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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜

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現在、三菱一号館美術館で開催中の展覧会、

“イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ─ モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン に行ってきました。

 

 

 

約50万点にも及ぶ所蔵品を誇るイスラエル最大の文化施設。

それが、イスラエル博物館です。

先史時代の希少な遺物から現代アートまで、

そのコレクションは、実に多岐に渡っています。

中でも見逃せないのが、印象派やポスト印象派を中心とする近代美術コレクション。

その質の高さから、知る人ぞ知る傑作コレクションとして知られているそうです。

 

そんなイスラエル博物館の近代美術コレクションを、

初めて日本で大々的に紹介するのが今回の展覧会。

出展されているのは、選りすぐりの約70点。

その大半が日本初公開作品となっています。

 

(注:展覧会は一部撮影可。展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

モネやルノワール、ゴッホやゴーガンといった、

印象派、ポスト印象派の人気画家の作品は抑えつつ。

バルビゾン派のクラシックな風景画や、

親密さを覚えるナビ派の作品もピックアップされています。

三菱一号館美術館ファンのツボを押さえた、

実に三菱一号館美術館らしさを感じるセレクションです。

 

 

 

展覧会の目玉はやはり何と言っても、

ポスターのメインビジュアルにもなっているモネの 《睡蓮の池》

 

クロード・モネ 《睡蓮の池》 1907年、油彩/カンヴァス、101.5 x 72.0 cm、イスラエル博物館蔵 Photo © The Israel Museum, Jerusalem

 

 

1909年、パリのとある画廊で開催された “睡蓮:水の風景連作” で、

モネは、それまでの数年間で描いた48点の睡蓮の連作を発表しました。

本作は、そのうちの1点です。

しかも、モネは生涯にわたって200点以上の睡蓮を描いますが、

その中でも 「当たり年」 とされるのが1907年に制作された睡蓮の作品。

1907年に描かれた 《睡蓮の池》は、まさにBEST of 睡蓮なのです。

 

さらに、今展では特別に!

DIC川村記念美術館と和泉市久保惣記念美術館、

国内の美術館がそれぞれ所蔵する 《睡蓮》 も出展されています。

 

 

 

どちらも “睡蓮:水の風景連作” に出展された作品。

しかも、どちらも当たり年の1907年に制作された作品です。

ちなみに、“睡蓮:水の風景連作” に出展された1907年の作品は全部で21点。

そのうち、現在所在が確認されているものは14点。

つまり、今、14分の3が、三菱一号館美術館に集結しているというわけです。

 

 

と、それだけでも充分に訪れる価値がありますが、

個人的にオススメしたいポイントは、他にもあります。

それは、いつもの画家 (?) の、いつもと違う作品が観られるということ。

 

例えば、こちらの 《エラニーの日没》 という作品。

 

 

 

スーラやシニャックといった新印象派の画家の作品のように思えますが。

実は、印象派のメンバーの中で一人だけ年長だったカミーユ・ピサロの作品です。

いつものような穏やかな作風とは違って、

明るくてポップ、なんとも若々しい印象がある作品でした。

 

対して、こちらのピサロっぽい 《ヴージラールの家》 という作品は・・・

 

 

 

ピサロの作品ではなく、ゴーガンの作品です。

いつものようなアクの強さは鳴りを潜め、

画面全体に、穏やかな空気が満ちていました。

こういう絵も描けるのですね。

 

 

珍しいといえば、クールベによる静物画も。

 

 

 

ただリンゴが描かれているだけなのに、

こちらに迫ってくるような、妙な圧迫感があります。

ふてぶてしいというかなんというか。

しばらく眺めていると、ドラクエの戦闘画面が始まったかのようにも思えてきました。

 

 

 

さてさて、モネの 《睡蓮の庭》 も、

モネ以外の巨匠の作品も、もちろん素晴らしかったのですが。

それ以上に目を奪われたのが、レッサー・ユリィなる画家の作品でした。

 

 

 

初めてその名を知るドイツ出身の画家でしたが、

出展されていた4点すべてに目が釘付けとなりました。

4打席4ホームラン。

特に 《夜のポツダム広場》 は絶品も絶品でした。

 

レッサー・ユリィ 《夜のポツダム広場》 1920年代半ば、油彩/カンヴァス、79.6 x 100.0 cm、イスラエル博物館蔵 

Photo © The Israel Museum, Jerusalem by Avshalom Avital

 

 

印象派のスタイルではありながら、

エドワード・ホッパーのような抒情性もありつつ。

およそ100年前の作品とは思えない、現代性もありつつ。

目に飛び込んできた瞬間、有無を言わさず 「うわっ、スゴっ!」 と思わされました。

圧倒的なスター感。

橋本環奈を初めて見た時くらいの衝撃を覚えました。

世の中にまだこんなスター性のある画家がいただなんて!

その衝撃も含めて、3ツ星。

星星星

 

ちなみに。

この 《夜のポツダム広場》 のポストカードは、

なんと初日の段階でソールドアウトしたそうです。

間違いなく、レッサー・ユリィブームが来ます。てか、もう来てます。

 

 



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