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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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第17柱 はじめまして、コノハナサクヤヒメです。

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絵画に登場するかみたま (=神様) たちを、

yukimone (イラスト担当)×とに~(文章担当) のタッグでキャラクター化!

かみたまの声に耳を傾けてみてくださいませ。

 

 

かみたまです。ロゴ

 

 

 

「ごめーん!待ったー?
 ん?今さっき来たところ??
 それなら良かった!
 あっ、先に飲み物だけ頼んじゃうね。
 すいませーん!とりあえず生で!

 はいっ、じゃあ、改めまして。
 コノハナサクヤヒメです。
 長いから、サクヤでいいよ。よろしくね!
 

堂本印象 《木華開耶媛》

 

 

 ん?ワタシの顔に何かついてる?
 えっ?ボーッと見惚れてた?
 やめてよ、もう!恥ずかしいったら!
 桜みたいに美しい?本当?ありがとう!
 そういえば、ワタシの名前が、桜の語源になったって説もあるらしいわね。
 まぁでも、ワタシ。性格はこんな感じよ (笑)

 あっ、ビール来た来た!それじゃ、乾杯~♪
 ・・・・・ぷはぁ~、美味しいっ!
 店員さ~ん、枝豆とポテトフライ、から揚げ!あと煮込みもちょうだい!
 んで、今日は何の話を聞きたいんだっけ?
 あー、旦那 (=ニニギノミコト) とのあの一件ね。
 いいよいいよ。何でもしゃべってあげる。

 出会いはね。確か、今でいう宮崎とか鹿児島あたりにある笠沙 (かささ) の岬だったからしら。
 そこで散歩してたら、「一目惚れしました♡」 って声かけてきたのよ。
 そうそう。ぶっちゃけ、ただのナンパよね (笑)
 で、いきなり結婚して欲しいって言われたの。
 “さすがに展開早すぎるんじゃない?” と思ったけどさー。
 まぁ、そこまで悪い神には見えなかったし、
 ひとまずお父さん (=オオヤマツミ) に聞いてみることにしたのね。 
 そしたらもう、お父さん喜んじゃって!
 まぁ言っても彼って、ワタシら国津神 (=土着の神) と違って、
 由緒正しき天津神 (=高天原にいる神、または高天原から天降った神) なわけよ。
 それで、せっかくならって、ワタシだけじゃなくて、
 姉ちゃん (=イワナガヒメ) も一緒にって、姉妹で旦那のもとに嫁ぐことになったのよ。


 あっ、店員さん!生おかわり!!

 で、そうそう。姉ちゃんまで嫁いできて、旦那も困っちゃってさぁ。
 姉ちゃんって性格めっちゃイイんだけど、ほら、顔がアレじゃない?
 えっ、それ、ワタシに言わせる?
 名前の通り、イワみたいな顔してんのよ。
 旦那はメンクイだから、姉ちゃんを一目見た瞬間に、“これは無いわぁ” って思ったんだって。
 だからね、姉ちゃんには帰ってもらったわけ。

 そしたらもう、姉ちゃんはカンカンでね!
 お父さんもさすがにそれはヒドいと思ったらしく、
 旦那に、「今後、あんたもあんたの一族も長生きしないよ」 って言い放ってたっけ。
 ん?どういう意味かって?
 ワタシと結婚した相手は、花のように繁栄はもたらされるんだけどね。
 ほら?花って、いずれ散るでしょ?だから、寿命が発生しちゃうわけ。
 で、姉ちゃんと結婚すると、岩のように永遠の命がもたらされるのよ。
 旦那は知らず知らず、そっちのほうを拒否っちゃったのね。
 だから、天皇家はみんな短命になっちゃったってわけよ。
 といってもこれは、医療が発達してない昔の話。
 現代の天皇は関係ないんじゃないかな?
 でね、ここからが本題。


 あっ、ちょっと待ってね。店員さーん、焼酎ロックで!
 

 旦那と結婚したのはいいんだけど、
 国造りとかで、だいぶ忙しくしてるから、
 結婚した次の日くらいからほとんど旦那は家にいなかったわけ。
 んで、なかなか言えるタイミングが無かったんだけど、
 しばらく経ったある日、たまたま家にいたんで、妊娠したことを告げたのね。
 そしたらアイツ、何て言ったと思う?

 「え?それって本当に俺の子なの?」

 

 はぁ~~~(怒)?!!

 

 いやいやいや、もちろんアンタの子に決まってんだろ!
 他に誰の子だっていうんだよ!
 そしたらさ、アイツ、こう言いやがったわけ。

 「だってさ、俺、初日くらいしか家にいなかったじゃん?
  てことは、他の国津神との子なんじゃない?」

 んなわけねーだろっ(怒)!
 店員さーん!焼酎!もうボトルで!


 ワタシ、それ聞いてマジでカチンときてさ。
 産屋に閉じこもることにしたわけ。
 絶対に外に出たくないから、入り口を土で固めて。
 いわゆるSTAY HOMEってヤツね。ん?ちょっと違う?
 まぁ、それはそうと、ワタシの行動に旦那もさすがに反省したらしくて。
 ずっと扉をドンドンしてたんだけど、その時は無視してやったよね。
 んで、いよいよ産むってなった時に、産屋に火をつけたのよ。
 何?脱出マジックでもするのかって?違うわよ!
 もし、国津神との子だったら、赤ちゃんは火に焼かれてすぐ死んじゃうでしょうね。
 でも、天津神の旦那との子だったら、守られるはずでしょ?
 こうして、ワタシは燃え盛る小屋の中で3人の赤ちゃんを産んだの。
 もちろん3人とも無事。 めでたしめでたし。
 じゃあ、改めて乾杯~♪


 ・・・・・・・・ん?
 確かに、言われてみたら、何でかしら?
 旦那の血を引いてるからあの子たちは火に強いわけよね。
 でも、何でワタシは大丈夫だったんだろう?
 もしかしたら、生まれつき火に強い体質なのかも??
 あーっ、それで、富士山本宮浅間大社から、

 主祭神になってくれってオファーがあったのか。
 富士山の噴火を鎮めてほしいって。
 あの一件以来、旦那とは冷めちゃったから、富士山に行ってこようかしら?」

 

 葛飾北斎 『富嶽百景』より

 

 

 

 

 

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