現在、アーツ千代田 3331で開催されているのは、
“オルタナティブ!小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動” という展覧会。
ある時はクリエイティブ・ディレクター、ある時は編集者、
また、ある時はコピーライターとして活躍する小池一子さんの大規模展覧会です。
86歳となった今も現役バリバリで活動する小池さん。
もし、その名にピンと来なくとも、
小池さんがこれまでに手掛けた雑誌の特集や、
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
企画した展覧会の数々は目にしたことがあるのではないでしょうか。
また、パルコが始動した際のポスターや、
キャンペーン広告を手掛けたのも小池さんなら、
その立ち上げから現在に至るまで、
『無印良品』 に携わり続けているのも小池さん。
『わけあって、安い。』 や 『しゃけは全身しゃけなんだ』 といった、
日本広告史に残るような名コピーを、これまでにいくつも生み出しています。
さてさて、これらの仕事量だけでも、
とても一人の人物のものとは思えませんが。
実は、小池さんの活動を語る上で、
欠かすことのできないものが、まだあります。
それが、佐賀町エキジビット・スペース。
1983年にオープンした日本初のオルタナティブ・スペース (※) です。
(※美術館やギャラリーでもない非営利のアートスペース)
2000年に惜しまれつつ閉廊しましたが、創設から17年の間に、
大竹伸朗さんや森村泰昌さん、杉本博司さん、内藤礼さん、ダニ・カラヴァンなど、
今を時めく現代アーティストの巨匠たちの展覧会が続々開催されていました。
今展では、そんな伝説のオルタナティブ・スペースに関する資料はもちろんのこと、
大竹さんや森村さん、杉本さん、内藤さんら全面協力のもと、
佐賀町エキジビット・スペースで個展が開催された作家の当時の作品も出展されています。
あまりにもさらっとごろっと、
大御所たちの貴重な作品が展示されているので、
一瞬、レプリカなのかと勘違いしてしまったほど (もちろん本物です!)。
これほどまでに貴重な作品が全国から集結したのも、
すべて小池一子さんのこれまでの活動、人徳によるもの。
日本美術界にこの人あり。
小池さんの功績の大きさを実感させられる展覧会でした。
ちなみに。
今回展示されていた作品の中で、
個人的に一番印象に残っているのは、
岡部昌生さんの 《STRIKE-STRUCK-STROKE》 という作品です。
一見すると、ただ赤と黒の顔料が塗られているように思えますが。
こちらの作品は、佐賀町エキジビット・スペースの床を
フロッタージュの要領で、ひたすら鉛筆でこすり続けたものなのだそうです。
その期間、なんと30日間!
2年前に、とある企画で丸一日ひたすら塗り絵をし続けたことがありますが。
信じられないくらいに、手がパンパンになりました。
それを30日もやるだなんて・・・・・。
拷問や懲罰に近いものがあります。
それから、もう一つ衝撃的だった作品が、
シュウゾウ・アヅチ・ガリバーさんの 《肉体契約》。
自分が死んだ後、肉体を心臓や肺、眉毛など、
80の部位に分割し、それを80人に保管させるというプロジェクトです。
なお、小池さんもガリバーさんと、
この 《肉体契約》 を結んでいるとのこと。
右手の薬指を貰うことになっているのだそう。
睾丸や陰毛といった部位に比べたら、
まだ保管したくなる (?) 部位で良かったですね。