年齢関係なし。所属関係なし。技法も一切関係なし。
未発表の平面作品であれば、基本的に何でもあり。
SOMPO美術財団が創設したガチンコバトル的な公募コンクール。
それが、”FACE” です。
そんなFACEの2019年から2021年までの3年間で、
グランプリまたは優秀賞を受賞した作家にスポットを当てているのが、
現在、SOMPO美術館で開催中の “絵画のゆくえ2022” という展覧会です。
参加している作家は、全部で12名。
FACE2019で見事グランプリの座を射止めた庄司朝美さんや、
FACE2021にて台湾出身としては初のグランプリに輝いた魏嘉 (ウェイジャ) さんらの、
“FACE” 入選作と、入選後に描かれた近作、新作の数々が展示されています。
まさに、入選作家たちの受賞以降の “絵画のゆくえ” を紹介する展覧会です。
お笑いの祭典に例えるなら (←?)、
さしずめ “FACE” は 『M-1グランプリ』 で、
“絵画のゆくえ” は 『THE MANZAI マスターズ』 といったところでしょうか。
“FACE展” では、その性質上、
1作家につき1作品しか出展されていませんが。
今回の “絵画のゆくえ” は、個展形式。
ランプリや優秀賞を受賞した実力派たちが作り出す空間を楽しむことができます。
何でもありの公募コンクールゆえ、アーティストたちの作風は、実にバラバラ。
それゆえ、皆様の推しが少なくとも一人は見つかるはずです。
ちなみに。
「人の心にみる怖さの本質」 をテーマに制作を続けている高見基秀さんや、
都心の何気ない夜景を蒔絵で表現する松崎森平さんの作品にもグッと来ましたが。
個人的にもっとも惹かれたのは、奥田文子さんの作品群でした。
描かれているのは、地面や水面。
一見すると、何の変哲もない光景のような気がしますが。
よーく観てみると・・・・・
画面の中には必ず、
ウォーリーくらいのサイズ (?) の人が描き込まれています。
あるあるな光景と見せかけて、実は、なしなしな光景。
ありそうで無さそうで、でもやっぱり、ありそうで。
その絶妙な塩梅に、心を鷲掴みにされてしまいました。
また、心でなく胃袋を鷲掴みにされたのが、町田帆実さんの作品群。
「食の記憶」 をテーマに制作しているという彼女。
決して、写実的に描いているわけではないのですが、
不思議とどの作品も、ちゃんと美味しそうに感じられるのです。
先日、TBSの某番組で、某コンビニのおにぎりを、
食べたくなるビジュアルでないと試食拒否した某シェフが、炎上騒ぎになっていましたが。
そのシェフでも、この絵を観たら、
もしかしたら、試食してみたくなるかもしれません。
最後に、もう一人印象的だった作家をご紹介。
FACE2020で優秀賞を受賞した齋藤詩織さんです。
まず何より印象的だったのが、作品タイトルのワードセンス。
《ヘゲモニーのおやすみ》 や 《とどめの恩恵》、
《しけた設計図‐凝然》、《女狩人のごちそう》 など、
一度耳にしたら忘れられないインパクトが、どのタイトルにもあります。
それと、どの絵にも共通して漂っていたのが、うっすらとした不穏感。
《100%の安心》 と題されたこの作品でさえも。。。
塀の向こうから、こちらを見つめる謎の人物。
観れば観るほど、赤井英和さんに思えてきました。
あの引越社のCMほどではないですが、2回りくらい大きくなった赤井英和。