上野の森美術館で開催中の展覧会、
“深堀隆介展 「金魚鉢、地球鉢。」” に行ってきました。
金魚をテーマに制作を続けて約20年。
“金魚絵師” こと深堀隆介さんの東京の美術館では初となる大規模展覧会です。
出展作は、新作を含む約300点!
そのすべてが金魚をモチーフにした作品です。
キャンバスに1匹の金魚をでかでかと描いた作品や、
(注:展覧会は一部撮影可。展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
金魚のウロコにクローズアップした最新シリーズなどもありましたが。
やはり、深堀さんの代名詞といえば、
世界的にも評価を受ける 「2.5D Painting」 でしょう。
「2.5D Painting」 とは、深堀さんが編み出した独自の技法。
一見すると、こちらの枡の中にいる金魚は、立体作品のように思えますが。
実は、アクリル絵具で描かれたもの。
まず、枡の中に透明樹脂を流し込みます。
2日間かけて固まったら、アクリル絵具で金魚の一部を描きます。
そして、その上にまた透明樹脂を流し込み、
2日間かけて固まったら、アクリル絵具で金魚の一部を描いて (・・・以下同文)。
そのように描いたものがレイヤーのように重なることで、
まるで本当に泳いでいるかのような立体的な金魚作品が誕生するのです。
展覧会の冒頭では、そんな枡の中で金魚が泳ぐ、
「金魚酒」 シリーズの初期から最新作までがズラリと並んでいました。
現時点でのクオリティを知った上で観てみると、
初期の作品はお世辞にも、立体的には感じられません。
「2.5D Painting」 ではなく、完全に 「2D Painting」 です。
ここから出発して、長年研鑽を積んだ結果、
今現在の 「2.5D Painting」 があったわけですね。
儚い金魚の美しさの裏側には、
しぶとく (?) 、諦めない努力があったようです。
なお、展覧会の会場では、
枡以外を用いた 「2.5D Painting」 の作品も多く紹介されています。
和傘や文机を利用したものもあれば、
桶や昔の木箱、
茶碗やコップ、昔懐かしのお弁当箱を利用したものもありました。
深堀さんの手にかかれば、
水が溜まりそうな奴は大体作品になるのでしょう。
ちなみに。
展覧会のラストを飾っていたのが、《僕の金魚園》。
金魚すくいの屋台をモチーフにした新作インスタレーション作品です。
当然、水槽の中には 「2.5D Painting」 な金魚がたくさん泳いでいるのかと思いきや・・・・・
ピクミンみたいなのやら、ぴちょんくんみたいなのやら。
ド2D Paintingな金魚がたくさん泳いでいました。
・・・・・・・・・・・。
率直に言って、コレジャナイ感。
リアルな金魚が観たかった!
何であえてこのスタイルを選んだのか謎も謎です。
謎といえば、屋台の背後にたくさん穴が開いていたのも謎。
周囲にあった光る竹も謎。
というか、今さらながら金魚がテーマの涼しげな展覧会を、
何で冬のシーズンに開催しているのかも謎に思えてきました。