現在、サントリー美術館では、開館60周年を記念して、
さらに、今年が聖徳太子の1400年遠忌であることも記念して、
“聖徳太子 日出づる処の天子” という特別展が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
聖徳太子をフィーチャーした展覧会といえば、
この夏、東京国立博物館でも大々的に開催されていましたが。
あちらとはまったく別物の展覧会です。
トーハク版では、聖徳太子が建立した奈良・法隆寺の寺宝を中心に紹介していましたが、
サントリー美術館版では、太子信仰の中核を担ってきた大阪・四天王寺の寺宝を中心に紹介。
それらの中には、《四天王寺縁起》 や 《金銅威奈大村骨蔵器》 など、国宝も含まれています。
(注:展示替えあり)
数ある国宝の中でも特にレアなのが、こちらの国宝です。
聖徳太子が佩刀していたとされる国宝 《七星剣》。
この 《七星剣》 は国内屈指の古刀としても知られており、
まだ反りという概念がなかった頃に作られているので、直刀であるのが大きな特徴です。
なお、その名の由来は、刀身に象嵌で施された北斗七星の文様。
RPGのアイテム感の強いネーミングですね。
また、今展では、信仰の対象としての聖徳太子だけではなく。
聖徳太子の肖像画がデザインされた旧紙幣全7種や、
1980年代に聖徳太子ブームを起こした山岸凉子さんの名作 『日出処の天子』 など、
近代以降の聖徳太子のイメージについても紹介されています。
聖徳太子にまつわるさまざまな美術品や資料が展示されていますが、
情報過多にはならず、全体的に上手くまとまっている印象を受けました。
まさに 「和を以て貴しとなす」 な展覧会です。
さてさて、紹介されていた数々の展示品の中で、
特に印象的だったのは、日本各地に伝わる聖徳太子の像です。
日本一有名な人物でありながらも、
これという身体的特徴がないからなのでしょう。
どれもこれも同一人物とは思えないくらいに、
いろんなタイプの聖徳太子が存在していました。
特に子ども時代の姿に関しては、フリーダム状態。
展覧会のメインビジュアルにも採用された、
四天王寺蔵の 《聖徳太子童形像・六臣像》 の太子の姿は、
子どもとは思えないくらいに、貫禄がありました。
国会議員2回生くらいの貫禄があります。
また、こんな童形の聖徳太子像も。
なぜか上半身が裸。
よく見れば、上半身の肌の一部が白く、
まるで日焼け跡のような感じになっています。
実は、この像には実際の服を着させていたのだそう。
そのサイズ感といい、着せ替えられるシステム (?) といい、
不二家の軒先にあるペコちゃんを思わず連想してしまいました。
それから、もう一つ印象的だった彫像が、
宮城の天王寺に伝わる 《如意輪観音半跏像》 と 《四天王立像》 です。
みちのくの仏像だけあって、
全体的に素朴でおおらかな印象を受けました。
ただ、どうしても気になったのが、頭の長さ。
一瞬、コーンヘッドかと思ってしまいました。
┃会期:2021年11月17日(水)~2022年1月10日(月・祝)
┃会場:サントリー美術館
┃https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2021_4/index.html