六本木ヒルズの東京シティビューにて、
現在開催中の “楳図かずお大美術展” に行ってきました。
『漂流教室』 や 『まことちゃん』 で知られる、
“ホラー漫画の神様” こと楳図かずおさんの大規模展覧会です。
会場風景より ©︎楳図かずお/小学館
テレビなどでお見かけする楳図さんはいつも、若々しくお元気な印象ですが。
展覧会場にあった年表を思わず二度見!
会場風景より ©︎楳図かずお/小学館
今年でなんと85歳とのこと!
生まれた時の同時代の出来事として、
「二・二六事件が発生」 と紹介されていました。
歴史上の出来事じゃん!!
何年経っても歳を取らない楳図さん。
その事実が一番のホラーであるような気がしました。
と、それはさておき。
漫画家の展覧会といいますと、
普通は、代表作の原画が展示されているものですが。
今展では、連載されていた雑誌や、
会場風景より ©︎楳図かずお/小学館
代表作の 『漂流教室』 に関する展示はあるものの。
会場風景より ©︎楳図かずお/小学館
過去の代表作の原画は一切展示されていません!
展示のメインとなるのは、
『ZOKUSHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』。
会場風景より ©︎楳図かずお/小学館
楳図さんの新作漫画です。
それも、27年ぶりの!
制作に4年の期間を費やしたという楳図さん史上最大の大作で、
1980年代に描かれた 『わたしは真悟』 の続編にあたる内容とのこと。
いわゆる “マンガ”のようなコマ割りではなく、
アクリル絵画による101点の連作となっているのが最大の特徴です。
会場風景より ©︎楳図かずお
ストーリー漫画として読み進められる一方で、
1枚1枚独立した絵画として鑑賞することも可能。
なるほど。だから、“楳図かずお大美術展” なのですね。
さらに!
展覧会では、千房けん輔さんと赤岩やえさんによるアーティストデュオ、
エキソニモの 『わたしは真悟』 をモチーフにした映像インスタレーション作品や、
会場風景より ©エキソニモ ©︎楳図かずお/小学館
鴻池朋子さんが 『14歳』 をテーマに制作した作品群など、
会場風景より ©鴻池朋子 ©︎楳図かずお/小学館
現代アーティストらによる完全新作も展示されています。
展覧会に華を添える、というよりも、
これらもまた展覧会のメインコンテンツの一つ。
なるほど。
“楳図かずお大美術展” と銘打たれているのも納得です。
漫画として活躍していた全盛期を知らないため、ぶっちゃけ今日の今日まで、
たまにバラエティー番組に出演する赤と白のボーダーを着た変わった人という認識でしたが。
『ZOKUSHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』 の内容しかり。
人気、実力ともに兼ね備えた現代アーティストが、
楳図さんにリスペクトした上で参戦していたことしかり。
クリエイターとして、いや、アーティストとしての楳図さんの凄みを痛感させられました。
いい意味で、イメージがガラリと変わりました。
また、改めて、“ホラー漫画の神様” としての実力を再確認。
『ZOKUSHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』 はもちろん、
展示されていた過去の代表作にもグイグイと惹きつけられ、
気づいたら、すっかり楳図ワールドに取り込まれていました。
そのため、鑑賞後ふと何気なく目にした、
六本木ヒルズからの眺めが、特に赤く丸で囲んだあたりが・・・
『漂流教室』 のワンシーンのように思えました。
あの一角はきっとどこか別の世界から漂流してきたに違いありません。