絵画に登場するかみたま (=神様) たちを、
yukimone (イラスト担当)×とに~(文章担当) のタッグでキャラクター化!
かみたまの声に耳を傾けてみてくださいませ。
「ごめーん!待ったー?
ん?今さっき来たところ??
それなら良かった!
あっ、先に飲み物だけ頼んじゃうね。
すいませーん!とりあえず生で!
はいっ、じゃあ、改めまして。
コノハナサクヤヒメです。
長いから、サクヤでいいよ。よろしくね!
堂本印象 《木華開耶媛》
ん?ワタシの顔に何かついてる?
えっ?ボーッと見惚れてた?
やめてよ、もう!恥ずかしいったら!
桜みたいに美しい?本当?ありがとう!
そういえば、ワタシの名前が、桜の語源になったって説もあるらしいわね。
まぁでも、ワタシ。性格はこんな感じよ (笑)
あっ、ビール来た来た!それじゃ、乾杯~♪
・・・・・ぷはぁ~、美味しいっ!
店員さ~ん、枝豆とポテトフライ、から揚げ!あと煮込みもちょうだい!
んで、今日は何の話を聞きたいんだっけ?
あー、旦那 (=ニニギノミコト) とのあの一件ね。
いいよいいよ。何でもしゃべってあげる。
出会いはね。確か、今でいう宮崎とか鹿児島あたりにある笠沙 (かささ) の岬だったからしら。
そこで散歩してたら、「一目惚れしました♡」 って声かけてきたのよ。
そうそう。ぶっちゃけ、ただのナンパよね (笑)
で、いきなり結婚して欲しいって言われたの。
“さすがに展開早すぎるんじゃない?” と思ったけどさー。
まぁ、そこまで悪い神には見えなかったし、
ひとまずお父さん (=オオヤマツミ) に聞いてみることにしたのね。
そしたらもう、お父さん喜んじゃって!
まぁ言っても彼って、ワタシら国津神 (=土着の神) と違って、
由緒正しき天津神 (=高天原にいる神、または高天原から天降った神) なわけよ。
それで、せっかくならって、ワタシだけじゃなくて、
姉ちゃん (=イワナガヒメ) も一緒にって、姉妹で旦那のもとに嫁ぐことになったのよ。
あっ、店員さん!生おかわり!!
で、そうそう。姉ちゃんまで嫁いできて、旦那も困っちゃってさぁ。
姉ちゃんって性格めっちゃイイんだけど、ほら、顔がアレじゃない?
えっ、それ、ワタシに言わせる?
名前の通り、イワみたいな顔してんのよ。
旦那はメンクイだから、姉ちゃんを一目見た瞬間に、“これは無いわぁ” って思ったんだって。
だからね、姉ちゃんには帰ってもらったわけ。
そしたらもう、姉ちゃんはカンカンでね!
お父さんもさすがにそれはヒドいと思ったらしく、
旦那に、「今後、あんたもあんたの一族も長生きしないよ」 って言い放ってたっけ。
ん?どういう意味かって?
ワタシと結婚した相手は、花のように繁栄はもたらされるんだけどね。
ほら?花って、いずれ散るでしょ?だから、寿命が発生しちゃうわけ。
で、姉ちゃんと結婚すると、岩のように永遠の命がもたらされるのよ。
旦那は知らず知らず、そっちのほうを拒否っちゃったのね。
だから、天皇家はみんな短命になっちゃったってわけよ。
といってもこれは、医療が発達してない昔の話。
現代の天皇は関係ないんじゃないかな?
でね、ここからが本題。
あっ、ちょっと待ってね。店員さーん、焼酎ロックで!
旦那と結婚したのはいいんだけど、
国造りとかで、だいぶ忙しくしてるから、
結婚した次の日くらいからほとんど旦那は家にいなかったわけ。
んで、なかなか言えるタイミングが無かったんだけど、
しばらく経ったある日、たまたま家にいたんで、妊娠したことを告げたのね。
そしたらアイツ、何て言ったと思う?
「え?それって本当に俺の子なの?」
はぁ~~~(怒)?!!
いやいやいや、もちろんアンタの子に決まってんだろ!
他に誰の子だっていうんだよ!
そしたらさ、アイツ、こう言いやがったわけ。
「だってさ、俺、初日くらいしか家にいなかったじゃん?
てことは、他の国津神との子なんじゃない?」
んなわけねーだろっ(怒)!
店員さーん!焼酎!もうボトルで!
ワタシ、それ聞いてマジでカチンときてさ。
産屋に閉じこもることにしたわけ。
絶対に外に出たくないから、入り口を土で固めて。
いわゆるSTAY HOMEってヤツね。ん?ちょっと違う?
まぁ、それはそうと、ワタシの行動に旦那もさすがに反省したらしくて。
ずっと扉をドンドンしてたんだけど、その時は無視してやったよね。
んで、いよいよ産むってなった時に、産屋に火をつけたのよ。
何?脱出マジックでもするのかって?違うわよ!
もし、国津神との子だったら、赤ちゃんは火に焼かれてすぐ死んじゃうでしょうね。
でも、天津神の旦那との子だったら、守られるはずでしょ?
こうして、ワタシは燃え盛る小屋の中で3人の赤ちゃんを産んだの。
もちろん3人とも無事。 めでたしめでたし。
じゃあ、改めて乾杯~♪
・・・・・・・・ん?
確かに、言われてみたら、何でかしら?
旦那の血を引いてるからあの子たちは火に強いわけよね。
でも、何でワタシは大丈夫だったんだろう?
もしかしたら、生まれつき火に強い体質なのかも??
あーっ、それで、富士山本宮浅間大社から、
主祭神になってくれってオファーがあったのか。
富士山の噴火を鎮めてほしいって。
あの一件以来、旦那とは冷めちゃったから、富士山に行ってこようかしら?」