年齢制限無し。サイズ制限無し。
2年に1度開催される現代陶芸の祭典。
それが、菊池ビエンナーレ。
9回目となる今回、下は20代から上は80代まで、
日本各地だけでなく、アジア地域からの出品も含む279点の応募があったそうです。
そこから厳選な審査の末、入選作品に選ばれた54点が、
現在、菊池寛実記念 智美術館の展示室に一堂に会しています。
279点の頂点。
今回の大賞に輝いたのは、猪倉髙志さんの 《線を解き放つ》。
超高級シャンプーのボトルを思わせるような。
はたまた、超高級なシルクのシーツを思わせるような。
実にラグジュアリーな佇まいの作品です。
これらのシャープな線はすべて、
焼く前の段階で削り出したものなのだそう。
人知を超えた美しさゆえ、しばらく眺めていたら、
『ワンピース』 に登場する悪魔の実のようにも見えてきました。
キレキレの実、とか。
大賞に続く優秀賞を受賞したのは、
梅本孝征さんによる 《色絵流加彩昇落器》。
シャープで緊張感のある大賞の猪倉さんの作品とは対照的に、
フォルム的にも色味的にも、何より醸し出す雰囲気的にも和やかな印象の作品です。
釉薬を流れさせることで、この独特の文様が生まれているそうですが。
上から下に流れているというよりも、
下から上にひょこっと文様が現れたような。
不思議なユーモラスさがありました。
パックマンのおばけのようにも見えます。
また、今回奨励賞を受賞したのは、3人。
津金日人夢さんの 《青瓷平壷-水天彷彿-》 に、
原田雅子さんの 《ながるる》、
そして、中里浩子さんの 《はなもよう》 です。
なお、中里さんは前回に続き、
2回連続での奨励賞受賞とのこと。
次回の第10回大会で3度目の正直なるか。
気になるところです。
それから、48歳の津金さんをのぞいて、
今回の受賞者は、全員50代だったそう。
ベテランよあなたは強かった。
若手や中堅作家の巻き返しにも、次回期待したいところです。
ちなみに。
ぐい吞みを愛用している増原嘉央理さんや、
森山寛二郎さんの最新作も印象的でしたが。
個人的に特に印象に残ったのは、
酒井智也さんの 《ReCollection「タうえふわたア」》 でした。
ろくろを使って、思うままに形を作っておき、
それらのパーツを思うままに組み合わせて、作品を制作するのだとか。
第一印象が、「積み木みたい!」 だったのですが、
本当に、積み木みたいにして制作された作品でした。
なお、それぞれのパーツには、あらかじめ名前が付けられているそうで。
作品名はそれらを組み合わせたものとなるそうです。
作品タイトルにある謎の言葉 「タうえふわたア」 は、
7点それぞれの作品の頭文字を並べたものとのこと。
意味をなさないように並べたそうです。
もし、「うわえアたふタ」 と並べていたら、「上絵あたふた」 となって、
制作が上手くいってないみたいな感じになってしまうところでしたね (←?)。
他には、ゾイドを彷彿とさせる田原形子さんの 《シュレディンガーの兎 vol.2》 や、
ニョロニョロを彷彿とさせる青木岳文さんの 《vase》 も気になりましたが、
見た目のインパクトとしては、三浦義広さんの 《獅子と狛犬》 が上回りました。
どっちが獅子で、どっちが狛犬なのか。
どちらもチンアナゴにしか見えませんでした。
あと、しばらく彼らを見つめていたら、
全身にびっしりとまとわりついた釉薬が、
蛭子能収さんが描く汗のように見えてきました。
ちなみに。
展覧会期間中は、ミュージアムショップで、
一部の受賞作家・入選作家の作品を購入することができます。
素敵な作品が多々ありましたが、悩みに悩んだ末に、
こちらにの 《練込大鉢》 を制作した伊藤雄志の・・・・・・・
ドイツあたりの抽象画を彷彿とさせる洒脱なデザインのぐい呑みです。
一目ぼれして購入しておきながらなんですが、
日本酒を飲むのにはしっくりこない気がします (笑)