぶりのことなのだとか。

・・・ということは。
単純計算してみると、この場合、もし見逃してしまうと、
次に観れるのは、半世紀後、つまり50年以上も先のことになってしまう可能性もあるのです。
その頃、僕は、生きていたとしても、79歳。
下手したら、それまでに目にした国宝のことを、
すっかり忘れてしまっているかもしれません (笑)

そういう意味でも、今日わざわざ日光まで足を運んだ甲斐があったというものです。


ではでは、早速、二荒山神社の境内へ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-二荒山神社


え~と、宝刀展の会場は、どこでしょうか~??

ちょっと見当たらないので、
神社で働いているオバちゃんに、宝刀展の会場を訪ねてみることに。
すると、衝撃的な回答が返ってきました。

「宝刀展?ここじゃないよ」

「え~~~~~~~!!!!!でもでも、ここは、二荒山神社ですよね?」

「ここは二荒山神社だけど、宝刀展がやってる二荒山神社の中宮は、山の向こう」

「・・・む、 “向こう” って、どれくらい “向こう” なんですか??」

「ここから一回、日光駅に戻って、そこからバスに乗って、50分くらいよ」


ギャフン!
まさか、日光に二荒山神社が他にもあるとは?!
紛らわしいこと、この上なしです。

ここまで順調だった日光での国宝ハンティング。
いきなり雲行きが怪しくなってきました。

とりあえず、一旦、東武日光駅の方に戻って、
二荒山神社中宮に向かうバスに飛び乗りました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-バス  


ここから50分で、二荒山神社中宮。

・・・・・・・・のはずだったのですが。
二荒山神社中宮があるのは、中禅寺湖の湖畔。
日光駅からは、いろは坂を通って行かなければなりません。
そして、紅葉が見ごろのこの季節、いろは坂には、、、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-いろは坂  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-いろは坂


大渋滞が発生していました!!!

結局、二荒山神社中宮に到着したのは、バスに乗ってから2時間30分後。。。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-二荒山神社  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-二荒山神社


自宅からの所要時間を計算すると、電車とバスを合わせて片道約5時間30分!
一人で黙々と、この長時間ずーっと乗り物に乗っているのは、なかなかに過酷です。
これまでに数々の国宝の旅を経験してきましたが、
確実に、今回の旅が一番精神的にキツかったです。。。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-二荒山神社


『運気上昇のパワースポット』 とありましたが、
ここに辿り着くまでに、運気の目盛はゼロになっています (笑)

ただ、疲れたからと言って、休んでいるヒマはありません。
帰りのバスも、渋滞に巻き込まれる可能性が大ですから、
次に来るバスの時間を、予めチェックしておく必要があります。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-二荒山神社


なるほど。現在の時刻は、15時15分。15時39分には、バスが来てしまうのですね。
ということは、タイムリミットまで、あと約20分

今度こそ、宝刀展は開催されているみたいですね。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-宝刀


あっ、会場、発見!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場


館内では、ようやく2つの国宝の刀とご対面を果たせました!

一つは、 《大太刀〈銘備州長船倫光/貞治五年二月日〉》 (ジャンル:工芸品) です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-大太刀〈銘備州長船倫光/貞治五年二月日〉


ここまでの道のりも長かったですが、この刀も長い。
総長159.0cmという長~い刀です。
ちなみに、国宝指定されている日本刀の中で一番長いのが、この刀なのだとか。
その長さゆえ、武士が腰に差すというよりは、
ドラクエの勇者が、背中に担ぐような刀でした。
その姿は、本当に勇ましく、思わず、 「かっけぇ~♪」 を連呼してしまいました。
いやぁ、ここまで観に来て良かったです。


そして、もう一つは、 《小太刀〈銘来国俊/〉/黒漆蛭巻太刀拵》 (ジャンル:工芸品)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-小太刀〈銘来国俊/〉/黒漆蛭巻太刀拵


その総長は、71.2cm。
実は、これは、国宝指定されている日本刀の中で一番の短さ。

そう。なんと、二荒山神社は、
最長と最短の両方の国宝の方を持っている神社だったのです。
ということは、宝刀展の会場で、こんなことも出来るわけです!

♪最長の国宝の日本刀を観て~最短の国宝の日本刀を観て~
 最長のと最短のを交互に観て~ 最長のと最短のを交互に観て~


・・・・・もう時間が無いので、帰ります (笑)
(注:帰宅は、5時間強かかりました)



~10月30日 国宝7Days 【3日目】~

本日は、大宮へ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-埼玉県立歴史と民俗の博物館


やってきたのは、埼玉県立歴史と民俗の博物館です。
現在、こちらの博物館の常設展示室では、
“特別公開 埼玉の国宝” なる展示が開催中。
なんと、この機会に、埼玉県が所蔵する国宝の美術工芸品3点すべてが勢ぞろいしているのです!

・・・と言っても、すでに、 《短刀〈銘備州長船住景光/元亨三年三月日〉》 と、
《太刀〈銘備前国長船住左兵衛尉景光、作者進士三郎景政、嘉暦二二年已巳七月日/〉》 は、ハンティング済。

今回の来訪で、残るあと一つの埼玉県の国宝 《法華経一品経》 (ジャンル:書跡・典籍) をゲット。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-法華経


こちらは、平家納経、久能寺教と並んで、三大装飾経の一つに数えられる優品。
京都の九条家を中心に、後鳥羽上皇も加わって写経したものなのだとか。


ちなみに、この展示自体は、約2ヶ月ほど開催されているのですが、
10月30日から11月4日までは、国宝観賞週間として、学芸員さんによる特別解説が、各日2回開催されています。
国宝ハンターとしては、国宝観賞週間を逃す手はなく、この期間に合わせて訪れたわけですが。

意外と、あっさりとした解説で、拍子抜けしました (笑)


とは言っても、やはり解説があるのと無いのでは、大違い。
今回初めて、埼玉県が所蔵する2つの国宝刀が、兄弟であることを知りました。
オーダーした人物も、制作した人物も、それぞれ同じ。
実は、 (制作年代的に) この間に、
もう一つ兄弟の刀があるそうなのですが、それは宮内庁が所有しているとのことです。
また、 《短刀〈銘備州長船住景光/元亨三年三月日〉》 は、
もともとは、武蔵武士の大河原氏が秩父神社に奉納した刀だったのですが。
それを気に入った上杉謙信が、いつの間にか自分のものにしてしまったのだそうです (笑)


ともあれ、これにて、埼玉県が所蔵する国宝をすべてゲット!
埼玉県、完全制覇です。



今現在の国宝ハンティング数 267/1085




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