~前回までのあらすじ~
日本全国の国宝をすべて観るというチャレンジを、かれこれ1年以上続けている国宝ハンター。
これまでに観た国宝の数は、264。
少しでもゴールに近づけようと、
この一週間は、毎日国宝を観に行くというチャレンジを、国宝ハンターは自身に課した。
かくして、 『国宝を一週間見続ける男』 という黄金伝説のような企画は始まった―
~10月29日 国宝7Days 【2日目】の続き~
日光の二荒山神社で開催されているという “宝刀展”
なんでも、二荒山神社が所蔵する国宝の刀が公開されるのは、実に半世紀ぶりのことなのだとか。
・・・ということは。
単純計算してみると、この場合、もし見逃してしまうと、
次に観れるのは、半世紀後、つまり50年以上も先のことになってしまう可能性もあるのです。
その頃、僕は、生きていたとしても、79歳。
下手したら、それまでに目にした国宝のことを、
すっかり忘れてしまっているかもしれません (笑)
そういう意味でも、今日わざわざ日光まで足を運んだ甲斐があったというものです。
ではでは、早速、二荒山神社の境内へ。
え~と、宝刀展の会場は、どこでしょうか~??
ちょっと見当たらないので、
神社で働いているオバちゃんに、宝刀展の会場を訪ねてみることに。
すると、衝撃的な回答が返ってきました。
「宝刀展?ここじゃないよ」
「え~~~~~~~!!!!!でもでも、ここは、二荒山神社ですよね?」
「ここは二荒山神社だけど、宝刀展がやってる二荒山神社の中宮は、山の向こう」
「・・・む、 “向こう” って、どれくらい “向こう” なんですか??」
「ここから一回、日光駅に戻って、そこからバスに乗って、50分くらいよ」
ギャフン!
まさか、日光に二荒山神社が他にもあるとは?!
紛らわしいこと、この上なしです。
ここまで順調だった日光での国宝ハンティング。
いきなり雲行きが怪しくなってきました。
とりあえず、一旦、東武日光駅の方に戻って、
二荒山神社中宮に向かうバスに飛び乗りました。
ここから50分で、二荒山神社中宮。
・・・・・・・・のはずだったのですが。
二荒山神社中宮があるのは、中禅寺湖の湖畔。
日光駅からは、いろは坂を通って行かなければなりません。
そして、紅葉が見ごろのこの季節、いろは坂には、、、
大渋滞が発生していました!!!
結局、二荒山神社中宮に到着したのは、バスに乗ってから2時間30分後。。。
自宅からの所要時間を計算すると、電車とバスを合わせて片道約5時間30分!
一人で黙々と、この長時間ずーっと乗り物に乗っているのは、なかなかに過酷です。
これまでに数々の国宝の旅を経験してきましたが、
確実に、今回の旅が一番精神的にキツかったです。。。
『運気上昇のパワースポット』 とありましたが、
ここに辿り着くまでに、運気の目盛はゼロになっています (笑)
ただ、疲れたからと言って、休んでいるヒマはありません。
帰りのバスも、渋滞に巻き込まれる可能性が大ですから、
次に来るバスの時間を、予めチェックしておく必要があります。
なるほど。現在の時刻は、15時15分。15時39分には、バスが来てしまうのですね。
ということは、タイムリミットまで、あと約20分!
今度こそ、宝刀展は開催されているみたいですね。
あっ、会場、発見!
館内では、ようやく2つの国宝の刀とご対面を果たせました!
一つは、 《大太刀〈銘備州長船倫光/貞治五年二月日〉》 (ジャンル:工芸品) です。
ここまでの道のりも長かったですが、この刀も長い。
総長159.0cmという長~い刀です。
ちなみに、国宝指定されている日本刀の中で一番長いのが、この刀なのだとか。
その長さゆえ、武士が腰に差すというよりは、
ドラクエの勇者が、背中に担ぐような刀でした。
その姿は、本当に勇ましく、思わず、 「かっけぇ~♪」 を連呼してしまいました。
いやぁ、ここまで観に来て良かったです。
そして、もう一つは、 《小太刀〈銘来国俊/〉/黒漆蛭巻太刀拵》 (ジャンル:工芸品)
その総長は、71.2cm。
実は、これは、国宝指定されている日本刀の中で一番の短さ。
そう。なんと、二荒山神社は、
最長と最短の両方の国宝の方を持っている神社だったのです。
ということは、宝刀展の会場で、こんなことも出来るわけです!
♪最長の国宝の日本刀を観て~最短の国宝の日本刀を観て~
最長のと最短のを交互に観て~ 最長のと最短のを交互に観て~
・・・・・もう時間が無いので、帰ります (笑)
(注:帰宅は、5時間強かかりました)
~10月30日 国宝7Days 【3日目】~
本日は、大宮へ。
やってきたのは、埼玉県立歴史と民俗の博物館です。
現在、こちらの博物館の常設展示室では、
“特別公開 埼玉の国宝” なる展示が開催中。
なんと、この機会に、埼玉県が所蔵する国宝の美術工芸品3点すべてが勢ぞろいしているのです!
・・・と言っても、すでに、 《短刀〈銘備州長船住景光/元亨三年三月日〉》 と、
《太刀〈銘備前国長船住左兵衛尉景光、作者進士三郎景政、嘉暦二二年已巳七月日/〉》 は、ハンティング済。
今回の来訪で、残るあと一つの埼玉県の国宝 《法華経一品経》 (ジャンル:書跡・典籍) をゲット。
こちらは、平家納経、久能寺教と並んで、三大装飾経の一つに数えられる優品。
京都の九条家を中心に、後鳥羽上皇も加わって写経したものなのだとか。
ちなみに、この展示自体は、約2ヶ月ほど開催されているのですが、
10月30日から11月4日までは、国宝観賞週間として、学芸員さんによる特別解説が、各日2回開催されています。
国宝ハンターとしては、国宝観賞週間を逃す手はなく、この期間に合わせて訪れたわけですが。
意外と、あっさりとした解説で、拍子抜けしました (笑)
とは言っても、やはり解説があるのと無いのでは、大違い。
今回初めて、埼玉県が所蔵する2つの国宝刀が、兄弟であることを知りました。
オーダーした人物も、制作した人物も、それぞれ同じ。
実は、 (制作年代的に) この間に、
もう一つ兄弟の刀があるそうなのですが、それは宮内庁が所有しているとのことです。
また、 《短刀〈銘備州長船住景光/元亨三年三月日〉》 は、
もともとは、武蔵武士の大河原氏が秩父神社に奉納した刀だったのですが。
それを気に入った上杉謙信が、いつの間にか自分のものにしてしまったのだそうです (笑)
ともあれ、これにて、埼玉県が所蔵する国宝をすべてゲット!
埼玉県、完全制覇です。
今現在の国宝ハンティング数 267/1085
国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中
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第三十八話 国宝ハンター、怒涛の7日間が続く!
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